乙女の怒り。

9日は会社の忘年会だった。

僕はそれをポックリと忘れており、当日の昼間に慌てて

「僕ちん今日はゴハンいらない」

嫁にメールした。我が家では飲み会がある時は必ず事前に
「飲み会許可申請及び晩御飯辞退申請」を届け出ねばならぬ。
また飲み会が長引き、午前様になる場合はそれに加えて
「帰宅日付変更願い」が必要である。

この届出を守らなければ、酔いが一瞬で吹っ飛ぶぐらい恐ろしい
嫁の制裁が待っているのである。直前ではあるが約束どおり
事前に嫁に知らせた。これでよしと安堵の溜息をついていたところへ

びびびびび。

ケータイが震えた。嫁からのメール返信である。すわ、何か
よからぬ返事でも…と恐る恐る見てみると

「今日はRカレーの日なのにバカー!」

わあ。やはり怒りのメールであった。Rカレーとは我が家に伝わる
風習で、娘・R(1才)が産まれた8月9日を記念し、毎月9日は
必ずカレーを食べることになっている。

由来は嫁が産気付いた時、僕がカレーをかっ食らっていたことによる。

せっかくの月イチイベントなのに忘年会とは間が悪かった。
しかし職場の忘年会は欠席することは付き合い上出来ない…。
メールには画像も添付されていた。開いてみると

photo
娘・R(1才)の泣き顔ではないか。ゴメンよR。許してくれ。
お父ちゃんはしがない薄給取りなのだ…。分かってくれ…。

そんなわけで忘年会の間、酒を飲んでは

「カレー食いてえ…」

上司と話していても

「カレー食いてえ…」

このことが頭からずっと離れないでいたのであった。

そして翌日の晩飯において

「はいよ、Rカレー。一日寝かせたカレーは一層美味しいでしょうよ」

嫁が恨みがましくも恩着せがましくカレーを恵んでくれ、
僕はようやくありつけることが出来たのであった。
ああ、やはり美味い…と貪るように食べていたが、

「あれ…なんかポンポンが痛いんだけど…」

ものの見事に腹を壊してしまう羽目となった。

「痛んでたんだろうかね?」

トイレから出て来て嫁に聞いてみたのだが

「隠し味にRの怒りと悲しみが入っていたのよ、きっと」

とピシャリと叩き付けられ返す言葉もございません。

一晩置いておいたたカレーは、僕の体内に一時間も
置かれることはなかったのである。
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