かまぼこ貪るおぼこ娘

昨日の日記の通り、よりによって結婚記念日の七夕の日に、泊りがけで熱海へ出張して来たのだが、実は嫁が本当にそう信じているのか多少心配であった。

熱海といえば不倫旅行のイメージが強いのである。建築業あたりの経営者が愛人と温泉でしっぽりうっとりずっぽり、アタミーでキスミーラブミーってな具合である。

ただ本当に仕事だし、こんな僕と不倫する物好きもいないし、百歩譲っていたとしても、わざわざ結婚記念日にぶっつけて不倫旅行する、などというある意味大変男気のある行動を取れる度胸もない。嫁も大昔ラブラブだった頃とは違い、今は枯れているので嫉妬も猜疑もないだろうが、少しは恐れていた。

なのでちょっとお土産は気を利かせたものを買っていこうか…という気になった。そこで見つけたものがカマボコであった。

「カマボコは熱海じゃなくて小田原名物じゃん」

絶対嫁にツッコまれるなあ…と思ったのだが(新幹線で熱海の隣の駅が小田原である。カマボコの老舗「鈴廣」が有名で、熱海にも出店があったのである)、熱海名物と称するお土産は何だか観光地観光地していて俗っぽいのばかりだったので、鈴廣の高級カマボコを買った。

それにカマボコなら娘・R(2才)も食べられるだろうと思ったのである。

これも昨日の日記の通り、家に帰って来たら誰もいなかったので、カマボコを冷蔵庫に入れつつも、腹が減ってたので全部食ってやろうかと悶えていたが、2時間後ようやく帰って来たので

「お土産、冷蔵庫に入ってるから」

と嫁に伝えたところ

「カマボコは熱海じゃなくて小田原名物じゃん」

予想通りのリアクションを見せた。嬉しいような別にどうでもいいような。

「いや、Rが食べると思ってさ…それに結構高いんだぞこれ」

というわけで早速夕食にそのカマボコが出された。Rも僕の予想通りまず箸を付けたのがカマボコで、バクバク平らげ嫁の分まで奪っていた。うまいかうまいか。そのカマボコひと切れがマックのチーズバーガー1個分ぐらいの値段だからなあ。

「こんな高級なものを食べさせちゃって、舌が肥えて他のカマボコなんて見向きもしない、なんてことにならないかなあ」

嫁がそんなことを心配していたが、僕も食べてみたところ、味はその辺のスーパーで買ったやつと大して変わらないので大丈夫だろう。ていうかショック。あんだけ高かったのに…。ジャンクフードで僕の味覚が麻痺しているのだろうか。そうあって欲しい。

「R、おいしいかい?」

「うん。おいしー」

「カマボコ好き?」

「しゅきー」

Rは予想以上の食らいつきで嬉しかった。敢えてカマボコにしてよかった。僕が死んだ後でも、パパが熱海土産のカマボコを食べさせてくれた、ということを思い出として記憶していて欲しい。

これを忘れ熱海といいます。


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