オヤジのハートに火をつけて。

娘・R(1才)がまた発熱。

近頃ようやく咳と鼻水が治まって来たように思えた矢先、
朝から38度。特に苦しんでいるようには見えなかったが、
心ここにあらずといった感じで元気がない。

「医者に連れてってね…」

仕事がある僕は嫁にRを託して出掛けた。いつもは嫁が
Rを抱いて玄関まで見送りしてくれるのだけれども、

「今日はいいからね」

部屋を出る時に制したのだが、Rはボーっとしながらも

「バイバイ」

と手を振っているではないか。

「君は何て可愛いんだああ!」

部屋の中心で愛を叫んでしまった。けなげな娘の愛しさよ。
しかしRは昼になって更に熱が上がったらしく、嫁から

「39.4度」

というメールが届いたので気もそぞろに会社から帰って来た。
Rは嫁の乳を吸っていた。

嫁が言うには医者に診せたところ、喉も腫れておらず、鼻も
それほどぐずってなく「突発性発疹」かもしれない、とのこと。
高熱が2〜3日続き、その後ボツボツが出来るんだそうだ。
ああ、出来ることなら代わってやりたい。

Rは一旦寝付いても辛いらしく、「ひえーん」と夜泣きをした。
いつもなら僕が抱いても暴れて逃げようとするだけだが、
この日に限っては僕の腕をしっかり掴み、静かに抱かれていた。

このような非常な発熱で体も心も弱り、とにかく甘えたいのかも
しれない。Rの体が湯タンポのように熱かった。

お父ちゃんの胸も火が付いたように熱くなってしまったことよ…。
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