死神を呼ぶ折り紙。

明日、息子・タクが産まれて1ヵ月のお礼参りに行くので、栃木の
母が上京して来た。お土産に、と折り紙を娘・R(2才)に手渡した
ところRはものの見事にハマってしまい、

「Rちゃん、じょーず」

と自画自賛しながら自慰行為後の丸まったティッシュを髣髴させる、
グシャグシャになった折り紙を僕に手渡すので、

「うん、上手だね」

親として精一杯褒めてあげたが、マクドナルド店員並みの引きつった
笑顔になってしまっていたかもしれない。

「じゃあRに何か折ってあげましょうねえ」

嫁も母もそんな流れになったので、僕もひとつ作ってやるかという
運びになった。僕は子供の頃折り紙が好きで、ぶ厚い折り紙教本を
持っていて、それを見ながらチマチマ折っていたものである。言わば
その腕は文字通り折り紙付き。

昔取った杵柄を思い出し、Rが喜ぶ折り紙を折ってやろうと思った。
とりあえず折れそうなものの中でRが好きなのは動物であり、特に
象が好きなようである。いつも写真やテレビで象を見ると

「ぞうさーん、ぞうさーん」

と嬉しそうに叫び、他の動物より殊のほか食いつきが良い。という
訳で、象さんを折ってみたが…

折り紙かなまら祭り
  完成品              本物(参考写真)

何故こんな2才児に説明のしようがない代物が出来上がってしまった
かというと、成人男性の象さんの作り方しか探せなかったのである。
個人的には完成した充実感は極めて高いが…当然こんなもの出せる訳
がない。嫁と母に殺されること必至である。まさに死神を呼ぶ折り紙。

ひとまずは封印することにしたが、父であるこの僕が愛情を込めた象
さんは、いつかRが成長した暁に渡せる日が来るかもしれない。例えば
性教育の時とか。安産祈願とか。

タクになら下ネタが通じる年頃になったらくれてやってもよいか。ま、
こんな隠し玉もあるよってことで、子供達の人生を見守って行きたい。

人生山折り谷折り。

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鉄棒と相棒。

嫁が息子・タク(生後1ヶ月)を抱き、僕が娘・R(2才)と
戯れていた昼下がりの公園。

Rはブランコ、砂場、小山と次々に遊び場を変えて元気に
走り回っていた。

「あっち、あっち」

更にRは鉄棒で遊びたいのだ、と指差す。鉄棒は今までそれ程
遊びたがらなかったので、

「おお、これは成長の証」

僕は喜び、まだ手が届かないRの脇を抱えて鉄棒に掴まらせて
やった。Rから手を離すと、2秒ほどぶら下がることが出来たが、

「こわい」

それ以上は持たないらしくギブアップ宣言をしたので着地。

「ほほほ、じゃあお父ちゃんがお手本見せよう」

Rにカッコいいところを見せるべく、およそ20年ぶりに鉄棒を
握り、クルクルと前回りをしてみせたのだが、

「わあ、すごい」

驚いたのはRではなく嫁だった。ふ、そんなに凄いか僕の鉄棒。
俺に近寄ると火傷しちゃうぜ、アンタッチャブルな暴れん坊。
鎖かたびらにひのきの棒。カツ・レツ・キッカとフラウボウ。

「でもこれくらい小学校でやったろ?」

実は大した技をやった訳ではないし、鉄棒より肉棒の方に自信が
あるので、あくまで控えめに言ったところ

「だってあなたらしくないし。体動かしてるところとかイメージ
 じゃないし」

とのことだった。嫁は僕のことを「所詮運動音痴のオタク男」と
しか見ていなかったことがここに露呈された。その通りだけど。

ひととおり遊んで家に帰ると、嫁の言う通りガラにもなく運動を
したせいか、夕方まで昼寝してしまった。

「いい加減起きなさいよ!」

激怒した嫁に叩き起こされ、家庭に一触即発のおどろおどろしき
た黒雲が立ち込めたのであった。

鉄棒の後は絶望にて滅亡。

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セクハラ音大。

家族総出で買い物しようと街まで出掛けたら、商店街のオバチャン
に呼び止められた。

「すいません!これから大学祭の仮装行列が通るんですけど、
 アンケートやってくれませんか?」

我が街は江古田は武蔵大・日芸(日大藝術学部)・武蔵野音楽大の
3つの大学がある。各大学の仮装行列が商店街を練り歩くらしい。

話はそれるが、3大学の中で一番有名なのは日芸であろう。大学祭は
芸能人を呼ぶところが多いので、今年の日芸は絶対ハードゲイを呼び

「日ゲイ、フー!」

などとやるもんだと思っていたが、来るのは関根勤であった。微妙。
爆笑問題の母校だし来年まで持たないキャラだし呼べば良かったのに。

話を戻す。オバチャンから数字が並んだアンケート用紙を手渡され、

「みんな数字が書かれた名札を付けてるから、良かった仮装の番号に
 マルして下さい。お礼に練馬区共通商品券を差し上げます」

と説明を受けた。

「まじ?商品券?」

嫁の目の色が変わり、有無を言わさず仮装行列を見るハメに。やがて
登場した一団は武蔵野音大の仮装ブラスバンド部隊。さすが音大。
マイヤヒー、マイヤフーの演奏と共にゾロゾロと変な格好をした学生
達が練り歩く。そこで嫁が素っ頓狂な声を上げた。

