嫁が裁いて僕捌かれて。

風呂が沸くまでのちょっとした待ち時間。
嫁は洗濯物とかを畳んでいたと思う。

娘・R(1才)は僕にフニャフニャと甘えて来たので、
抱き上げて歌でも歌ってやるかと、低音ヴォイズを
轟かせることとした。

「ん〜ん〜〜んんんんん〜。んんんんん〜。
 んんんんん〜ん〜」

「ぎゃはははははは」

何故かRに大笑いされてしまった。

「…嫁よ」

「はい?」

「どうしてこの子は『大岡越前のテーマ』がそんなに
 面白いのだろう?」

「いつもと違う歌だからよ」

嫁は特段大したことでもない、といった感じでぴしゃりと答えた。
あの、嫁様、もうちょっとさ、夫婦の会話っていうか、そういうのを
少しでもいいから広げてみようよ…。

我が家では育児・Rに関することは嫁が法律である。だから
こういったことでもビシビシと断言する。言わばこれが嫁の
大岡裁きといったところだろうか。

やがて風呂の準備が整った。

「じゃあRちゃん、とと様とお風呂に入ろうね。
 ん〜ん〜〜(まだ歌ってる)」

「ぎゃはははは」

早速Rの服を脱がしに掛かるが、腕や頭が引っかかって
どうもうまくいかない。ふごふごとRが悶えるのを見て

「ちょっと何やってるのよ!脱がす時はまず
 腕を袖から出さしてどーのこーの…」

再び嫁がピシピシと僕に指図する。そんなに怒らなくても
いいじゃないか。僕ちゃん奥手だから女の子の服を脱がすの、
慣れてないの。

いつも僕がRの世話をしようとすると、すさかず嫁から
このようなダメ出しを食らう。そんな時思うことがある。

僕は一応この一家の主だがバカ殿であり、嫁は眉を顰めながらも
家の切り盛りする御台所様でありRの生母である。家の中のことは
亭主であっても男が口出しすることとは許されていない…
このことであった。

そんな嫁の辣腕っぷりは…

ん〜ん〜〜んんんんん〜。

大奥裁きと呼ばれます。なんつって。
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