ハイヨーシルバーな人々。

午前中、娘・R(1才)を遊ばせるため近所の公園に出かけた。

しかし公園の大半は老人達のゲートボール場として
使われてしまっていた。

「週3回はゲートボール場になってしまうのよ」

と嫁。え。そんなに?練馬老人達はお盛んでお達者なようだ。
仕方なく僕らは公園の片隅でRの一人歩きの練習を始めた。

ようやく一週間前ぐらいからイヤイヤすることなく靴を履くことに
慣れたR。しかしどうしても老人達が転がすボールが気になるようで
エッチラオッチラとゲートボール場の方に行ってしまう。
何個か使われずに置いてあるボールをRは目敏く見つけ、

「あだ!」

遂には手に取って僕に見せるのであった。

「あはは…それはおじちゃんおばちゃん達が使うのだから
 持って来ちゃダメだよ」

それでもRは他に転がっているボールを執拗に探しては見つけ、
その度に持ち上げたり「あだー!」とか言ってぶん投げる。

「お前は孫悟空の生まれ変わりか!
 それはドラゴンボールじゃないんだぞ」

などとRを追いかけていたら

「ふぁふぁふぁ。可愛い子だねえ」

背後から皺枯れた声に呼び止められた。振り向いてみると、
さかきばらのぶゆきの様な、体が微かに震えているご老公が
立っていた。先程からゲートボールに励んでいた御仁だ。

「ああ、どうもすいません」

僕はRの手からボールを取ってお返しした。ご老公はカクカクと
受け取るとRに向かって

「お嬢ちゃんがこのボールに興味を持つのはまだ早いねえ。
 あと60年ぐらいしたらまたおいで」

そう言葉をかけて去っていった。なかなか重い言葉であった。
ご老公!60年後には僕もあなたも絶対この世にはいません!

僕はご老公を目で追い、再びゲートボールを始めたさまを見ていた。
ゲートボールのルールってどんなもんなんだろう?と。

コの字型のゲート目がけてクラブでボールを打っていく。
だからゲートボールというんだろうけど…やはりよく分からなかった。

それを見て僕が試みたことといえば、夜中、嫁のお股にある
頑強な門(ゲート)をこじ開け、深い穴を目指して突入することだった。

昼はゲートボール。
夜はゲートホール。目指せ週3回。
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