惨事のおやつ

3時のおやつ。

嫁が子供達に「おやつよー」と告げる。娘・R(4才)は喜び、昼寝から起こされた息子・タク(2才)は「いらない!」とまだテンションが低い。僕も小腹が空いていたので

「ママ、ボクのおやつは?」

可能な限り嫁におねだりしてみたら

「あるわけないでしょ」

と冷たく言われたので

「じゃあマクダーナル(本場的発音)でも行って来るかなあ…」

寂しく出掛けようとすると、嫁がビッグマックのクーポン券をぺっと投げた。

「Rも行くか?」

「いくー!」

タクは寝起きでフニャフニャしていたので、Rだけを連れて駅前の商店街に。マクダーナル(本場的発音)に行く前にコンビニや本屋などをぶらつき、ついでの買い物をしていると、

「パパ、あのねあのね」

Rが小声で耳打ちしようとする。なんだろうと思うと中腰になって耳をRに寄せてみると

「はんばーがー、かいにいこ」

そっと囁いた。どうやらRもハンバーガーを食べたいらしい。その仕草がまるで

「今夜は私を食べて」

と顔を赤らめながらそっと耳打ちする新妻のようで身悶えしそうになった。それに比べて今の嫁ときたら。まぐわい交渉をすると耳打ちどころか平手打ちである。

すぐさまマクド(関西的発音)に赴きビッグマック2個300円也を買い、さて帰ろうかとしたところRの姿がない。慌てて周りを見回すと、すぐそばのゲーセンの前にいた。

「Rちゃん!」

ゲーセン前に設置されているUFOキャッチャーを眺めていたR。その名を叫びながら、安堵と共にどうしようもなく湧き上がってくるノスタルジーに身が固まってしまった。

このゲーセンで、Rちゃんと呼ぶ…もう何年ぶりのことだろう。Rの名前のルーツで僕が大好きだった美少女・Rちゃんはここの店員だったのである。今はもうどこにいるかも分からない。彼女と一緒に遊んでいた頃、このゲーセンでRちゃんを呼び、数年ぶりの今、同じ名前の娘を呼ぶ。なんという諸行無常。

「ぱぱ、おしりかじりむしがあるよ」

UFOキャッチャーには「おしりかじり虫」のタオルが入っていた。

「取ってやろうか」

100円で取れた。

よくRちゃんが取りやすくしてくれてたっけ。もう君の手助けがなくても余裕で取れるよ…君は今何処にいるんだい…?

ハンバーガーとおしりかじり虫の獲物をゲットして喜ぶR。一方僕の心はピクルスのように酸っぱくなってしまったさ。あ、ピクルス抜きにしてもらうの忘れた。

心が重くなってしまったら、なんだか体も重くなってしまった。たかが駅前に買い物しただけなのに、すごい重い仕事をしたような。

重い心持ちのまま3時のおやつを食べた。

カステラ1番電話は2番。3時のおやつは重労働。

問題:ちゃっかり嫁がついでに頼んだ買い物は何だったでしょう?

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