百 花 の そ よ 風    マネージャー余話  吉沢武久

第 34 回   花 水 木    2025年5月1日

      百花のそよ風も今回で34回、3分の1を過ぎました。アトリエ作者から 「 100個の花について書け

   るの?そろそろ同じ花を繰り返したら」と言われたことがありました。

    それよりずっと以前には「百花繚乱」という言葉を使ったときに私から作者に 「100の花の名前言え

   る?」と問うたことがありました。「そりゃぁ、言えるわよ」と即座に答えた作者ですが、あえて 「じゃぁ言

   ってみて」とは言いませんでした。春夏秋冬4つの季節に咲く25種の花を思い浮かべれば良いのです

   が、20ぐらいで精一杯。まあ、80ぐらいで行き詰まったら、作者の言うとおり同じ花を取り上げましょう。

    ということで、まだ余裕のある今回は、春の代表的な花である花水木です。

                                     
     
    花水木は別名アメリカヤマボウシ、と言います。日本には水木という白い似た花がありますが、花水木

  は別名のようにアメリカから来た花です。1915年、大正時代に東京がまだ市だった時の尾崎行雄市長

  がアメリカのワシントン州にソメイヨシノを3000本贈りました。その返礼として東京に60本の花水木が贈

  られて来たのです。それで花水木の花言葉は「返礼」「私の想いを受けて下さい」になったとのことです。

   水木の花は白一色ですが、花水木は白以外にも赤やピンクがあります。100年前は60本だったのが

  今や全国各地の公園や街路樹、個人の庭にも植えられ、日本の春から初夏にかけての季節を彩る代表

  的な花になっています。花の色には白、赤、ピンクがあると言いましたが、花びらと思える4片は、花では

  なく花の付け根の葉で、総苞片(そうほうへん)と呼ばれるものです。花は中央の小さい粒が寄り集まった

  部分なのだそうです。(アジサイに似ている)

                     

    花水木を一躍有名にしたのは、2004年、一青窈さんが作詞して自ら歌って大ヒットした「ハナミズキ」で

  しょう。その歌詞に「君」という言葉が幾つも出てきます。    { 空を押し上げて 手を伸ばす君 }

   { 薄紅色の可愛い君のね }  { 君と好きな人が 百年続きますように }

  この「君」は花水木のことでしょうか?あるいはお母さんに抱っこされた幼子にも当てはまります。さらには

 大好きだけど片思いの人がその彼(彼女)の幸せを遠くで祈る・・・なんて考えすぎ?不思議な歌詞です。  

  一青窈さんは2001年アメリカで起こった同時多発テロのニュースを、ニューヨークに住んでいた友人から

 メールをもらい、作詞したとされています。それなら100年続く平和に想いを寄せた歌詞なのでしょう。

  花水木の切り花は売られていません。よって描くのに作者は実際に咲いている場所に行ってスケッチして

 きます。ただ、目線よりはるかに上にある花水木を描くのは端で見るより大変なのだそうです。今年はどうな

 なりますやら。
 

              

                                                      
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