百 花 の そ よ 風    マネージャー余話  吉沢武久

第 7 回   雪 中 花    2023年2月1日

  新年から2月にかけては一年で一番寒い季節、真冬です。北国では毎日が雪と共に過ごす日々かと思います。そんな厳冬の季節

 でも、咲く花は限られていますが、いくつかあるのです。その中から、2月の百花に雪中花を選びました。

  雪中花とは、誰でも知っている水仙の別名です。耐寒性もあり、雪の中でも春の訪れを告げることから、雪中花という別名で呼ばれ

 ているのです。アトリエ作者は、この「雪中花」という言葉の響きに魅了され、この季節によく描いています。

  実はこの原稿は1月27日、金曜日に書いています。私は60才の定年後、体力と健康維持を目的に卓球と囲碁、市民農園の作業

 等で、毎日出ずっぱりです。家にいるのは金曜日だけですので、金曜日は家庭サービスの日、作者のリクエストに応える日としていま

 す。そして1月最後の金曜日は作者から3年振りの名古屋デートの提案がありました。(この3年、作者は電車に乗ったことも無ければ

 豊橋を離れたこともありません)勿論、すぐにOKの返事をしたのですが、天候だけが気になりました。
 

                         

 3日前の24日未明からこの冬一番の寒波で太平洋側でも大雪となり、電車が止まったり、高速道路で車が何時間も立ち往生しま

した。その時は豊橋では晴天で何の支障もありませんでしたが、金曜日は名古屋や豊橋でも雪になる、という予報が出されました。

 私は晴れ男の楽天家ですが、作者は慎重派で雨女です。雨女を象徴する思い出があります。作者との初めてのデートは1972年

 9月の日曜日、新宿から8時ちょうどのあずさ2号(狩人が歌ってヒットしたのは5年後)に乗って、作者がかつて務めていた街信州

上諏訪に行く小旅行でした。新宿を発つときは降っていなかったのに、上諏訪に着くなり、経験もしたことのない土砂降りの雨だった

のです。初デートは大雨の中・・・そんな記憶がよみがえります。「雨女から今度は雪女になるんじゃない?」 「うん、そうかも、じゃー

今回の名古屋行きは無しにしましょう」話はいたく簡単にまとまりました。

           

  そして迎えた27日の金曜日、予報通り今、豊橋に雪が舞っています。うっすらと積雪もしています。雪女でなかったら今頃名古屋

のお気に入りの喫茶店でコーヒーを飲んでいたはずなのに、作者はアトリエで雪中花に囲まれて、絵筆を執っています。窓の外では

雪が降り続いています。今年に限り、「雪の中に咲く」ではなく 「雪の中で描く」 雪中花、水仙となったようです。

     初雪や  水仙の葉の  たはむまで   芭蕉

     水仙の  香やこぼれても  雪の上   千代女

  本来水仙というと、ギリシア神話の美少年ナルキッソスやブラザースフォーが歌った「7つの水仙」等について書こうとしていたの

 ですが、豊橋にはめったに降らない雪を目の前にして、話がそれてしまいました。水仙はまた取り上げることがあるかと思います

 ので、今回書けなかったことは次回にとっておきます。


                                  
                                                      
  
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