嫁、誕生日おめでトンカツ


栃木の実家から帰って来た日は、嫁の18才の誕生日であった。

年齢は大サバ読みである。

誕生日プレゼントは何がいいか、と聞いてみたところ、

「いらない」

と言う。その代わり、この日の夕飯を作らないで良いことにしたい、とのことであった。成る程、嫁と結婚前の付き合いを含て十数年、何度もプレゼントをあげたりもらったりしてもうとっくにネタが尽きてしまった。

娘・R(2才)と息子・タク(8ヶ月)の育児と家事に追われる嫁が一番欲しい物は、くつろげる時間なのだろう。

「本当はあなたが『じゃあ僕が夕ご飯を作ってやろう』って言ってくれるといいんだけどなー」

嫁の言葉がチクチク刺さる。僕はいかに腕によりを掛けて料理をしても、ペヤングかボンカレーぐらいしか出来ないのである。

「すまんねえ…」とかわしつつ、池袋のデパ地下でケーキを、そして近所のちょっと高いトンカツ屋でヒレカツをテイクアウトして祝うこととした。

「ママ、誕生日おめでとうって言いなさい」

と子供達に言うと、流石にタクはアウアウ唸るしか出来ないので無理だが、Rは

「まま、たんじょうり、おみぇでとー」

と何度も頭を下げて言い、嫁はその度に感動していた。さもあろう。僕もそう言われたら涙が出てしまうかもしれない。

Rにケーキを食べさせてやると、石塚(でぶや)以上の幸せそうな崩れた笑顔を見せていた。

「8月にはRの誕生日だからまたケーキを買ってやるよ。10月はタクで11月は僕で、ケーキ続きだなあ」

と教えてやったが、なんだか誕生日とは単にケーキを食べる日である、と理解してしまってそうで怖い。

僕の誕生日まであと5ヶ月か…と、ふと思った。僕も誕生日プレゼントはいらない。子供たちからはおめでとうと言ってくれるだけで良い。バースデーケーキすらいらない。嫁がひとときの家事を休み、息抜きの時間を求めたように、僕はまぐわいの時間を求める。それをバースデーケーキの代わりとして欲しい。

何が言いたいのかというと、すなわちバースデー性器である。


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