「え?音大なのに男がいる!」

「いや、そりゃいるだろう…女子大じゃないんだから」

どうやら嫁には音大生=ピアノを弾くお金持ちのお嬢様、程度の
乏しいイメージしかなかったようだ。そりゃトロンボーンを吹く
ごつい兄ちゃんもいるだろうさ。セクハラである。しかし僕も可愛い
音大生を探すことに血眼になってしまった。途中、ラテンな格好を
したギャルが娘・R(2才)の前で立ち止まり、マラカスをしゃか
しゃか振っていた。

行列はものの5分ぐらいで通り過ぎた。

「さて…嫁。何番にする?」

「あまり番号見れなかったよう」

「僕もコスプレ女子大生の乳とか見てて番号見てなかった!
 えーと、さっきRの前でマラカス振ってた女の子は何番?」

「さあ。ブサイクだったからあまり見てなかった」

「うわ、ひどい」

しかしそれは僕も一緒で可愛い音大生の顔と乳しか記憶にない。

「…止むを得まい」

超適当にマルをしてアンケート用紙を返したら、商品券を頂いた。
ごめんね、オバチャン。

買い物を続けた僕らは、商店街のすぐ裏に葬儀場の前を通った。霊柩
車や人々が見受けられ、葬儀の最中であることが分かる。しかし先程
の仮装行列がまだ近くを歩いているらしく、ブラスバンドの演奏も
ガンガンに聞こえており…。

「なんだかすごいギャップだね」

「うん。葬儀のすぐそばで仮装行列って…」

仮装行列と火葬行列…。

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クロスオーバーイレブンPM。

「ちょうど1ヵ月前の今頃…陣痛が来たんだよね」

「あっという間だったなあ」

「早いものね」

僕は嫁と寝床で語り合っていた。

2005年11月2日から3日になろうとしていた深夜11時過ぎ。
今日1日のエピローグ、クロスオーバー・イレブン。
もうすぐ時計の針は12時を回ろうとしています。
今日と明日が出会う時、クロスオーバー・イレブン。
(懐かしいなあ)

息子・タクは10月3日の午前2時45分に生まれた。まもなく生まれて
1ヵ月になろうとしていたひとときであった。

「ということは…解禁」

産後1ヶ月は夫婦の契りを禁止されていたが、間もなく僕の下半身の
妖刀村雨も解禁になり、タマキン全力投球であり、禁欲生活バイバイ
キーンになるはずであった。嫁の体ともクロスオーバーになる瞬間。
しかし嫁は

「疲れてるし、今日はいいよ」

固く心と体を閉ざしたままであった。

「あ、そう…」

既に上半身裸になった僕であったが、行き場を失って虚ろになって
いたら嫁が哀れんだのであろうか、

「すぐ終わるならいいよ」

極めて事務的に、やる気のないソープ嬢のように言った。

「すぐ終わらせろとは…俺は犬か!」

男としてここは怒るべきである局面かもしれなかったが、今はそんな
こと言える立場ではない。怒りより1ヵ月分の悶々が溜まっているので
ある。

「それでは失礼して…」

「はい…」

タクが1ヶ月前に通ってきた道の封印を解く。1ヵ月ぶりに対面するた
その入り口は…。

「…」

「…」

「形、変わってない?」

「うそー?!」

完。

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幼児と乳児で一大事。

朝、息子タク(そろそろ生後1ヶ月)がまるで細木和子に襲われた
かのように絶叫しているので、抱いてあやしていた。

アグラを掻いてその上に寝かせていたら今度は娘・R(2才)が

「みっふぃー。みっふぃー」

ミッフィーの絵本を持って来て僕の前に置いた。「読め」という
ことである。そしてR自身は僕のアグラ上に座ろうとするので

「R、タクがいるんだよ!踏むな!」

日頃はタクの頭を撫でたりして可愛がっている癖に、2才の幼女は
気まぐれオレンジロード。僕はふたりの子供に阻まれて座ったまま
どうにも動けなくなってしまった。片やタクが泣き叫んでいるし、
片やRがみっふぃーみっふぃーと連呼して絵本読みをせがむ。その内
タクのお尻から

「びびびびびび」

おむつ交換を知らせるウェットでスメルなサウンドが響き渡り…と、
にっちもさっちもいかなくなってしまった。

Rだけだったら何とかなったが、ふたり同時に世話をするのはやはり
大変なことである。とても手が回らない。手があと4本ぐらい欲しい
気分だ。2本でRの絵本を読み、2本でタクのおむつを換え、残りの2本で
嫁の乳を揉む。

僕は会社に行ってしまうけれども、Rとタクと1日中顔を突き合わせて
いる嫁は身も心も燃え尽きた灰になってしまうだろう、と育児の苦労を
改めて感じた。

子供(チャイルド)がふたりになればチャイルズではなくチルドレンで
あるのも、何故そのような変則的な複数形になるのも分かったような気
がした。

きっと英語を作った人は、チャイルドが複数になると「アナドレン」と
言いたかったのだろう。ぽてちん。

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