出産予定日ダイジェスト。

我が第2子(胎児名:トロ)の出産予定日であったが、トロの
踏ん切りがなかなか付かないようで未だ嫁のお腹の中にいる。

タイミングの悪いことに僕は仕事が入ってしまったが、嫁は
助産師に診てもらいに行っていた。

「一応現状を伝えておくね」

夜、家に帰って来てから嫁が診断結果を教えてくれた。

「子宮口が4センチ開いてて、遅くても後2〜3日には産まれる
 でしょうって。ひょっとしたら今晩かもしれないよ」

「いよいよだな〜」

「先生が言うには、『今晩は旦那さんと仲良く過ごして、明朝
 おいで、だって」

「『仲良く』っていうのは当然アレだよね…」

「そう、アレ」

何ヶ月か前「妊娠中でもどんどんセックスしてください」と
真顔で言っていた先生のことであるから、出産直前の最後の
まぐわいを楽しみなさい、と言っているのである。

しかしいくらテポドン並みの節操のないミサイルを持つ僕で
あっても、出産直前の今はさすがに躊躇する。どうせ産道が
開いていてガバガバ…もとい、水風船に針を刺すような恐ろ
しさがあり、とてもまぐわえない。

しかも出産後1ヶ月はまぐわってはいけないので、今やらない
ことはそのまま1ヶ月間我慢汁地獄に突入することを意味する。
しかしそれが分かっていても怖くて出来ない。

平常心平常心。怖れを押さえるため、話題を変えた。

「トロの様子はどうかな?」

「しきりに動いてるよ。あと、お腹がやたらと張るわあ」

嫁の腹に手を当ててみると、トロが大きな動きをしていた。
いよいよ出てくる体勢を整えているように思えた。

「そろそろなんだなあ。ああ、何だか不安になって来た」

「あなたが不安にならないでよ!産むのは私なのよ!」

確かに産むのは嫁だが、僕が不安なのは産んだ後のことである。
この僕に嫁と長女R、そしてトロの4人家族を養っていけるか?
このことである。将来への不安を感じて仕方がないのである。

いかん。嫁を不安がらせてはいけない。夫である僕は悠然と構え、
ひとまず産まれるまで嫁の心の拠り所となっていなければ…。

平常心平常心。嫁には余裕があるところを見せなければなるまい。
冷静沈着な態を装い、嫁の色素沈着の乳首をつまんで語り掛けた。

「嫁。あのさあ」

「何よ」

「…やっとく?」

「やだ」

嫁は寝てしまった。ちぇ。ひとり残された僕はもう一度

「平常心平常心…」

と心の中で繰り返し唱えてみた。少し落ち着いて来た。すると勝手
なもので、いつの間にか唱えてる言葉が

「正常位正常位…」

になってしまったので今では後悔している。

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出産予定日到来!産ま産まイエイ!

嫁の第2子(胎児名:トロ)の出産予定日は10月1日である。
すなわち今日でありトゥデイ。

しかし嫁は出産なのに僕は決算で、仕事の忙しさのピークが
思い切りやって来てしまい、夜中

「ああ〜。予定日になってしまったあああ」

日付が変わるまで会社に居残っている有様である。

午前様になってようやく家に帰って来ると、真っ暗な家の中で
トイレの中から明かりがこぼれていた。嫁が入っている模様。
すわ、もしや産気付いたのではと色めき立ったが

「最近この時間必ず目が覚めてトイレ行くんだよね」

単なる定期的放尿であったようだ。

「どうよ。兆候はあるか?」

「至って平穏」

「トロちゃん、いつ産まれてくるのかな〜?」

嫁の腹に手を当てて様子を探ってみる。固い。眠っているようだ。

「明日かな?あさってかな?」

ゆるりとした胎動を感じたがいまいちハッキリとした反応がない。

「まだねんねしていたいのかな〜?」

正直少なくともこの先2週間ぐらい死ぬほど忙しいけれども、出来る
限り出産に立ち会いたい。修羅場の真っ最中に産気付いた連絡を
受けるかもしれない。しかしそれはその時になってみないと
分からないので、なるようになると考えるしかない。

まさに子宮から出たとこ勝負。いや、出るとこ勝負と言うべきか。

先を思うと不安になるから、今日のところは寝るしかないね…と
飯をかっ込んでとっとと眠りに付いた。

我が子は我が家の宝である。

すなわち、家宝は寝て待て、ということで。

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下半身タイガース。

photo
「エキセントリックなお方。」
のはなぽさんが描いてくれた娘・R。
ありがとう!

