百 花 の そ よ 風    マネージャー余話  吉沢武久

第 8 回   チュ ー リ ッ プ    2023年3月1日

  毎週火曜日は、定年退職後に再開した卓球の練習日です。午後4時に練習は終わります。その帰り道、父母が埋葬されているお墓に

寄るのが、ルーティーンになっています。お墓へ行く途中にある小さな八百屋さんで、供えるお花を買います。冬は花の種類も少ないので

定番の菊になることがほとんどです。そんな2月の初旬でした。小さなピンクのチューリップが2本、早咲きの東海桜と一緒になった花束が

目に留まりました。「可愛い!」お墓に供える花とは別に、アトリエ作者に見せたくて迷わず買いました。

 偶然かも知れませんが、作者は水彩画教室の2月お手本にチューリップを選んでいました。3月の百花の候補はチューリップ、パンジー、

梅、シクラメンのどれかにしようと思っていたのですが、この時、チューリップにしようと決めました。そして、チューリップの情報を集めている

時に、アンデルセンの「おやゆびひめ」は、チューリップの中から生まれたということを、初めて知ったのです。 

                           

 「おやゆびひめの絵本って確かあったよね」 作者に問うと 「ほらこれよ」 と本棚から出してきた絵本は、童心社が1965年に発行した

「おはなしアンデルセン」でした。表紙には赤いチューリップとその中にチョコンとおすましした女の子が、描かれていました。絵を描いた

のは、絵本画家いわさきちひろさんでした。生涯この人のこういう絵を追い求め続けたい、という作者憧れの画家さんです。

 信州から上京して間もなく作者は、練馬区にあった憧れのちひろさんの自宅を訪れています。下宿していた近所の本屋さんが親切に

も紹介して下さり、会うことが実現しました。持って行ったのは当時学んでいたデザイナー学院のコンテストで特選となった作品です。

 絵を見たちひろさんからお褒めの言葉をいただき、もしプロになったらちひろさん達の主催しているグループへ入ってね、と誘ってくれ

たとのこと。そのことが現在に至るまで、作者の水彩画家としての活動を支えてくれているようです。

 ちひろさんと夢のような時間を過ごした自宅兼アトリエ跡地には、現在ちひろ美術館・東京が建っています。館長はあの黒柳徹子さん

です。そして驚くことに、私の務めていた建設会社がその施工を担いました。私が東京本社に勤務していた2002年9月に完成しまし

た。本社には、ちひろさんの少女を描いた原画が飾ってあるんですよ。

                    

  チューリップとおやゆびひめから、ちひろさんへと話がそれてしまいました。チューリップについては、いろいろな神話や言い伝えが

あるので、そのことを書くつもりでいたのですが、その話は次回にチューリップを取り上げた時に回します。

 ちなみに、3年前のマネージャーの独り言「花と伝説」で、オランダに伝わるチューリップの言い伝えを紹介しています。こちらをご覧

下さい。→第22回 花と伝説
 
 我が家のベランダでは、上手く育たないことが分かったチューリップですが、お墓と畑では元気な花を咲かせます。今年もその芽が


2〜3センチぐらいに伸びてきました。春の到来と共に可愛い花をつけるのももうすぐです。


                               

                                                      
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