あの人が 結婚したいと言ったから 7月7日は結婚記念日

結婚記念日だった。

どうせ僕が忘れるからということで七夕に合わせて
区役所に届けに行ったのが幸いし、こうして覚えている。

今年の記念日は、ここのところ最近また嫁の機嫌が悪いような
虫の居所が悪いような感じなので、ろくに喋っていない嫌な
タイミングではある。でも僕は会社帰りにケーキを買って
帰って嫁に見せた。

「こないだ先生に怒られたのに…」

産婦人科で妊娠中はアイスや甘いものはもってのほか!と
言われたことを嫁は気にしていた。それは僕も分かっている。
しかし今日ぐらいはいいではないかと思って買って来たのだが、
それ以上嫁は何も言わず、その後も結婚記念日だからといって
ご馳走が出るとか、嫁が勝負下着で濃厚サービスウッフンとか
そういうイベントも全くなく、僕が風呂に入っているうちに
普通に寝ていた。

昔はこういった記念日には何かしら仕込みを入れて楽しみ、一方
僕が忘れようものなら鬼のように怒り狂う嫁であったのに。

4年前、結婚結婚とラブラブに盛り上がっていた嫁。しかし
結婚生活が最早色褪せた、ただひたすら延々と続く日常以外の
何物でもなくなった現在においては、その記念日なぞはハナクソに
付いた鼻毛ぐらいの意味しかないのかもしれない。

逆に当時から「記念日なんてどうでもいい」と醒めていた僕が、
今となっては嫁よりもこだわっているのは何とも皮肉なもの
である。

男は過去にいつまでもしがみついているものだけれども、女は
その辺都合よくフィルターにかけて要らないものはバンバン捨て
られる生き物であるようだ。そんな訳で些かセンチメンタルに
なっている僕は、短冊に「ラブ・フォーエバー」とか女々しい
腐った単語を平気で書いてしまいそうである。

それに引替え、織姫と彦星は1年間溜まりまくったものをぶちま
けるべく、獣のようにまぐわっているんだろうなあ。

下界の人間が短冊に願い事を書き、「星に願いを…」と託している
のを尻目にガンガン突きつ突かれつで「突きに願いを…」といった
感じなのであろう。

ケーキだけが無駄になりそうな欠損記念日。
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