僕の瞳が恋してる

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片方のコンタクトレンズがなくなってしまったので買いに行った。

僕はメガネを持っていない。元々オタクな風貌なのに、メガネをかけることがトドメとなり、どこからどう見てもアキバ系になってしまうからである。

近頃は「メガネ男子萌え」などとメガネ男が好きだと言って憚らない女の子もいるが、これは罠である。メガネをかけてようがかけていまいが、どちらにせよベースがイケメンでないと女の子は萌えないのであり、その辺を分かっていないブサイクが得意気にメガネをかけても「オタ、きんもー☆」となるのがオチである。

それならばせめてオタクっぽくないメガネはどうか、と以前試着したことがあるが、これもドエロ産婦人科医みたいになってしまい、僕にはコンタクトレンズの道しかないのだと確信した。

片方のレンズをなくしてからしばらく裸眼で過ごしていた為、メガネ屋に行く前に眼科の検診のやり直しから始まった。

白衣の美人スタッフに案内され、これぞまさにハクいスケ(意味が分からない人はお父さんお母さんに聞こう)だな…と血湧き肉踊る。これから検査だってのに目が血走ったりして。眼球をじっくり見られながら

「僕の好きな人を知りたいかい?じゃあ僕の瞳を覗いてご覧。そこに映っている人がそうなのさ。EYE LOVE YOU…なんちゃってヨオオオオ!」

とか考えていたのでものすごいエロ目になっていたかもしれない。

検査が終わり、以下のような写真を見させられた。

kakumaku
「これは目の角膜内皮細胞というものです」

「ほうほう…これはまるで…

nobunaga
信長の野望みたいですね!」

「は?」

「いえ、なんでもないっす…」

危うくオタクがばれるところだった。白衣の美人が言うには、今の状態は良好であるが、

「コンタクトレンズをつけっ放しにしたり古いのをいつまでも使っていると、酸素の供給が減るので角膜内皮細胞がどんどん死んでいく恐れがあります。この細胞は再生されません。大きくなっている細胞は死んだ分をカバーしているのです。細胞の数が減ると危険なので、必ず定期検査を受けてください」

一気に脅しとも受け取れる説明をがーっと聞かされて少し怖くなった。それ以上に彼女は目を扱っている職業のせいか、美人だが僕を見つめる視線が鋭くて怖い。でも色っぽい。君の瞳に惨敗。

家に帰ってからインターネッツで調べると

「内皮細胞は眼球内部の水分が角膜に貯まりすぎるのを防ぐ役割をする。細胞が減り過ぎるとその機能が弱まり、角膜に水分が侵入する。これが「角膜浮腫」であり、角膜は白く濁り視力は急激に低下する。治すには角膜移植しか方法がない」

おおよそこのようなことであることが分かった。お、おっかねええええ。メガネと併用せよとはこのことだったのか。しかしメガネをかけるとオタク面の生き恥を晒して生きなければならない…。

メガネも地獄。コンタクトも地獄。どうすりゃいいの。レーシック手術でもしろってのか。恐れおののいた僕は…

コンタクトレンズを買わなかったかというと、
ソンナコトナイッス。

角膜を傷付けないよう、毎日呪文を唱えて使用しているのである。

カクマクマヤコン。

問題:中国ではコンタクト3枚も重ねて取れなくなり手術した人がいたが、僕がよくやらかしてたことはなんでしょう?
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