僕の子宮を守って。

娘・R(2才)に嫁のおなかにいる第2子・トロ(仮名)の
存在を気付かせなければならない。

少し前までは全然分かっておらず、嫁の腹に容赦なく
ダイヴをかましたりして、いずれ弟もしくは妹になる
生命に全然気付いていない様子であった。

「ママのお腹の中に赤ちゃんがいるんだよ。
 なでなでしてごらん」

と僕が教えてやっても、撫でるどころかハエ叩きの如く
しぱーんと引っ叩くので、嫁は悶絶し僕は血の気が引いた
ものだった。しかし最近になってようやく

「嫁のお腹に何かいる」

という程度は理解し始めたようなので今朝起きた時に

「R、トロちゃんにおはようのなでなでをしよう」

と言ったところ、にっこり笑い嫁のところまでスタタと
走って行き、僕の言うとおり嫁の腹をスリスリしているでは
ないか。おお、ようやく分かってくれたか。

「ほら、『おはよう』ってあいさつしてごらん」

胎児とのスキンシップは重要である。中でも「声かけ」は
特に大事であり、産まれた後の関係にも大きな影響を及ぼす、
と産婦人科医から聞いた。だからRも姉としてまだ見ぬ兄弟に
声を掛けてやって欲しい…さあ何か言ってごらんなさい!
そう願った。ところがRは

「えへへ」

何故か照れ臭そうなはにかみを見せ、声は掛けないけれども
ペコペコとお辞儀をするのであった。いやそんな卑屈になら
なくても。君の弟か妹だってば。

…やはり何か勘違いしているような気がする。

「R、いくらお辞儀してもトロちゃんには見えないわよう」

嫁も可笑しがっていた。

しかし、実は子供たちには見えなくとも不思議な以心伝心で
分かってたりして。トロもお腹の中でペコペコと挨拶してたり
して…などと想像すると、僕も柄にもなく顔がほこほこと
ほころびてゆくのであった。

面白い兄弟になりそうな予感がして嬉しくなった。

Rは嫁の臍の窪みあたりを撫で続ける。そう。そことトロは
繋がっているんだよ。

腹のー谷間にー命のー花ーがー♪

Rとトロの兄弟船。
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