百 花 の そ よ 風    マネージャー余話  吉沢武久

第 9 回   タ ン ポ ポ    2023年4月1日

  3月も半ばを過ぎた頃です。次回の百花は何にするかな?と思い巡らしていました。そんな朝の新聞折り込み広告の中に 「春の

 そよ風フェア」というチラシが目に留まりました。「好きな食べ物は?」との問いには迷わず「おせんべい」と答えます。ほとんど毎日

 欠かさずに食べています。その大好きなおせんべい、もち吉さんの広告でした。

  しかも、「そよ風」が大きく印刷されています。春の限定商品、数量限定、売切御免、と購買意欲をそそる言葉が並びます。商品

 名は「そよ風だより」(1500円)そうした言葉にも誘われましたが、その包装紙が私に「買おう」と決断させたのです。

  赤・黄・白・青と色とりどりの春の花がリング状に並んでいます。クローバー、忘れな草、赤つめ草、そしてひときわ目立つ黄色の

 花はタンポポです。よし、そよ風とタンポポ、これで4月の百花はタンポポにしよう、と決めたのでした。 

                  

  タンポポを漢字で書くと中国から伝わった「蒲公英」ですが、ほこうえい としか読めません。完全な当て字です。中国では開花前

のタンポポを乾燥させた漢方を、蒲公英と呼んでいるそうです。

 日本では、江戸時代にツヅミグサ(鼓草)と呼ばれていて、鼓のタンタン ポンポンという音からタンポポと言われるようになった、と

の説があります。(いいね!です)

 英語では、可愛い花なのにダンディライオン、と名付けられています。なぜライオンかというと、花に注目したのではなく、ギザギザ

した葉がライオンの牙を連想させるからだそうです。

 花よりも葉に注目、アトリエ作者にも共通しています。「花を可愛らしく描くには、葉がキーワードです」なんて、水彩画教室では、教

えているとのことです。「今日は半日、バラの葉っぱだけ描いていた」と涼しい顔で言うのですから、返す言葉がありません。

                       


  早春に咲き始めるタンポポですから、当然春の季語です。

    たんぽぽの 花には花の 風生まれ    中村汀女

    たんぽぽの 絮(ワタ)欠けて行く 風ありて   高浜年尾

  タンポポはその命をつなぐため、咲き終わってから大切な仕事が待っています。種子を遠くに運んでもらえるように、萎んだ花から

 真っ白なタンポポ綿毛へと変身するのです。運ぶのは風です。このタンポポ綿毛について、一つの発見がありました。

  冬の農園で次の春に向けて土作りをしている時、片隅に小さな莟をつけたタンポポを見つけました。垂直に長く這っている根っこ

 を傷つけないように掘って鉢植えにして家に持ち帰りました。花が終わって綿毛になるとき、花の茎が5〜6センチも伸びるのです。

 自然の営みのすごさ、神秘さをちょっと教えられました。ベランダが気に入って、長く住んでくれるのを望んでいるところです。



                            

                                                      
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