百 花 の そ よ 風    マネージャー余話  吉沢武久

第 17 回  紅 葉   2023年12月1日

   今年の夏は本当に暑かったです。猛暑日の日数も、過去の記録を更新しました。私は体育会系で学生時代を過ごしたので、

 夏の暑さにも対応ができるのですが、それでも今年はきつかったです。まして典型的な文化系、屋内派のアトリエ作者にとっては

 大変な8月から10月までの日々が続きました。一日中エアコンのお世話になり、外出は最低限の買い物と水彩画教室ぐらいで

 した。そうして暑さに耐えて、11月に入れば涼しくなるだろうと期待していたのですが、思い通りにはなりませんでした。

  涼しく、爽やかな秋と呼べる日は数えるほどで、一気に冬が来てしまったようです。こんな異常とも言える季節の中では、紅葉

 も期待できないと思っていました。ところが、今年の紅葉は綺麗なのです。特に銀杏をはじめとして黄色の紅葉が美しいです。

                

   美しい紅葉を目にすると思い浮かぶフレーズがあります。「 紅葉の錦 神のまにまに 」 神よ、この美しい紅葉をお捧げします。

 どうぞ、お心のままにお受け取り下さい。という意味の和歌です。学問の神様、菅原道真が詠んだ和歌の下の句です。百人一首

 にも入っているので、御存知の方も多いのではないでしょうか。上の句は「 このたびは ぬさもとりあへず 手向山(たむけやま) 」

です。ぬさとは、神様に捧げる綺麗な錦の切れ端のことで、持参したぬさ(幣)より、はるかに美しい紅葉を目にして圧倒されている

道真の姿が想像されるのです。

                       

  日本列島を南から北へと移動する桜前線があります。それとは逆に、北から南へと下りてくる紅葉前線なるものもあります。新型

コロナが無かった頃は、作者と共に桜前線を追いかけて、毎年のように北への旅をしたものです。同様に紅葉前線が動き出すのを

待って、秋田・青森へと紅葉狩りに行った旅もありました。もう十数年前の旅だったと思いますが、奥入瀬渓谷を目指してレンター

カーを走らせていました。ところが、今年と同じく天候が急変して雪が降り出したのです。その量も半端でなく大雪です。通行止めと

なる道路も出てきて、カーナビの示す道が走れず、私の動物的感に基づいて走れる道を探しました。酸ヶ湯温泉の前を通った時は

辺り一面雪景色、迷った森の中で雪化粧した木々のそれはそれは美しい姿に見惚れてしまいました。

 迷い迷い、回り道してやっと目的の宿泊ホテルに着くことができました。紅葉を見に行ったのに、何と雪景色を見る旅となりました。

 新型コロナ禍で遠方への旅はここ3年はできずにいます。来年は桜前線か紅葉前線を追いかける、あるいはまだ行っていない地方

のバラ園を訪れる、そんな旅ができるといいな、と今年の綺麗な紅葉を見ながら思っているのです。


                     

                                                      
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