百 花 の そ よ 風    マネージャー余話  吉沢武久

第 28 回  ノ イ バ ラ   2024年11月1日

    
     今年の夏は本当に暑かったです。それでも10月に入れば、少しは涼しくなるかと思っていたのですが、当て外れでした。

    半ばを過ぎても猛暑日があったのです。ようやく秋らしい日々がやってきましたが、この季節に百花では野茨を選びました。

    えっ、野バラが咲くのは5月では、と思う人が多いと思います。確かに華やかな桜が散って葉桜になる頃、川べりなどで清楚

    に小さな白い花を咲かせます。俳句の世界でもその花は初夏の季語になっています。

     でも、今回取り上げたのは、あえてカタカナで書いた「ノイバラ」です。それは初夏の白い花が終わった後に、冬に向かって

    赤い実に変身するのです。アトリエ作者も初夏には白く可愛い野バラを描き、秋には赤いノイバラの実を描いています。

                                        
     
   野バラを描いてもらうために、モデルとなる野バラを採取してきます。幸い豊橋では多くの場所で咲いているので、いろいろな所か

  ら採取できます。ただ、刺がやたらに多いので、注意しないととても痛い思いをしなければなりません。ここ4〜5年は市内を流れる

  豊川(トヨガワ)べりに群生している場所を見つけたので、毎年その場所で採取しています。

   今年も10月末に行ってみたら、まだ真っ赤にはなっておらず、どちらかというと黄緑色に近い色合いでした。たまたま作者も同行

  していたので、作者にとっては真っ赤よりこの方が良いと言って、2〜3枝採取しました。ノイバラを今回取り上げる、と決めたのが

  遅かったため、最新作は紹介できませんでした。

                                         



   野バラの花は白く5月に咲くので、5月30日の誕生花です。また赤く変身した実の方は11月8日の誕生花です。赤い実はローズ

 ヒップとも呼ばれ、営実(エイジツ)と言って利尿薬にもなるそうです。また、美白性、保湿性、皮膚細胞の活性効果を持っているので

 多くの化粧品に利用されているとのことです。

  冬には真っ赤になるノイバラの実ですが、春に花を咲かせるために新しいつぼみが出る前に姿を消します。そして可憐な白い花を

 咲かせます。来年の野バラの季節がやってきたら、その時は白い花の野バラをこの百花で取り上げたいと思います。作者も好きな花

 ですので、今回採取してきた黄緑色の実と合わせて、新作をお届けできるのではないでしょうか。 



                  

                                                      
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