百 花 の そ よ 風    マネージャー余話  吉沢武久

第 38 回   サ ル ス ベ リ    2025年9月1日

     今年の夏はものすごく暑かった・・・の過去形ではなく、現在進行中の猛暑日にこの原稿を書いて

   います。この暑さのせいか分かりませんが、今年のサルスベリはとてもきれいに咲いています。

    根拠があるわけではありませんが、私は花に対して一つの持論を持っています。それは、その年

  によって、特にきれいに咲く花がある、ということです。今のところ、今年はなんといってもサルスベリ

  です。どこへ行ってもここ近年で一番きれいに咲いています。(昨年はカラスノエンドウ、一昨年はツ

  ツジ)よって、今年の猛暑の中、元気にきれいに咲いているサルスベリを今月の百花に選びました。

                                      
     
     サルスベリを広辞苑で引くと、次のように出ています。

    【 猿滑り・百日紅・紫薇 】 (幹の皮が滑らかなので猿も滑るの意)  なるほど、納得です。

    百日紅(ヒャクジツコウ)は7月から10月ぐらいまで100日以上も咲き続けることから、名付けら

   れました。同じ花が100日続くのではなく、一つ一つの花は一日花ですが、枝先から次々に莟が

   開花していくのです。紫薇(シビ)は原産国中国の漢名で、宮中を意味している紫薇に由来してい

   るそうです。夏の暑い盛りに生命力豊かに、次々と咲き競う寿命の長いこの花に、栄華を願う心

   を託したのかも知れません。

    同じように江戸時代以前に渡来して来て、京都や奈良の寺院に植えられたとされています。

   京都の金閣寺、清水寺、京都御苑、奈良の東大寺などが、名所です。

                                        

     サルスベリは遠くから見ると、上品な紅色の花ですが、近くでよく見ると、とても複雑な形状をして

  いることが分かります。ボタニカルアートで描くには大変と思いますが、アトリエ作者のほんわりした

  作風の絵ならお得意と思っていました。ところが、作者にとっても描くのが難しい花の一つのようで、

  スケッチブックの片隅に次のようなメモが記されていました。

   { 真夏の空に、いつも元気な花を咲かせているサルスベリ。円錐形の花房は繊細でちょっと

     見かけたくらいでは、記憶に留まらないので鉢植えを購入。これでゆっくりとスケッチできる }
  
   その花の特徴は、枝先に3〜4センチの花を円錐花序に付けます。花びらは6枚、しわが多いので

  フリルのように見え、美しい。花色は紅、ピンク、白、紫紅色などがあります。

   作者創作メモの後には下絵(?)もありました。

   猛暑でダウンした作者ですが、暑さ和らぐであろう彼岸過ぎには、古都へ旅に出かけましょうか。

  歌人、正岡子規が誘ってくれています。

     百日紅の 花も咲きたり ときおりは あそびにきませ やや遠くとも

     萩の花 既に散らくも 彼岸過ぎ 猶咲き残る さるすべりかも
 

                

                                                      
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