お父さんは健忘症。

娘・R(1才半)が絵本を読まなくなったように思う。

これまでだと、Rが本箱から読みたい絵本を持って来て

「あ!あ!」

と僕の手を引っ張り、いつも読む定位置の床にちょこんと
座り、その隣をポンポンと叩く。僕に「まあここに座れ」
という殊勝なジェスチャー。そういうやりとりがあって

「むかしむかし、おじいさんは山へオヤジ狩りに出かけました。
 オヤジはお前だー!と逆に狩られました」

と僕が絵本を読んでいたのだが、最近全然お誘いがかからぬ。

「新しい本も買ってないしな。飽きちゃったのかな」

「どうだろう」

「今日、本屋に行って買ってやろう」

「ふーん」

「Rー今日絵本買ってあげるよー」

嫁と話し合ってそういうことになった。

嫁とRはお遊戯教室に行き、終わった頃を見計らって僕が
迎えに行き合流。それからプリンセス天功似のおばさんが
いる喫茶店で飯を食った。

店から出た後、すぐ隣に本屋があったので嫁が

「本買うんじゃなかったの?」

と僕に言った。

「はて…何かあったっけ…」

僕、本屋を豪快にスルー。朝言ったことを本気で度忘れしていた。
今頃気付いてこうして記している次第。嫁ももうちょっと突っ込んで
くれればいいのに。まあ突っ込むのは僕の役目ではあるけどウシャシャ。
(ここ2週間ほど突っ込んでないが)

「ちゃーちゃーん!」

Rが僕を呼ぶ。それが僕を非難しているように聞こえた。

R、ごめんね。お父さん嘘ついたわけじゃないんだ。ただ、忘れやすい
だけなのさ。モノマネしてあげるから許して欲しい。

「ボク、ドラ絵本ー!」

無視された。
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尿(ゆばり)ーヒルズ。

朝イチ。嫁と娘・R(1才半)は目覚め、嫁はRを
トイレに連れて行く。

おむつから脱し、トイレに慣れトイレで用を足せる
ようトイレトレーニングをしているのである。

僕はワンテンポ遅れて布団から出た。だって朝立ち
していたからね。未だに朝立ちしている33才って
どうなの。子供だってRと、嫁のお腹にいるトロ(仮名)
の2人をこさえたのに、神はなお僕に子作りの使命を
与うるのか、と悩む2005年サマー。

Rと嫁が出てくるのと、僕のモーニング息子が治まるのを
静かに待つ。やがてトイレから出てきたRはタタタ…と
ノーパンのまま走って出て来て、しばらく遊んでいた。

これがR流クールビズであることよと思わず膝を打った。
男ばかりでなく女性もこのようにすれば涼しい夏が送れる
であろうに。さすれば男性陣も土用の丑の日にウナギなんぞ
を食べるまでもなく精力も増強することうけあいである。

いよいよ尿意が高まってきたので僕もトイレに入り、体内から
湧き出でる南アルプス天然水を放出する。

この時嫌な予感がし、それはすぐ的中することとなった。

「えーへーへーへー」

Rがトイレのドアを開けて覗きに来たのである。

「のび…じゃなかった、Rさんのエッチ!」

あのね、いくらトイレトレーニングをした後だからといって、
僕のその、なんだ、下半身マーライオンみたいな状態を見ても
参考にはならないからね。やって出来ないことはないとは思う
けど、女の子は真似しちゃいけないよ。決して。

Rは僕のマーライオンをじいと眺め、

「おへしょ(へそ)」

と指差した。いや違うから。まだまだRのトイレデビューは
遠そうである。さすがにマーライオンは真似させられない
けれども、尿意を覚えたら一緒にトイレに行くとか、そういう
ことを意識的にしてみればいいのかなと思った。

尿意スタート。なんつって。 日記才人投票ボタン。投票のお礼に一言飛び出ます。初回だけ登録が必要です。↑


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あの人が 結婚したいと言ったから 7月7日は結婚記念日

結婚記念日だった。

どうせ僕が忘れるからということで七夕に合わせて
区役所に届けに行ったのが幸いし、こうして覚えている。

今年の記念日は、ここのところ最近また嫁の機嫌が悪いような
虫の居所が悪いような感じなので、ろくに喋っていない嫌な
タイミングではある。でも僕は会社帰りにケーキを買って
帰って嫁に見せた。

「こないだ先生に怒られたのに…」

産婦人科で妊娠中はアイスや甘いものはもってのほか!と
言われたことを嫁は気にしていた。それは僕も分かっている。
しかし今日ぐらいはいいではないかと思って買って来たのだが、
それ以上嫁は何も言わず、その後も結婚記念日だからといって
ご馳走が出るとか、嫁が勝負下着で濃厚サービスウッフンとか
そういうイベントも全くなく、僕が風呂に入っているうちに
普通に寝ていた。

