ハナキン全力投球。

少し早めに会社から帰ってくるとまだ娘・R(もうすぐ2才)は
起きていた。

嫁が寝かせようとしていたのだけれどもどこ吹く風。飛び跳ねたり
踊ったりで異様にテンションが高い。まるでハナキン(死語)の夜を
楽しむかのよう。

「R、いえーい!」

「いえーい!」

ノリも良過ぎ。これからお父ちゃんとクラブでも行くか、と言い
たいところだったが、かつてクラブで1才児を見たことはないし
(当たり前だ)

「いえーいじゃないでしょ!寝なさい!」

嫁が呆れ顔でいたので

「じゃあお父ちゃんはゴハンを食べるからな」

と嫁が作っておいてくれた晩飯を温めた。今日の料理は豚肉と野菜を
炒め、その上に生卵を乗っけるというもの。よく「スタミナ丼」として
定食屋のメニューにあるものである。ちなみに昨日はウナギであった。
僕に夏バテしないようにとの心遣いなのだろうか。

嫁のこの気配りは有難くもあり危険でもある。僕は体力はないが精力は
有り余っているので、とんでもないことにもなりかねん。安全スイッチの
外れた加藤鷹になる恐れもある。

さて僕が食べようとしたところ、Rがニコニコしてこちらを見ている。
水面に浮かんだ鯉の如く口をパクパクさせている様が愛くるしい。
これって鯉なのかしら。

「嫁、Rが食べたがってるっぽいんだけど」

「もう、夕ご飯は全然食べなかったくせに!」

「しかし僕はこの笑顔に逆らうことはできん」

という訳でRにスタミナ丼を差し出したところ、手掴みで食うわ食うわ。
しかも人参だけ奪って食う。お前は馬か。父と有馬記念目指すか。
Rが思う存分食べたのを見計らい、

「じゃあ食べた後は当然歯磨きだぞ」

「ぎゃわああああん!」

歯磨きが大嫌いなRを押さえ付け、しっかりゴシゴシと磨いた。Rは散々
泣いた後眠りに落ちて行った。楽あればクロードチアリを地で行った、
1才児の熱いハナキンナイトであった。本当に暑かったので僕もパンツ
一丁で寝た。

翌朝。

目覚めるとRもちょうど起きたようで、僕と目が合ってニッコリと笑った。
おはようわが娘よ…ってちょっと待て!

僕のアレ、というか口が縦に割れてるウナギがパンツからはみ出て
とんでもないことに!緊張の夏膨張の夏!

ちょっと引っ込みなさい!いい加減三十路超えてるのにどうしてそんなに
お行儀が悪いの!

Rに見られなかったかどうか…冷や汗ものである。

ハナキンナイトの後のタマキンモーニング。
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僕の子宮を守って。

娘・R(2才)に嫁のおなかにいる第2子・トロ(仮名)の
存在を気付かせなければならない。

少し前までは全然分かっておらず、嫁の腹に容赦なく
ダイヴをかましたりして、いずれ弟もしくは妹になる
生命に全然気付いていない様子であった。

「ママのお腹の中に赤ちゃんがいるんだよ。
 なでなでしてごらん」

と僕が教えてやっても、撫でるどころかハエ叩きの如く
しぱーんと引っ叩くので、嫁は悶絶し僕は血の気が引いた
ものだった。しかし最近になってようやく

「嫁のお腹に何かいる」

という程度は理解し始めたようなので今朝起きた時に

「R、トロちゃんにおはようのなでなでをしよう」

と言ったところ、にっこり笑い嫁のところまでスタタと
走って行き、僕の言うとおり嫁の腹をスリスリしているでは
ないか。おお、ようやく分かってくれたか。

「ほら、『おはよう』ってあいさつしてごらん」

胎児とのスキンシップは重要である。中でも「声かけ」は
特に大事であり、産まれた後の関係にも大きな影響を及ぼす、
と産婦人科医から聞いた。だからRも姉としてまだ見ぬ兄弟に
声を掛けてやって欲しい…さあ何か言ってごらんなさい!
そう願った。ところがRは

