音楽の世界だ!

ひええんひえええんと泣く息子・タク(2ヶ月)をあやすために、
クラブフロアが思いっきり盛り上がりそうなアゲアゲのテクノを
ズンドコズンドコかけながら抱いていたら

「タクもテクノ好きにする気?」

嫁が突っ込みを入れて来た。そう。僕はテクノミュージックが
大好き。そして娘・R(2才)にも産まれる前から胎教と称して
テクノを聞かせていた。胎教にはクラシックがいいとよく言わ
れるが、うちにはそんな音源はないし、そもそも妊婦が好きな
音楽であれば何でもよいのである。嫁も僕とクラブで踊ってた
クチなのでテクノも良かろう、と判断した次第。かくしてその
成果は抜群で、この時もRは

「いえーい。いえーい」

テクノを聞きつけて早速踊り始めた。どこで覚えたんだろうと
思う程見事なステップを踏み、よくクラブにいるヘロヘロで
フロアにたゆたっている酔っ払いクラバー(僕のこと)よりも
サマになっている。ちゃんとブレイク(曲の途中でバスドラ音が
スコーンと抜ける時のこと。フロアが盛り上がるタイミング)
にもちゃんと

「いえーい!」

とか叫んで両手を上げているし、教えてもないのにクラブの
「お約束」をある程度心得てしまっているのが不思議である
程テクノに馴染んでしまっている。僕から受け継いだクラバー
の血がそうさせているのだろうか…。かと思うと

「ぱぱー。うちわ。うちわ」

そうだった。Rは踊る時には必ずウチワを持ちたがる。クラバー
だけじゃなく何故かジュリアナギャルを彷彿とさせる一面も
あったりして。かつてジュリ扇と呼ばれたボアが付いた扇子に
ボディコンに身を包んだジュリアナギャル…。しかし僕はそんな
ディスコには行ったことがないのでボディコンの遺伝子はない。
ロリコンならあるが。

おそらく音楽に合わせて踊る楽しみ方というのは大人も子供も
そう変わらないものなのだろう。そう考えるとパラパラなども
お遊戯の延長に思えてくる。

さて、Rはテクノを受け入れたようだがタクはどうだろうか。
基本的にテクノ好きというのは見てくれがオタクっぽいのであまり
モテない。いや、モテないとまでは言わないがパッとしない。
ダンスミュージックの他のジャンルでモテそうなのは、あくまでも
僕のイメージだが、ヒップホップ系ではないだろうか。見た目
がオサレだし。

タクには将来父の轍を踏ませず、男の幸せを目指して歩ませるよう、
ヒップホップを聞かせるのもいいかもしれない。そして年頃になって
からは適度な性の情報を小出しに指導していく。

え、何故そこでエロ情報が出てくるのかって?それは、そうすれば
タクは

東京生まれヒップホップ育ち エロそうな奴らはだいたい友達

になるからである。
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蒼白歌合戦。

露出度の高い元一級建築士を思い浮かべながら、カメハメハ大王の
メロディで

「アネハネハーアネハネハーアネハネアネハネハー」

と歌っていたら娘・R(2才)が

「あねはねはー」

一緒に僕と歌っていた。しまった。不謹慎な歌を覚えさせてしまった。
こんな歌を外で歌うようになってしまったら…と真っ青になり

「うわー。覚えなくていいから!」

慌てて違う歌を歌って忘れさせようとしてしまった。Rはこれまでも歌う
ことが好きだったが、それは

「あでべれぶれー」

とか意味不明のものが多かったが、最近Rはちゃんとした歌詞を歌う
ようになって来ている。近頃特にお気に入りなのは、お遊戯教室で
よくやっている

「かわいいRちゃんは、おりこうさん。かわいいRちゃんはお手手を
 あげてー」

という歌である。この後「Rちゃーん」と呼んで

「はーい」

とRに手を上げて返事をさせる、というものである。これをRはよく
歌い、替え歌までするようになった。すなわち

「かわいいぱーぱーは、おりこうしゃーん。かわいいぱーぱーは
 おててをあーげてー」

Rの名前のところを僕にして歌うのだ。そして

「ぱぱー!」

とご指名してくるので

「はーい」

Rに教え込んだお返事を僕もすることになってしまった。三十路を
過ぎてお利口さんも可愛いもないもんだが。照れ臭いものである。
Rが言う「可愛い」は、前の日記にも書いたが、息子・タク(2ヶ月)
から山田邦子までとても幅広いものを指すので、僕が本当にお利口で
可愛い…なんてことは

