百 花 の そ よ 風    マネージャー余話  吉沢武久

第 31 回   梅   2025年2月1日

      「春告げ草」 「風待ち草」 とは何ですか?と問われて「梅」です、と答える人はいるのでしょうか。何せ「草」と言っている

    のですから。今月はその梅を百花に選び、梅の情報を集めているときに、梅の別名だと初めて知りました。春を告げる、

    風を待つ、とつけた人のセンスはさすがです。

     私は関東、茨城県生まれで水戸市内にある高校に通いました。水戸市内には、日本三大庭園の一つである偕楽園が

    あります。偕楽園は梅の名所で、冬のデートには最高のスポットです。でも、学生時代は卓球に打ち込んでおり、彼女も

    おらず、偕楽園は仲良しカップルを横目にトレーニングの場所でした。(涙、涙)

     アトリエ作者と偕楽園に行ったのは、長女が2歳の頃で、高校時代の卓球部員の結婚式に参加したときでした。式が

    終わるまで作者と長女は偕楽園で過ごしたのです。

                                     
     
     その後、故郷茨城と離れて50年、偕楽園に行く機会はありませんでした。でも、全国どこへ行ってもその土地には、梅の

    名所がありました。今住んでいる豊橋にも、向山梅園という素敵な梅の公園があります。車で10分足らず、天候が良けれ

    ば、作者は徒歩で行くこともあります。

     豊橋はめったに雪は降りませんが、10年ほど前に朝から大雪となった年がありました。梅も咲き始めた頃でした。「雪の

    降る梅園に行こう!」作者の要望に応え、車を出しました。こんな大雪の日に誰もいないだろうと思っていたのですが、同じ

    思いの人もいるもので、立派なカメラを持った先客がいたのです。

     仲の良い間柄の例えに「梅にウグイス」という言葉があります。メジロもまた梅の蜜を吸いにくるので、梅園でよく見かけま

    す。ウグイスの別名が「春告げ鳥」なので、まさに春告げ草に春告げ鳥ですね。「梅にウグイス」もいいけれど、雪の日に見た

    経験から「梅に淡雪」 もまたいいものでした。(蛇足:梅にウグイスの後に「紅葉に鹿、牡丹に唐獅子、竹に虎」と続く)

                                 

     現代の日本では春の花といったら桜ですが、万葉の時代は桜より梅に人気があったとのことです。和歌にもたくさん詠まれ

   万葉集に収められている和歌では、桜を詠ったものが50首弱に対して、梅を詠ったものは2倍の100首を超えています。

    学問の神様といわれている菅原道真が詠んだ有名な歌に「東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」

   があります。また、令和という元号も万葉集の梅の歌の序文から引用されています。「初春令月」の令、「気淑風和」の和です。

   今年は令和7年です。もう一月が過ぎてしまったのですね。


                           

                                                      
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