無能会談

嫁実家で、嫁父母が僕らにバーベキューでもてなしてくれた。

嫁父と嫁弟、そして嫁叔父と僕ら、すなわち男闘呼組は縁側で酒を飲み、嫁母と嫁、そして嫁祖母と嫁叔母、すなわち大奥組は部屋で食べていた。

娘・R(3才)と息子・タク(1才)も大奥組に混じって部屋の中にいたのだが

「ぱぱー。ぱぱー。うえええん」

タクが泣いて僕を呼ぶので膝の上に乗せた。

「おお、お前も男だったな。よし、男闘呼組に入れてやる。お前フックンな」

酔っ払っているのでメンバー構成が出鱈目である。そのうち嫁父も酔っ払って来て、嫁弟に絡み始めた。

「お前よー。そろそろ彼女作ってさ、来年あたりに結婚してくれよ。頼むよ」

嫁弟はわりとカッコよく、Rやタクともよく遊んでくれるナイスガイなのに、女っ気がまるでない。僕もいつも不思議に思う。一方で当の嫁弟は華麗にスルー。どうやら慣れているようである。

「今日みたいな日にさ~友達呼べよ~。彼女紹介するよ、とか言ってRちゃんを紹介しちゃったりして」

むう。嫁父、なんてことを。いくらRが嫁弟に懐いているからといって、それとこれとは話が別だ、第一叔父と姪の関係はではないか…と戯言にマジギレしそうになって酒をあおったら

「あら、でも父親が許さないみたいね」

と、僕を見て笑う嫁父。おっと、どうやら目から破壊光線が出てしまっていたようだ。

「でも、うちの弟も女っ気ゼロですよ。まだそんなに焦んなくても…」

一応フォローを入れると今度は嫁叔父が

「じゃあうちのマキコはどうかな?アレも男っ気なくて…」

と食い付いてきた。マキコちゃんとは嫁叔父の娘で、つまり嫁のイトコである。彼女とは何度か会ったことがある。うちの弟とはふたつ違いであり

「結構いいかもしれませんよ」

その雰囲気からわりといい感じになるのでは…と思った。

「そういえば叔父さん、今日はマキコちゃんは来ないんですか?」

「ああ、今日はビッグサイト行ってる」

「ビッグサイト?」

「マンガのイベントだとかで」

わ、忘れてた。マキコちゃんは同人誌を描くバリバリの腐女子であった。しかしうちの弟もアニメ主題歌のCD持ってたし、妨げにはならぬであろう。むしろ好条件である…と、思いたい。

本人達不在の中で

「ふたりが結婚したらめでたいなあ」

勝手に盛り上がる酔っ払い親族会談であった。

宴が終わった後、

「そんなことを話してたんだよ」

と嫁に説明したら

「あら、いいんじゃない?」

などと言っていた。

「マキコあなたのお母さんに似てるし」

「そうか?似てるかあ?」

「体型とか」

「お前、そこまでひどくないだろ!」(母の体型=樽)

実のイトコにひどいことを言う嫁。しかし僕も酒の上の戯言が発端とはいえ、嫁のイトコなら弟のお相手になってくれるのは大歓迎である。きっと幸せになるのではないだろうか。歌にもある。

私たちこれから、いイトコろ~♪

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