姉も歯もない噂でございます。
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元ゲームセンターあらし。

「アド街ック天国」という番組で、「アキバ」(秋葉原)の名物を
取り上げていたが、アキバのゲーセンで「太鼓の達人」という、曲に
合わせて太鼓を叩く音楽系ゲームの名人が出ていた。

まだ中学生であるが腕前はトップレベルで、彼がドンドコと太鼓を
プレイするとその見事さに人だかりが出来てしまうという。だが

「別に今更珍しくもない…気に入らん」

というのが感想だった。恥ずかしい話僕もゲーマーなので分かる。
彼に限らず上手い(もしくは気持ち悪い)ゲーマーには人が集まる
ものであり、少し前までは横浜のゲーセンで気持ち悪い踊りを踊り
ながら「ポップンミュージック」というやはり音楽系のゲームをする
男がいて、気持ち悪がられながらもたくさんのギャラリーがいたし、
その前には僕自身、音楽系ゲームの草分け「ビートマニア」という
ゲームをやっていた全盛期には20人ぐらい見物人がいた。

…などと威張ってもオタクをカミングアウトするだけで痛さ倍増で
あり、大体ギャラリーの半分以上は感心して見ているのではなく

「うわ。キモイ」

という猫の死体を見るような怖いもの見たさで見ているのである。
それに当然僕の前にも達人プレイヤーの先輩はおり、遡れば

「俺のインベーダーゲームのプレイには何十人とギャラリーが集
 まったもんだぜ」

というアーケードゲーム(ゲーセンのゲームのこと)黎明期にも
そういう人はいたはずだし、更に歴史を紐解けば

「俺が海に浮かんだ船上の扇を射落とす時は、源平全員ギャラリー
 だったぜ」

などというところまで永遠に遡れてしまうので意味がないので、
どちらが先かを張り合うのはナンセンスである。

では何故気に入らなかったというと、その彼が中学生だから。
ゲーセンで遊ぶには金がかかる。更にあそこまで上手くなるのは
相当金をかけているだろう。僕もビートマニアにはかなりの大金を
突っ込んでしまったが、中学生にその金を稼げるわけがない。
つまりは親の金を湯水の如く使っているであろう。ここが気に食わ
ないのである。

もっとも「太鼓の達人」は家庭用ゲームでも出来るので、家で目一杯
練習してたまのゲーセンで腕を披露する、というのだったらその彼に
はゴメンナサイだが、家庭用とアーケードではコントローラーや画面
のサイズが異なり勝手が違う。ゲーセンでいいプレイをするにはやはり
ゲーセンで慣れてないと駄目なので、この彼も相当ゲーセン慣れして
いるものと想像できる。

僕がよく行っていたゲーセンにも、入り浸っていてゲームがとても
上手い小中学生がいた。たいてい医者の息子とか、裕福な家の子達で
あった。

僕がゲーム好きの遺伝子を持っているだけあって、子供達、特に息子
のタクがゲーセンどっぷりのやなガキにならなきゃいいが…そして
オタク化して将来は電車男に…と少し心配してしまうのであった。

でも子供にゲーセンで使わせる金があったら僕が使うけど。

ああ、家庭用ゲームにハマる、という危険もあった。将来

「プレステ買って」

などと言われたら要注意である。それとも

「ゲームやるより女体とやるほうが面白いよ」

とオタクよりエロスの道に進ませたほうがいくらかましだろうか。
少なくとも女の子に近付くために、少なくともアキバ系のルックス
は避けるようになるだろう。

プレステよりヤリステ、などと悟られても困るが…。
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にせものたべものやさんごっこ。

