百 花 の そ よ 風    マネージャー余話  吉沢武久

第 37 回   キ キ ョ ウ    2025年8月1日

     連日、猛暑日です。アトリエ作者はダウン寸前、一日でも早くこの猛暑が収まりますようにと願って

  います。そんな中、今月の百花はキキョウです。ここ一ヶ月ほど、我が家のリビングでバケツに植えら

  れた状態で咲いています。

    2年前、花屋さんで作者が鉢植えのキキョウを買いました。絵のモデルにもなり、咲き終わった後、

  畑に移植しました。畑で越冬し、つぼみを付ける6月下旬にまた家に持ち帰ります。昨年に続き、今年

  もバケツの鉢植えとして我が家に里帰りです。最初に咲いた花は、濃い青紫だったのに、花の終わり

  近い今は、うすいうすい紫色になっています。それでも元気に咲いています。

   今年はこの猛暑が終わって、秋深くなった頃に畑に戻してやろうと思っています。

                                      
     
    キキョウは7月~8月、真夏に咲きますが、秋の七草の一つとされています。万葉の歌人山上憶良

  が秋の野に咲く七つの花を詠んだことから、秋の七草と言われるようになりました。

     秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花

     萩の花 尾花葛花 なでしこの花 おみなえし また藤袴 朝顔の花
   
   キキョウという名前は出てきませんが、最後の朝顔の花はキキョウだろうという説が有力とされて

  います。奈良時代にはまだ現在の朝顔は、なかったのです。キキョウと同じぐらい有力なのが木槿

  (ムクゲ)です。木槿も我が家のベランダの一角で、毎年花を付けます。今も猛暑の中、元気に咲い

  ています。

                         

    キキョウは毎年我が家と畑を往復するように、多年生草本植物です。花の色は青紫ですが、園芸種

 には白やピンクもあります。つぼみが紙風船のようにまあるく可愛いので、英名ではバルーンフラワー

 と言われるそうです。花の形は五角形でデザインしやすいことから、「桔梗紋」が生まれ、明智光秀が、

 家紋としました。
  
   前回のアザミの時に、正岡子規のアザミの俳句を紹介しましたが、子規は桔梗の俳句もたくさん詠ん

 でいます。   一籠の  こき紫や  桔梗売    正岡子規 

  俳句は普通季語が一つ入いりますが、子規は二つも三つも桔梗を含め、季語を入れています。

          秋風に  撫子白き  桔梗かな   

  秋の七草を意識してかどうかは分かりませんが、次のような句も詠んでいるのです。

          萩桔梗  撫子なんど  萌えにけり

また、秋近しという俳句で次の句も詠んでいます。

          秋近し  桔梗を契る  別れかな

 8月の声を聞きましたが、秋近しにはまだまだの暑い日が続きそうです。暑さに負けず頑張りましょう。
 

                     

                                                      
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     第31回 梅          第32回 桜草             第33回 藤

     第34回 花水木       第35回 昼咲き月見草        第36回 アザミ