特別じゃない、どこにもいるわ、わーたーし、幼女A


一家を引き連れて栃木の実家に帰った。

昼飯を食った後、些か疲れたのでソファに座っていたらそのまま寝てしまって、気付いたら近所の小学1年生の女の子・萌えっ子ノンちゃんが来て、娘・R(2才)とやかましく遊んでいた。

ノンちゃんはRのことが好きらしく、実家に帰るたびに遊んでもらっているのだが、とにかくイタズラ盛りの女の子なので、つい僕もこの幼女にイタズラ…じゃなかった、

「ノン、だめでしょ!」

と呼び捨てで叱ってしまったら

「えー。なんでRちゃんのお父さんがノンを呼び捨てにするのー」

小1とはいえ流石にその辺のところは見逃さず、すさかず言い返されてしまった。

「はっはっは、ごめんね」

「…で、でも、別にいいけどね」

何故か赤面していたノンちゃんにはツンデレ娘の素質があると思った。僕が萌えっ子と見込んだだけのことはある。

日が暮れて、皆で夕飯を食べていると母が

「ノン、Rと一緒にお風呂入っていくかい?」

とすすめていた。

「いや母さん、Rは僕と一緒に…」

「だからノンとRとお前で入ればって言ってるの。ね、ノン、そうしよう」

と言われると「えー」と顔が赤くなってしまっていた。

…僕が。

ちょ、ちょっと萌えっ子と一緒にお風呂に入るのはまだ勇気が要る。

飯を食い終わった後、ノンちゃんとRは何やら絵を描いていた。

「はーい、ここでクイズでーす。今、ノンは絵を描いてまーす」

「ほう、上手だね」

「描くは描くでも、夜に『かく』ものはなんでしょう?」

「いびき」

嫁が即答していた。

「ぴんぽーん。正解でーす」

マスをかくとか寝首を掻くとしか答えが浮かばなかった僕は答えられず、やはり萌えっ子と一緒にお風呂に入るには穢れすぎているのだなあと思った栃木の夜。


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