蒸気きかん坊。

日曜日、一家で買い物をした帰りに昼飯を
どこかで食おうということになった。

「あそこの回転寿司はどうだ?」

「お寿司食べるなら、回転してないところがいいなあ」

しかし嫁がなかなかうるさい。

「じゃあそこの中華は?」

「中華は来週お母さんと行くじゃない」

嫁がかなりうるさい。早くしないと娘・R(1才半)が
腹を空かせ過ぎてぐずってしまうではないか。

「じゃあどこで…」

「あ、そうだ、そこに子供のプレイルームがある
 焼肉屋があるのよ」

「準備中って書いてあるけど」

「あれ、いやーん」

いやーんじゃねえだろばかーん。

その後喫茶店・ラーメン屋・天ぷら屋・イタリアンなどを
回ってみたが全て満席で、危うく一家全員ランチ難民になり
餓死するところだったが、ようやく一軒の定食屋に辿り着いた。

ここは「じゅうじゅう焼き」という定食がウリである。
鉄板に細かく刻んだ肉やキャベツやもやしなどをぶちまけて
ジュージュー焼く料理である。そのため蒸気がもうもうと
立ち込めながら運ばれてくる。

僕がそれを頼んだことで思わぬハプニングが起きた。
じゅうじゅう焼きの蒸気がモロにRにかかってしまったのだ。

「ひ…ひえええええん!ぎゃああああん!」

生まれて初めて蒸気に当てられたRは大パニック。僕が慌てて
じゅうじゅう焼きの皿を移動させても、何故か空気の流れの
イタズラでどうしてもRの顔面を直撃してしまう。

「ああああ、ごめんねごめんね」

Rは必死に嫁の胸に顔をうずめて隠れており、ようやく蒸気が
治まったところで平静を取り戻した。

しかし困ったことに、蒸気がRの心に恐怖心を植えつけて
しまったらしく、他の客が頼んだじゅうじゅう焼きが
運ばれるたびに泣き叫び、僕はその都度Rを抱き上げて

「怖くないよ、怖くないよ」

とあやさなければならなかったのであった。蒸気がRのトラウマに
なってしまった。今後は僕も注意しなければならない。

え、何故かって?

僕は年中発蒸気でございます。
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陶芸とエロゲー。

嫁のゴハン茶碗を娘・R(1才半)に割られてしまったため、
友達の陶芸家・うたちゃんに頼んでおいたところ、完成した
との連絡が入ったので一升瓶の手土産を持って、彼女の
陶芸教室「おいしい器」に受け取りに行った。

3パターンも用意してくれており、迷った挙句ひとつ選んだ。

photo

今回は長崎の教会やチンチン電車を描いてくれと頼んだので
こんなキュウトなものに。前の日記にも書いたが、うたちゃんの
作る焼き物は、女の子らしい可愛くてトボけた感じと、宇宙人が
洞窟に描き残した謎の壁画のような不思議さがあって好きだ。

うたちゃんは陶芸教室だけでなく、高校の美術の講師もやっている。

「今度の高校は、前やってた高校より偏差値が高いんだけど…」

「ほう」

「偏差値って凄い!偏差値が違うだけで授業態度が全然違う!」

教育現場の切実な声を漏らしていた。まえのとこでは苦労して
いたものとみゆる。

その後、うたちゃんと一緒に陶芸教室を経営している江頭君と、
江頭君の友達でありこのサイトを見てくれているヒロシマ君と
夜中まで飲んだ。ふたりは僕と同年代の元パソコン少年で、
古いゲームの話で盛り上がってしまった。

「団地妻の誘惑:光栄」

(コンドーム会社の訪問販売営業マンが人妻を口説くゲーム)

「オランダ妻は電気ウナギの夢を見るか:光栄」

(ダッチワイフの反乱ゲーム…だったっけ?)