「えへへ」

何故か照れ臭そうなはにかみを見せ、声は掛けないけれども
ペコペコとお辞儀をするのであった。いやそんな卑屈になら
なくても。君の弟か妹だってば。

…やはり何か勘違いしているような気がする。

「R、いくらお辞儀してもトロちゃんには見えないわよう」

嫁も可笑しがっていた。

しかし、実は子供たちには見えなくとも不思議な以心伝心で
分かってたりして。トロもお腹の中でペコペコと挨拶してたり
して…などと想像すると、僕も柄にもなく顔がほこほこと
ほころびてゆくのであった。

面白い兄弟になりそうな予感がして嬉しくなった。

Rは嫁の臍の窪みあたりを撫で続ける。そう。そことトロは
繋がっているんだよ。

腹のー谷間にー命のー花ーがー♪

Rとトロの兄弟船。
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キャット子宮中大回転。

嫁のお腹を見るとどんどん大きくなっているので、第2子
(仮名:トロ)は順調に育っているようである。

しかしトロは逆子であった。嫁はこのことについて全く騒がず
悠々としていたので、僕もすっかり気を抜いていたが、今日
改めて嫁に聞いてみることにした。

「トロはまだ逆子の状態なんかね?」

「いえ、もう戻ってるよ」

なんと、トロはもう元のいるべき位置に戻っているという。
もしかしたら1週間だか2週間前だかに嫁と契ったあの夜、
僕が嫁の体にディープインパクトを放った衝撃のせいで
ひょっこり大回転して戻ったのではないだろうか、と考えた。
これぞ陰茎ねじりこみ健康法。

「ふふふ。わりとあっさり直るもんだな」

「ていうか逆子じゃないよ。横の状態になってただけだよ」

「え!逆子って言ってたじゃん!」

「横よ、横」

「じゃあ…横子か!」

何が「じゃあ」なんだかよく分からぬ程混乱してしまった。
いや、確かに逆子だって言ってたよなあ…嫁…。

ともかくこれで逆子の憂いはなくなった。あとは僕が注意する
こととしては、みだりにみだらな男根砲撃をかまさないことで
あろう。あとは嫁には腹を冷やさないように注意してもらうとか。

しかしここで心配事が。来月花火を見に行くのである。かなりの
至近距離で見ることになると思うので、腹に響くほどの轟音を
体感するはずである。この音にトロがびっくりしてまた逆子に
なってしまうことはないのだろうか?

これを「花火ら大回転」といいます。 日記才人投票ボタン。投票のお礼に一言飛び出ます。初回だけ登録が必要です。↑


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ゲーセン店員は見た!

娘・R(もうすぐ2才)と駅前を歩いていると、馴染みの
ゲーセン店員・西さんが声を掛けてきた。

「ふっふっふ。見ましたよ」

「え、何を?」

何か僕が悪さをしているところを見られたのだろうか。
昔はこの駅前で女の子とふざけ合ったり、ゲーセンの
美少女Rちゃんのお尻を追い掛けたりしていたものだが、
ここ最近は実娘Rのお尻しか追い掛けておらぬ。

「先週としまえんのプールにいたでしょう!」

「えー?西さんもいたの?」

「はい。かみさんと子供と…いやー声を掛けようと
 思ったんですけどねえ」

「え、僕も嫁とこの子と一緒だったし、気にしないで
 声掛けてくれればよかったのに」

プールだけに水臭いこと言わないで…と思ったのだが
実は僕に気を使ってではなくて、西さんが家族を見られ
ることが恥ずかしかったのではないかと推測した。

今はどうだか知らないが、数年前ゲーセンによく行って
いた時にはプレイボーイでお盛んな噂が流れ、西さん
自身も妻子持ちだということは隠していたのである。

ある時などは奥さんが西さんの携帯を盗み、メモリに
入っている女性の名前を片っ端から電話して

「あの…主人とはどういった関係で」

と聞いてきたという奥さんご乱心の話も聞いた。僕の
女友達にも掛かってきたのである。西さんが何をやら
かしたんだかは知らないが、想像するのも恐ろしき
修羅場があったのではないかと思われる。

