2006年10月11日
プチあなたの知らない世界
連休に実家に帰った目的は、父の命日に合わせて墓参りすることであった。実際にはちょっとずれたが。
実家に到着してすぐに仏壇に手を合わせ、墓地にも行って手を合わせ、娘・R(3才)と息子・タク(1才)にも
「ほら、お父さんのお父さんにのんのんしなさい」
と手を合わさせて
「父さん…これだけ大きくなったよ~」
孫を見せる前に逝ってしまった父に報告したのであった。
仏壇のある部屋ではRが遊んでいた。スーパーのお買い物ごっこというか、買い物かごにカップラーメン・野菜などのおもちゃを入れ、これまたレジのおもちゃにぴっぴっぴとバーコードを読み込ませ、お会計のボタンを押すと
「アリガトウゴザイマシタ」
とレジが喋る大変やかましいおもちゃである。
「いらっしゃいませ~。どうじょ~」
Rはレジ打ちのパートおばさんと化し、実家にいる間しょっちゅうこれをやっていた。
東京に帰る日、荷物をまとめて
「忘れ物ないかね」
「うん。じゃあまた来るから」
と母に挨拶して玄関を出ようとしたら
「アリガトウゴザイマシタ。アリガトウゴザイマシタ。アリガトウゴザイマシタ…」
仏壇のある部屋から何度も聞こえてくるではないか。
「な、何だ?誰かレジのおもちゃいじってる?」
「いや、誰もいないよ」
部屋に戻ってみると本当に誰もいなかった。「アリガトウゴザイマシタ」の声も消えた。レジのおもちゃが落ちて鳴った、とか何かが乗っかって、とかそういう気配もない。親父に感謝されたのだろうか。というよりも
「あ、帰る前に線香あげるの忘れた」
きっと親父が催促しているのだ、と思い家族4人分の線香をあげて、手を合わせて帰った。
「マタオコシクダサイマセ」
と言いたかったのかもしれない。
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