娘・R(2才)はままごとが好きである。

いつも家にある食器やら食べ物などのままごとグッズを引っ張り
出しては

「いらっしゃいましぇ〜」

とレストラン店員の真似をするのがお気に入りのようだ。最近は
本物のお店に行った時まで真似してしまうので少し恥ずかしい思い
をすることもある。

嫁とRと息子・タク(2ヶ月)を連れてパスタ屋に入ったときのこと。
僕らがモソモソと食べていると、女性2人組の客がやって来ると

「いらっしゃいましぇ〜」

店員よりも早く声を掛けてしまい

「わー。言わなくていいから!」

嫁と大慌てする羽目になってしまった。それどころではなく、
近所の音大生らしい女性客が僕らの席の前の扉を開けてバタンと
入っていくと、Rは

「おねえしゃん。しーしー」

と指差して言うのである。

「…しーしーってなに?」

「さあ何だろう…」

嫁と不思議に思ってRに聞いてみても

「しーしー。おねえしゃん。しーしー」

と繰り返すだけ。ようやくピンと来た僕が

「ああ。しーしーっておしっこのことか。…ってそういうこと
 大きな声で言わないの!」

またもや恥ずかしくなってしまった。

「でもよくあそこがトイレだって分かったわねえ…」

嫁は感心した口調で言う。

「いや、おしっこじゃなくてうんこかもしれないじゃん」

「いや、そういう話じゃなくて…」

とても食事時の会話にあるまじき話題となってしまい、肩身も
狭くなってとっととカルボナーラを食べてサヨオナーラしたの
であった。
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かわいい先生、ハイハイ。

娘・R(2才)が通うお遊戯教室のクリスマス発表会があった。

お遊戯マスター・ヨシコ先生(推定年齢20代後半〜30台前半:怖くて
誰も聞けない)の指導の下、今月に入ってから

「発表会のために練習しましょー」

と色々なお遊戯をやったものの、どれを発表会でやるとかは全然
知らされてなく、練習そのものもわりとユルユルであった。

もっとも2才児達をいくら綿密に練習させたところで覚えられる
のはたかが知れているからであろう。しかし親は真剣である。
親もお遊戯の間に子供を持ち上げるとか重要な役割があるのだ。

息子・タク(2ヶ月)が産まれてからは、嫁の代わりに僕が出来る
だけRを連れて行っていたので、発表会の今日も僕がその役目を
果たすべくRとスタンバっていた。嫁はタクを抱いてギャラリー席
で座っていたが、

「あのさ、私が代わろうか?」

始まる直前にニヤニヤと言い出したので、何故に土壇場になって…
と断ろうとしたのだが、周りを見ると子供と演じようとしている
父親は僕だけなのである。あとはみんなママ。

「人妻の中にぃ〜オヤジがひとりぃ〜」

と囃し立てられるのではないかと急に恥ずかしくなって嫁とチェンジ
した。以後僕はカメラ役となった。

さて発表会が始まったものの、結局は先生が前に立って

「さあ歌って踊りましょー」

と手本を見せて子供達が踊るという、つまりいつもの教室と変わらぬ
内容だった。ギャラリーも身内だけである。どこが発表会なのか…と
首を捻っていたら、お遊戯も20分程度で終わってしまった。そこで
今迄ピアノ演奏していたヨシコ先生(既婚か未婚か不明:怖くて誰も
聞けない)がススス…と正面に現れ、

「それでは〜次はワタシのピアノのミニコンサートということで…」

照れ笑いをしながらニコリと挨拶をした。発表会のメインって実は
コレだったのでは…恐るべしヨシコ先生(彼氏or旦那がいるか不明:
怖くて誰も聞けない)。彼女の本職はピアニストであるらしい。

挨拶の後ヨシコ先生は姿を消した。

「先生どこ行っちゃったのかしら」

「着替えてるのよ。ほらさっきまでジャージだったじゃない」

「そか。一応コンサートなのにそれじゃサマにならないもんねえ」

「そういえば、化粧だけはいつもよりしっかりしてたわよ」

僕の隣の人妻達は言いたい放題。おばちゃんかあんたら。
やがてヨシコ先生は綺麗なドレスに身を包み戻ってきた。

「しぇんしぇい、かわいいねえムフフ」

Rが2才児とは思えない嬲るような口調で感想を述べた。
おっさんかあんたは。

無事に発表会を終え、夕飯の時にテレビを見ていたら山田邦子が
映っていた。それを見たRがひとこと。

「かわいいねえ」

Rの「かわいい」はストライクゾーンが広すぎるようだ。
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