百 花 の そ よ 風    マネージャー余話

第 2 回  菊 か ら 百 合 へ    2022年9月1日

 
 百花の記念すべき一番目は薔薇でした。そして二番目、私は菊を頭の中で決めていました。アトリエ作者のこれまでの作品の中で

菊はあまり描いていません。でも、秋明菊なら数多く描いています。秋明菊は本来菊ではないけれど、菊と名前に入っているし、まあ

いいかと。そしてもう一つの理由は、日本の国花であり、9月の花と言えば日本の美しいカード、花札では菊なのです。

 8月半ば、ホームページ更新の準備が始まります。作者に 「菊の絵、一枚ぐらい描けない?」 と問いました。 「何で菊なの?」

「9月の百花は菊だから」  「エッ!!次は百合と言ったでしょうに。それで百合を一杯描いているのに・・・」 あうんの呼吸とまでは

いかないものの、あまりすれ違いのない作者とマネージャーの関係なのですが、今回は違いました。
 

                     


  確かに8月に入ると、野山に咲く百合(多分鉄砲百合)を畑仕事や卓球の練習帰りに摘んで、持ち帰っていました。でも、9月の

エッセイを百合にすると言った覚えはありません。けれど、最近は自分の言動に百パーセントの自信がないのも事実です。アトリエ

をのぞけば、描きかけのものからほぼ仕上がったものまで、数多くの百合の作品で一杯です。モデルの百合も机上でまだ、綺麗に

咲いています。「分かった、百合にする」(百という字も入っているし・・・)?とは言ってはみたものの、頭の中は菊に関するデーター

や文章で一杯です。それを先ずクリアーします。(トホホホホ)そしてクリアになった頭の中に、百合の情報をインプットし始めました。

  百合、北半球を中心に世界に約100種類、日本はその内15種の自生種があり(半数は固有種)「百合の王国」とも言える国。

フランスでは国花となっています。ヨーロッパで人気が出たのは、日本の鉄砲百合、カノコユリ、スカシユリ等が江戸末期に伝えられ

たからです。それらの百合の球根を持ち帰り、伝えたのは何とあのドイツ人医師シーボルトだったのです。彼が紫陽花を持ち帰った

のは有名ですが、日本固有の百合も持ち帰っていたことを初めて知りました。 

               


  百合は清楚さと美しさを持っているので、女性の名前によく使われています。代表的なのは、なんといっても吉永小百合さん。

そして、「白百合の君」と呼ばれた明治の歌人、山川登美子がいます。与謝野晶子と共に鉄幹に想いを寄せていました。二人が

詠んだ百合の歌は興味深いものがあります。

   髪ながき少女とうまれ しろ百合に 額(ぬか)は伏せつつ 君をこそ思え   山川登美子

   ゆあみする 泉の底の小百合花 二十(はたち)の夏を うつくしと見ぬ     与謝野晶子

  山川の髪長き少女は自分のことでしょう。与謝野が詠んだ20才の小百合は自分のことなのか、親友であり、恋のライバルで

もあった登美子のことなのか、本人にしか分からないことですね。


           
                                                      
 思い描いていた菊から急に百合に変更、バタバタと集めた情報を元に二つ目の花、百合をお届けしました。偶然ですが、1回

目の薔薇が私の誕生月6月の花で、今回2回目の百合は作者の誕生月7月の花でした。次回10月は予定通りあの花になるか

はたまた、急な変更があるのかまだ分かりません。お楽しみに。

 
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