M.C.横ハマー

昨日の日記の続き。

横浜美術館を後にした僕らは「横浜アンパンマンこどもミュージアム」まで歩いて行ってみた。

既に娘・R(3才)も息子・タク(1才)も力の限り遊んだようで、タクなど美術館から出た途端に寝てしまった。だからアンパンマンミュージアムに入ることは考えていない。ただずっと気になっていたので建物だけでも見てみたかった。

歩いて10分ほどで着くと、やはりもの凄い人だかり。入口にアンパンマン他主要キャラ像があり

「あ、あんぱんまん!」

疲れて僕におんぶされていたRもさすがに目を輝かせ、それらと記念写真をパチリ。そんじゃ中華街行きますか、と移動しようとしたところで、なんと向こうからアンパンマンが歩いて来るではないか。

「来る!きっとこっちにも来る!」

「貞子じゃないんだから」

何故かR以上に興奮し、「リング」の主題歌みたいなセリフを口走っていた嫁。果たしてアンパンマンは僕らのそばを横切って行って

「アンパンマンは、ただいまパトロール中でございまーす」

と先導する姉ちゃんと共に去っていった。

「よかったね、Rちゃん。アンパンマン見れて!」

「うん」

嫁もRも満足気であった。僕はひとりで

「ここのアンパンマンって警備員みたいなことするんだなあ…万引きしたらアンパーンチってか」

などとブツブツ考えていたのであるが。

その後電車で中華街に移動しようとしたところ

「Rちゃんがする!Rちゃんがカッチャンする!」

Rが自動改札に切符を入れたいのだとねだった。しかし混雑していたので

「なりませぬ」

「いやー!Rちゃんがするのー!」

僕が自分で切符を入れて電車に乗り、中華街に到着。

最近は「中国産小麦粉を使ったペットフードを食べた犬猫が次々死亡」や「中国産の即席めんを食べたモンゴル人2人死亡」といった中国が本気出して来てるんじゃないかというデンジャラス過ぎるニュースが次々と耳に入り、恐れがないわけではなかったが

「ま、ここは日本だし…」

僕は馴染みのある上海料理店を選んだ。この店は中華街に来ると必ずここで食べる、と言ってよい。1年に1度、2年に1度ぐらいの間隔ではあるが、もう10年以上来ている。いつもレジ付近で従業員に指示を飛ばし、店を切り盛りしているおかみさんは殆ど老けることなく変わりない。僕は密かに楊夫人(マダムヤン)と呼んでいる。

僕が中華料理店でおかみさんの顔を覚えているのは、このマダムヤンと子供の頃よく連れて行かれた地元の店だけである。そこのおかみさんはいつもへドリアン女王のようなドスの効いた化粧をしておりとても怖かった。Rぐらいの幼き日の僕はよく泣いていたという。

「嫁、何食べる?」

「あなたが食べたいものでいいよ」

「あ、食用ガエルがある」

「それはヤダ」

嫁も僕もRも中華人民ランチに舌鼓を打っていても、タクはとうとう起きぬまま。ベビーカーの中で堂々と寝入る眠れる獅子。

「あら、ボクちゃんはとうとう起きなかったのね」

楊夫人にそう言われて店を出た後は中華街の雑貨屋を散策。嫁が幼児用カンフー服4,000円也に魅入られて、その場を動けず地縛霊となった。

「ちっちゃいカンフー服、タクに着せたらカワイイに違いない…龍の刺繍もカッコイイ…でも高い…」

トランペットを欲しがる黒人少年のように釘付けになっているさまは、ディスプレイに映ったエロ画像4メガバイト也を前にした自分自身の後姿を見る思いであった。結局買わなかった。

家に帰ると既に夕方。紙工作、ペインティング、アンパンマン遭遇、上海料理、中華街探索、などなどかなり充実した1日であったと満足した。Rもさぞかし楽しかったのではないかと思い、

「Rちゃん、今日は何が楽しかった?」

と聞いてみると

「Rちゃんねえ、えきでカチャッてやりたかったの…」

うわ、自動改札のことまだ根に持ってる。

「ご、ごめんね。今度やらせてあげるからね…」

誤魔化しきれないのでみんなで上海料理の歌を歌いマース。

せーの、いち、に、上海。

問題:中華街で嫁が探し回っていたものは何でしょう?

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