昔はこういった記念日には何かしら仕込みを入れて楽しみ、一方
僕が忘れようものなら鬼のように怒り狂う嫁であったのに。

4年前、結婚結婚とラブラブに盛り上がっていた嫁。しかし
結婚生活が最早色褪せた、ただひたすら延々と続く日常以外の
何物でもなくなった現在においては、その記念日なぞはハナクソに
付いた鼻毛ぐらいの意味しかないのかもしれない。

逆に当時から「記念日なんてどうでもいい」と醒めていた僕が、
今となっては嫁よりもこだわっているのは何とも皮肉なもの
である。

男は過去にいつまでもしがみついているものだけれども、女は
その辺都合よくフィルターにかけて要らないものはバンバン捨て
られる生き物であるようだ。そんな訳で些かセンチメンタルに
なっている僕は、短冊に「ラブ・フォーエバー」とか女々しい
腐った単語を平気で書いてしまいそうである。

それに引替え、織姫と彦星は1年間溜まりまくったものをぶちま
けるべく、獣のようにまぐわっているんだろうなあ。

下界の人間が短冊に願い事を書き、「星に願いを…」と託している
のを尻目にガンガン突きつ突かれつで「突きに願いを…」といった
感じなのであろう。

ケーキだけが無駄になりそうな欠損記念日。 日記才人投票ボタン。投票のお礼に一言飛び出ます。初回だけ登録が必要です。↑


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頭文字R。

昨日の日記に書いた、娘が入って遊んでいたダンボールが
なんと自動車にバージョンアップされた。

嫁が色紙をぺたぺた貼ってライトとかタイヤの装飾が施された
のである。さすが元保母。芸が細かい。Rは当然僕に動かすよう
促す。

「はい。自動車ぶーぶー。自動車ぶーぶー」

嫁はちゃんとダンボール車にヒモも付けており、僕はそれを引っ張る。
会社では馬車馬のように働き、家の中でもまた馬車馬。いいのよ。
お父さん、Rさえ幸せならば。そしてベッドの中でも馬並みの馬車馬。
ウッフン。いや、これはウソだが…。

「ぎゃはははは。ぶー!ぶー!」

Rは更に過激な運転を僕に要求するので、急カーブであるとか超加速
運転であるとかウイリーであるとか、めちゃくちゃに動かしまくった。
Rは大喜びでまさにノリノリ。手を上げて

「いえーい」

などと言っている。昨日は箱に入って大人しくしているだけだったのに。

箱入り娘がハコノリ娘になってしまった。

将来レディースになってしまいそうでお父さんは心配であり
そこんとこ夜露死苦。仏恥義理。愛死天流。 日記才人投票ボタン。投票のお礼に一言飛び出ます。初回だけ登録が必要です。↑


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手に入れろ!でかダンボール!

実家の母がいろいろな物を送って来てくれたらしい。
お母さん、ありがとう…と言いたいところだが、全て
嫁の采配により摂取されてしまったので、何を送って
くれたのかが定かでない。

僕が見たのは既に空っぽになったダンボールだけ。
少し寂しかった。でも僕、負けない。ありとあらゆる
災厄が飛び去って行った後のパンドラの箱のように、
箱の中にはたったひとつだけ残っているものがあるかも。

そう。それは「希望」…

と思って覗いたら希望じゃなくてゴボウの欠片だったので
激しくつまらなかった。

一方でつまらないどころか大はしゃぎしたのが娘・R(1才半)
であった。Rはダンボールを見るなり箱の中に入っていった。
自ら箱入り娘と化したのである。

「R、楽しいのか?」

「きゃはははは!」

photo

箱入り娘というよりも、これでは捨て猫のような趣である。
まるで僕が捨てたみたいではないか、と胸が痛んだ。

Rを箱入り娘に育てたいのは山々である。しかし深窓の令嬢
ならともかく、そんな世間知らずでは世の中渡って行けまい。
そんな育て方をしてもウチは思いっきり庶民であるので、Rは
深窓の令嬢にはなれない。貧相なキャバ嬢が関の山である。

文字通り箱入り娘のRの姿から将来のことまで考えてしまって
いたら、当のRは「よいしょ」と立ち上がり、ダンボールから
出ようとしていた。おお!Rが自ら箱入り娘を卒業…しかし…

どおおおおおん!

足を取られ、ダンボールもろ共転げ落ちた。

「フギャアアアア!」

災厄の元となったこのダンボールはRにとってパンドラの箱となって
しまったようである。そう。これは僕にとってもパンドラの箱。
何故ならばそこに残されたRこそ「希望」そのものなのだから。 日記才人投票ボタン。投票のお礼に一言飛び出ます。初回だけ登録が必要です。↑


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