鶴は千年、デジカメはン万円

我が愛するデジカメ。

愛する娘・R(4才)を、愛する息子・タク(1才)を、ついでに嫁を写して2年半。そして時々「ヌレヨンちんちゃん」などといった変な風俗店の看板を、たまに可愛い女の子を撮り続けた720万画素。

大きな声では言えないがデジカメでデバカメしたこともあった。僕の酷使によく耐えて来た愛機と言えよう。

そのせいか最近レンズの中にゴミが入ったらしく、黒い斑点がぼんやり写るようになってしまった。ネットで調べてみると修理代が高く、買った方が早いとのことだったのですぐさま買うことにした。子供達の綺麗な画像を残しておきたいという親心及び自己満足である。

買うならはやり秋葉原だな!秋葉原で家電を買うなど随分久しぶりであるがそう思った。
でかい電気はアキハバラバラ♪でかいちんこはでかいまらまら♪

駅を降りるとさすがアキバ、メイドがチラシ配ってるわ黄色いフリフリドレスの姉ちゃんが路上で歌ってるわでマクー空間のような異世界である。路上アイドルなんて初めて見た。しかも誰も立ち止まらない。ギャラリーもいないのにWINKばりの踊りをヘイヘイ踊っていたり、誰も聞いていないのに

「今日はどうもありがとう」

とかMCやっている光景は灼熱の東京砂漠の中にあっても寒かった。この食いつきの悪さはおそらく姉ちゃんが些かお年を召しているからであろう。アキバ系は総じてロリ系が大好きである。この姉ちゃんが踊っているさまは、温泉街にあるストリップ小屋の序盤のショー(踊るけど脱がない)に近い場末感と寂寥感が漂っていた。

そんな姉ちゃんはさておき、デジカメである。某電気店にて目当てのデジカメを発見。若干金額が高い。そこで店員を捕まえて交渉してみたが

「いやー。値札の通りなんですよー。そう指示されてますんでー」

なんと、値下げ交渉ができぬ。秋葉原の電気店といえばそれが醍醐味ではなかったか。僕がまだ栃木の高校生だった頃、ドキドキしながら電車に揺られてやって来て、必死になってラジカセを値下げしてもらった思い出は既に古き良き過去なのか。

あの時はウブなイナカモノだった為、店員と話すだけで極度に緊張していた。初体験の時よりキョドっていたのではないだろうか。店員のおじさんにまで

「ははは、そんなに緊張しなくていいよ」

と言われてしまい、もし僕が

「優しくお願いします」

なんて返事してたらそれこそ初体験であった。しかもやられちゃう方。そんなセピア色のアキバメモリーを思い出しつつ、しょんぼりしながら買い求めた。

家に帰ろう、と思った。そうだ。家族を撮るためにこのカメラを買ったのだ。早く帰ろう。僕の帰りを待つ人がいる家へ…。

「お帰りなさいませ、ご主人様♪」

家に帰るつもりがメイド喫茶に入っちゃった。てへ。

最後に床屋コントしまーす。

床屋:「いらっしゃい!今日は髪の長さはどれくらいにしましょ」
お客:「あ、デジカメで」

☆完☆

問題:アキバのお色気産業はメイド喫茶一色かと思ってたが意外な店があった。それは何でしょう?

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