「マカダム:デービーソフト」

(SMゲーム)

「177:デービーソフト」

(レイプゲーム)

などなど、20年以上前からエロゲーはあったのである。当時中学生か
そこらだった僕はゲームのチラシを見るだけで興奮したものだった。
いや、ちゃんとエロゲー以外の話もしたけど。

…うたちゃんは当然こんな話に付いて来れる筈もなく、じいっと
酒を飲んでいた。記憶が曖昧になるほど久しぶりに飲み、へべれけに
なりながらもうたちゃんの作品を壊さないように気をつけて帰った。

家に着いて、うたちゃんの器を広げてみて血の気が引いた。
割れていたからではない。

…お金払うの忘れてた!

せっかくうたちゃんに焼いてもらったのに…、
お詫びに根性焼きでもするしかないのだろうか。 日記才人投票ボタン。投票のお礼に一言飛び出ます。初回だけ登録が必要です。↑


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人情がスーパーなマーケット。

嫁が歯石が溜まっているとのことで歯医者に行ってしまった
ので、その間僕が娘・R(1才半)の面倒を見ていた。

僕も溜まってるんだけどなあ。歯石じゃない、迸りそうな熱くて
白い何かが。

それとは逆に家の烏龍茶は切れていたので、Rを連れてスーパーに
買出しに行った。スーパーなんて1年に3度ぐらいしか行かないが、
嫁がいないのでしょうがない。

「●●スーパーだったら2リットルのやつが2本で300円よ!」

という子供の使い並の指示を嫁から受け、やって来た次第。

慣れないスーパーでも、最近のRは手を繋がなくても僕の後をチョコ
チョコと付いて来るので助かる。万引きもしないし(してたまるか)、
ただお菓子やガムなどの細かい商品が詰まった陳列棚を見ると、
ガサゴソと荒らし始めるのでそれだけ注意していればよい。

買いたい物だけとっとと選んでレジに並ぶと、ものすごく寂びれた
パートのおばさんが

「…315円です」

とだけ言った。伊東四朗がそのままおばさん化したようなルックスの彼女は、
目が死にまくってるし、声も岸田今日子みたいにしゃがれてるし、接客と言う
よりもただ機械的に動いてるだけの状態に見えた。

彼女から漂ってくる朽果て感に当てられて、とても悲しい気分になった僕は
早く烏龍茶を受け取って帰ろうと思った。しかしこの時伊東四朗おばさんが
動いた。

レジカウンターからさっと消えたかと思うと、サザエさんのイラストが描かれた
コーラのおまけか何かのビニールバッグを持って来て、Rの肩にそっとかけて
くれたのであった。

「あっ!ありがとうございます…」

伊東四朗おばさんはにっと笑ってRに手を振った。ああ、彼女は機械で
なくて人間であったよ。人情っていいなあ。ありがとう伊東おばさん。
また来るよ。また会えたらいいね。おばさんのことはベンジャミンと
呼ぶことにするよ。

Rはこれをえらく気に入って、ずーっと肩にかけて遊んでいた。
やがて歯医者から帰って来た嫁に見せてみると

「えー。サザエさん?なんかやだなあ」

と何故か気に入らない様子。そんな文句言うなよ。これはなあ、
ベンジャミンが僕とRだけに見せてくれた笑顔の証なんだよ!

スーパーのレジで味わった、人情エレジー。 日記才人投票ボタン。投票のお礼に一言飛び出ます。初回だけ登録が必要です。↑


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おなかの子の胎児名決定。

明日は都議会選挙である。都民なら

「トギセン・サンカ」

というパパイヤ鈴木のポスターを見た人も多いであろう。
忘れずに選挙に行くようにここにも貼っておくことにする。

でぶ専

あっ…パパイヤだったからつい…。まいうー。

さて選挙は明日だが、嫁のお腹の子の出産予定日まであと3ヶ月
となった。長女R(1才半)の弟になるのか、それとも妹か。
性別はまだ分からない。ただ胎動は盛んになって来ており、腹に
手を当てるとはっきりと感じられるようになったので、最近は

「赤ちゃん、オヤジですよー」

と呼びかけるようにした。しかしここで嫁のチェックが。

「赤ちゃん、って呼ぶのはよくないらしいのよ。生まれるまでの
 仮名でいいから名前をつけましょう」

嫁がどこからか仕入れてきた知識。僕は初耳である。これが本当
だとすると「こんにちは赤ちゃん」を歌った梓みちよは大悪者と
いうことになるではないか…と言いたかったが、ここは実際に腹を
痛めて産む嫁に従うこととした。

