父帰る。

朝、仕事に行く時に

「じゃあ行ってきますよ」

嫁と娘・Rに声をかけ家を出ようとしたら

「うぎゃーん」

なんと、Rが泣いてしまったではないか。
そんなにお父ちゃんのことが好きなのか。
Rの気持ちは大変嬉しい。しかし僕は妻も娘もある身…。
ふふふRよ、おいらに惚れちゃいけないよう。

いつもだったら覚えたての「バイバイ」の仕草をして
にこにこ笑っているのに、今日に限ってどうしたことだろう。

…ひょっとして、僕が死んじゃうとか。
Rは赤ちゃんだけが持っている勘か何かでそれを察知し、
今生の別れだと思って泣いているのではないだろうか。

そう考えると怖くなってきた。

会社に行く途中車にはねられて交通事故死とか。
昼飯を食ったら猛烈に腐ってて中毒死とか。
小鳥さんに誘われてビルの屋上に登り、そこから転落死とか。
上司に「インド支店行きのインドーを渡す」とかギャグを
かまされショック死とか。

工事現場の前を通ったら鉄骨が落ちてきて
そのショックでエスパーに、とか。

色々と危険な場面を考えながら一日を過ごした。
しかし当然そんなこともなく、平凡な一日で終わり、
家に帰ることが出来た。ああ、平凡って素晴らしい。
お父ちゃんは今日も帰ってくることが出来たよ。

よし、今日は給料日でもあるし自分の無事を勝手に祝して
景気良く嫁でも襲うか。

嫁を襲って腹上死、なんてことになったりして。
.

Trackbacks

< 歯隠レンジャー。|TOP|むしろ指、さされ隊。 >