スウィートハートおやじ

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日曜日の昼下がり、娘・R(3才)と息子・タク(1才)を公園で遊ばせていた。

「おうちかえる」

寒かったせいだろうか、ものの30分ぐらいでRが音を上げたのでウチに帰ることにしたが、外で遊ぶのがこれだけの時間だとつまらぬだろうと思い、

「じゃあお父さんと電車乗るか」

ちょうど来月の旅行のため特急券を買わなければならないので、Rを連れて最寄のJR駅に行くことにした。タクは昼寝してしまったので嫁共々留守番である。

「Rちゃんでんしゃだーいすき」

そうはしゃぎながら電車に乗るRを見て、こんなチープなことで喜んでくれることに愛おしさを感じてしまったり。駅に着いて切符を買う。

「僕が買うのは往復切符だが、Rへの切符は愛の片道切符…ワンウェイ・チケット・トゥー・ユー…」

ぶつくさ言いながらもすぐ終わってしまったので商店街をぶらつくことにした。留守番のタクが可哀想だからお土産を買うのである。洋菓子店のショーウィンドウにプリンがあったのが見えたので、それでいいかと考えた。(タクに生クリームはまだ禁止である)

「Rちゃん、プリンでいいかな」

「うん。Rちゃん、ぷりんたべたい」

「よし、そうしよう」

そうRと話がついたはずだった。しかしショーウィンドウ越しに店員に声をかけようとしたところ

「Rちゃんこれがいいの」

と指差したのはプリンの下に陳列されていたイチゴのショートケーキ。これを見付けてしまったがためにあっさり心変わりしてしまったようである。

「さっきプリンでいいって言ったでしょう」

「いやっ!これがいいのっ!Rちゃん、いちごだいすきなの」

プリン250円也。イチゴショートケーキ380円也。

「うーん…」

最近のケーキって高い…と引いてしまったのもあるが、最近僕はRのわがままを受け過ぎているのではないかと常々感じており、そのまま受け入れるのはどうしようかと迷ったのだが、結局Rの一途な瞳には逆らえず、プリンとイチゴケーキを2個ずつ買ってしまった。

帰りの電車の後、駅から家への道はRが

「おんぶ…」

と言うのでおぶって歩いた。これはわがままというより疲れだから致し方あるまい。むしろこのオヤジとデートに付き合ってくれたことに感謝すべきだ。そう思っておぶった。家に着くなり

「君とRがケーキね。僕とタクがプリンだから」

そう嫁に指示して、タクが起きてからおやつタイム。Rはケーキをガツガツ。タクにはプリンを口に運んでやったのだが、テレビチャンピオンより早く食べる食べる。

「はい、おしまい」

あっという間になくなってしまったら

「うわあああああん!」

余程美味しかったのだろうか、泣き出してしまった。

「わかったわかった、パパの残りをあげるから…」

どうやら僕はケーキよりもプリンよりも甘いようだ。

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