思い返せばRの時は既に胎児の頃から「R」と呼んでいた。これは僕が

「女の子だったら絶対Rと命名する!」

僕の最愛の美少女・元近所に住んでいたRちゃんの名前をそのまま
いただくことを人生最大の野望というか欲望としていたため、まだ
性別が分からない頃でも先走ってそう呼んでいたのである。

そして欲望は果たされたため、今度の子の命名権は嫁にある。ただ
嫁のハアトにズキュウンと来る名前がないため、胎児名も決まって
いないのだ。

そこで僕もいくつか提案した。Rに似た名前とか、嫁の好きなキムタク
の拓哉とか。しかし嫁は

「うーん」

いまいち煮え切らない様子。段々面倒になってきた僕は、前野とか
サンチェとかおじゃる丸とか、弾正忠とか山城守とかヒデローとか
マゾの宮殿下とか、自分が付けられたら絶対グレるようなイロモノに
走って行った。当然嫁が首を縦に振る訳もなく。

ほとんどネタ切れとなったところで、僕の家に何十とある「どこでも
いっしょ」のトロのぬいぐるみが目に入った。

「じゃあ…トロちゃんはどうよ」

もう条件反射で適当に言ってみたところ嫁は

「あら、それいいわね」

「いいのかよ!」

ということで第2子の胎児名は「トロ」に決定した。

…本当にいいのだろうか、嫁。

僕は嫁の命名センスに大いに不安を持ったのであった。トロちゃんが
産まれた後、嫁が突拍子もない名前を付けやしないかと心配で眠れず、
羊の数を数えるのであった。

羊だけに命名。 日記才人投票ボタン。投票のお礼に一言飛び出ます。初回だけ登録が必要です。↑


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シ・ツ・ケー♪シツケなさいあなーたー。

娘・R(1才半)が、嫁のバインダーをいじっており、
そこに挟んでいるチラシなどをばんばん外して床に
ぶちまけていた。

そしてそれをそのままにして、今度は僕の机の上にある
本を指差して

「あ!あ!」

手が届かないから取ってくれ、と次なるターゲットに
狙いを定めていた。いつもの僕であったらRの言いなりに
ハイハイとやってしまうのであるが、この時は違った。

チラシや本だったらいいが、将来男をこのように食い散らかす
ようになってしまっては世間様に申し訳が立たぬ。そう思った。

だからまずぶちまけたチラシを片付けさせなければと、
僕の親としてのしつけ心が珍しく作動したのである。
いつもはRを見るだけで顔面メルトダウンの親バカだけど、
言うことはキッチリ言うぜ!

「Rちゃん。このチラシを片付けようよ。これをないない
 したら取ってあげる」

Rは「ないないして」と言えば素直に片付ける良い子である。
オモチャも言われればちゃんとオモチャ箱にせっせとしまう。

しかしこの時のRは違った。僕の言うとおり動く気配がない。
机の側に立ったまま、じいいと僕にガンたれている。

「どうした?こっち来てないないしなさい」

Rは明らかに嫌がっている。ぶすーっとした顔をして…。僕に
反抗しているのだろうか。しかし僕もここで折れるわけには
いかない。たまには父の威厳も見せておかないと。

見よ、この頑として凛とした父の威風。たくましき眉毛。
隆々とした男根(お見せできないのが残念)

やがてRは動いた。トコトコとぶちまけたチラシのところまで
歩いて来た。

「お、いい子だね。ないないするんだね」

そう安堵したのも束の間。Rはチラシを鷲掴みにし、わざと
しわくちゃにしてばさっと僕に投げたのだった。

ヒイイ!Rの反抗!しつけをしたら押しつけられた!
ボク舐められてルー!父の威厳なし!

この、慣れないしつけ顛末記を嫁に涙ながら語ったところ

「あなたがそんなことするなんて珍しい」

嫁は僕のしつけに対してぶしつけであったとさ。 日記才人投票ボタン。投票のお礼に一言飛び出ます。初回だけ登録が必要です。↑


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