笑って許して…くれない。
夜、発情して嫁に求愛。→断られる。
結婚してから何度このワンパターンな攻防が続いたことだろう。
結婚生活の大いなるマンネリ。マングリではない。水戸黄門並みの予定調和である。この陰嚢が目に入らぬか!なんちて。
わりと浮かれポンチを装っているものの、断られると結構精神的にダメージを食らうのである。こっちも恥を忍んでお願いしているのに、絶倫魔人のような扱いをされて断られると、ああ僕は性欲にまみれた薄汚い人間なのだ、と命を絶ちたくなってくることもしばしば。
先立つ不幸をお許し下さい。
というか僕もいい加減オヤジなのに、10代の頃から代わらない朝からの元気っぷりもどうよと我ながら呆れ果て、更なる自己嫌悪スパイラルに陥るのである。
朝立つ息子を何とかして下さい。
今宵も嫁に抱きついておねだりしていたが、
「いや、ホントに勘弁して下さい」
真顔で冷徹な言葉を吐かれ、ああこれはマジギレ一歩手前であるな、ということで触らぬ神に祟りなし、触らぬ嫁に孕みなし、とおとなしく引っ込めると、嫁は今度はニヤリと笑って言った。
「そういえば、あなた今朝寝ながらR(2才の娘)にも抱きつこうとしてたわよ」
「なんだって?」
僕はRと隣り合って寝ているのである。
「6時ごろかな、あなたがRに手を回すと、Rも寝ながら手でぐいいっと押しのけるの。ふたりとも寝ながら何度もやってる姿がおかしくて、笑わせてもらいました」
ああ、ついに2才の、しかも実の娘に手を伸ばすほど僕は鬼畜になってしまったのか。いや待て。いくら僕でもRに欲情はしない。将来は知らんが少なくとも今のところは。
そうだ。あの晩はぬくもりが欲しかったのだ。嫁に拒否され寂しくなった僕は、せめてRと手を繋いで寝ようと、隣で寝息を立てるRの手をそっと包んで眠りに落ちたのだった。その残留思念が明け方まで続いていたのだろう。
「しかし、僕はRにも拒否られていたのか」
「そうよ!ワタシもRも、あなたに心は許しているけど体は許してないのよ!」
おいこら嫁、お前は結婚してるんだから許してくれよ。家事育児で疲れ果ててウホウホする気にはなれないのは分かる。だからもう少し僕も自制しようとは思うのだが…。
僕の場合は、心は許しても体が許さないんだなあ…。
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