そんなことを僕の耳にも入っているのを西さんも
知っているだろうから、

「ああ、あれが例の奥さん…」

という好奇の目で見られるのが嫌だったのかもしれない。
それとも家族連れというのがそもそも大ウソで、実は
女の子連れのデートだったりして。僕が目を奪われっ放し
だったたわわなオッパイギャルのうちのひとりだったりして。

おのれ羨ましい…いや待てそうと決まったわけじゃない。
しかしどちらにせよ地元の近場では、えてして誰
かしらの目についてしまうという事である。

壁に耳あり障子に目あり。

抱いているRからちょっとシゲキックスなにおいが
漂ってきた。

Rのおむつにうんちあり。 日記才人投票ボタン。投票のお礼に一言飛び出ます。初回だけ登録が必要です。↑


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こどもの城はこどもの好きにしろ。

「晴れてればなあ…海に行くのに」

空を見つめる嫁はアンニュイ。

「せっかく遠出して海に行っても、こんな天気じゃ
 哀しさ倍増だよ」

海に行くのが僕にはメンドイ。

しかし娘・R(もうすぐ2才)を遊ばせてやりたい。では
雨が降っても大丈夫なところにしようということになり、
青山こどもの城に行った。どういうところかというと、
500円の入場料を取られる分、それなりに立派な児童館
である。

「ここはね、愛子さまも来てるんだよ!」

嫁がそんなことを言うので、除霊でもしに来てんのか?と
思ったら宜保愛子のことではなくて、御所にお住まいの
高貴なお子様のことらしい(あたりまえだ)

僕ららが行った時には当然やんどころなき姫君はおらず、
ちょうどシステムキッチンのミニチュアセットが空いて
いたを見つけたRは、早速せっせとおままごとに励んで
いたところ、見知らぬ女の子がやって来て

「あのね、ここ私が遊んでたの。ここは私の場所なの。
 だからどいてくれないかなあ」

メチャクチャ自己中なことを言い出した。かわいくねー!
やんごとなき姫君どころか仁義なき女童(めのわらわ)

「んー?ここは皆で遊ぶところだから一緒に遊ぼうよ」

怒りを抑え、努めて良いオトナを演じるべく、ひろみち
お兄さんの口調を真似て優しく諭したのだが、その女童
はしかめっ面をしてどこかに行ってしまった。

一方でRに視線を移すとケーキや野菜などの食材のおもちゃを
バクバク食べている真似をしていた。

「お腹減ったのかしら」

「昼飯食おうぜ」

一旦子供の城を出て、向かいのロイヤルホストに入った。
愛子さまにあやかり名前だけはロイヤル。王家のもてなし。
ファミレスだけど。

ところがこの店がまずかった。注文してもなかなか料理が
出て来ず、Rが飽きてしまいぐずり始めてしまった。気分
転換にとRを抱いて店の外に出たのだが

「うわーん!うわーん!」

Rはこどもの城を指差して余計に泣き出してしまった。
あっちでもっと遊びたい!という意思表示だろう。

「はいはい。もうすぐだからね」

などと言っても泣き止むわけがない。ようやく運ばれて来た
時にはRは泣き叫びの絶頂期に達し、結局僕が抱いたまま嫁を
早く食わせてこどもの城に戻ったのだった。

後から僕が自分のぶんを食べて嫁と合流した時には

「あれからすぐに寝ちゃった」

泣いて無駄に体力を使い果たしてしまったRはベビーカーの中で
眠っていたのであった。可哀相に。おのれロイヤルホスト。
ロイヤルとは名ばかりである。

王家なんだから、パンがなかったらケーキを持ってこいやー! 日記才人投票ボタン。投票のお礼に一言飛び出ます。初回だけ登録が必要です。↑


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