風呂から出た娘・R(2才)が踊っていた。パジャマを
着るまでの間、Rは気ままなネイキッドダンサーとなる。

「お尻ふりふり〜」

というNHK(なんとか・払って・下さいよー)の幼児番組で
やっている歌を歌ってやると、

「んーうふふふー」

ちゃんとおヒップをプリプリ揺らして踊る。可愛くてたまらん。

この頃流行の女の子。お尻の小さな女の子。こっちを向いてよ
R〜。お父さん、だってなんだか、だってだってなんだもんな
気分になってしまうのである。

Rは無邪気なストリッパー。親父は頭がジステンパー。また
親馬鹿が始まったよ、と思われるかもしれないが、未だ
どこぞの馬の骨とも知れない男の手垢が付いていない、汚れ
なき娘の小さなお尻が揺れる様を見ようものなら、父親なんて
イチコロよ。

一方で自分の下半身を鏡に映してみる。Rと同じ血を分けた人間
とは思えない程の、ただひたすら醜いオタク三十路男のケツである。
アホが見ーるー、オタのケーツー。

Rが公衆の面前でお尻を出してフリフリしても、それは可愛い
モウコハンで済むが、僕が同じことをすればそれは危ない
ゲンコウハンである。

Rに目を戻すと、踊りはやめてしまっていた。

「ほらほら、もっとお尻ふりふりー」

僕も使い古した腰を振ってRを誘う。さあもっとお尻振り振りを
父に見せるのだ。お父さんも頑張るよ。

「下半ー身ータイガース!振れー振れ振れ振れー!」

でも実は巨人ファンである。

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狂態電話。

夜に会社の歓送迎会があったことをすっかり忘れていた。

嫁に無断で飲むと、1週間は口を聞いてくれない。無断飲酒は
細木数子を敵に回す程の恐ろしい行為なのである。

慌てて昼休みに嫁の携帯に電話して了解を得ることにした。

「もしもし。今日歓送迎会だからご飯いらない」

「あらそう。今R(2才の娘)と児童館の帰りなのよ」

歓送迎会などの職場イベントはなかなか断れない。嫁はそれを
よく理解してくれているようで、特に嫌味も言われずにあっさり
OKを出してくれた。電話の向こうからは

「Rちゃん、おとうさんよ。Rちゃんは何才かな〜」

嫁がRの声を聞かせようとしてくれている様子が窺え、その後

「あんしゃーい」(にさい、とはまだ言えない)

と、紛う事なき我が娘の声が聞こえた。Rは普段キャアキャアと
喋っているくせに、電話を向けると何故か寡黙になってしまう
傾向がある。だから今日も喋ってはくれないだろうと思っていた
だけに感激もひとしおである。

「R、わんわんって言ってみて」

「わんわん!」

「ぶたさんは言えるかな?」

「ぶーぶー」

会社という戦場の中にあって、ひとときの安らぎを求め、つい
Rの声をたくさん聞きたくなってしまう。

「じゃあ、象さんは?」

「ぞうしゃーん、ぞうしゃーん」

「よし、上手だぞー。象さーん」

気がつくと周りの会社同僚がニヤニヤとこちらを見ていたので、
イヤーン恥ずかしいまいっちんぐ。

「じゃ、Rちゃんバイバイ」

「ばいばーい」

ちゃんと電話でも会話ができるようになった!と喜びに浸って
いると、待ってましたとばかりに同僚にからかわれてしまった。

「いやー。いいお父さんしてるねえ」

「はは…そうでもないですよ」

「お父さんも象さんを見せてあげなきゃ。ほーらお父さん
 象さんだよーん。お前を作った立派な象さんだよーって」

「…ハードゲイみたいに腰振らないで下さい」

いかにお下劣な僕であっても、さすがに怒れるお父さん象さんは
汚れなきRの目に触れさせるわけにはいかぬ。

無断飲酒は嫁から禁じられており、必ず事前許可が必要であるが、
無断手淫については罪を問われないので、今夜辺りこっそりと
暴れることになるであろう。

許可を求められても困ると思うが。

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どっちの性別でショー。

妊娠中の嫁はマタニティヨガに通っている。

そこのヨガマスターが嫁の首筋と腕に手を当て、

「男の子ですかー?女の子ですかー?」

嫁に呼びかけながら筋肉の動きなどを診て取って

「多分男の子ですね。80%の確率ですけど」

と言ったそうだ。

「それはダウジングみたいなもんか?」

「そうだと思う。産まれたら当たってたかどうか教えてね、
 だってさ」

嫁は鍼灸院にも通っている。そこでは

「赤ちゃんマークが出てるね。20%ぐらい」

と言われたそうだ。

「なんだその赤ちゃんマークというのは?見えるんか?」

「先生には見えるらしいんだけど。20%だとまだ産まれては
 こなくて、40%だとそろそろなんだってさ」

「うーん。何がマークで何が20%なんだかさっぱり分からん…」

はっきりとしたデータを出す西洋医学と違い、なんだか曖昧な
東洋医学。しかし体を診て触っていろいろと分かるのは何となく
凄いんだろうなあというのは分かる。

「ええか?ここがええのんか?」

というようなザ・スポットGもすぐ分かってしまうのであろう。
ちょっと羨ましいような気がする。

もう産婦人科の検診もなく、出産を迎えるだけになった今。
この診断は当たるのだろうか。

そしてその答えが出るのはいつになるのだろうか…。

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