鼻ニ嵐ノ喩ヘモアルゾ。

勤労感謝の日。別に感謝されてなくても勤労している
つもりなので暦どおり休日の僕である。

蘇る勤労。なんつってぐへへ。

娘・R(1才)と一緒に遊べる日でもあったが、生憎僕もRも
風邪を引いており、どこへも出かけずじまいであった。

そして食事の後はRに薬を飲ませる。
子供用なのでオレンジ色の甘い飲み薬である。
一回あたりの量も大したことなく、R用の小さなスプーンに
すくって飲ませようとしたのだが…

「ふやああああん」

Rは虫の居所が悪いのかプイと顔をそむけて飲もうとしない。
それでもしつこくRの顔の方向を追いスプーンを近づける。

「Rちゃん、お薬飲みましょうねえ」

「んぎいいいいいい」

今度はマトリックスばりに全身を弓なりにしてかわす。
…勿論嫁が背中を手で抑えているのだけれども。
しかし、Rが仰向けになって口を開けているこの瞬間がチャンス。
そのまま薬を口の中にタラーリと入れてしまおうと思ったのだ。
しかし…手元が狂い

「あででででで!」

口の中に入れるつもりが鼻の上にぶちまけてしまった。
顔面にオレンジ色の液体が覆い、しかも一部は鼻の穴に
入ってしまった。Rは狂ったように泣き叫び、どうにも止まらない。

「ごめんごめんごめん」

これが本当の勤労顔射の日…という駄洒落が思いついて
その後激しい自己嫌悪に陥った。

汚れなき愛娘・Rをそんなみだらな駄洒落で卑しめるなんて!

Rの鼻をティッシュで拭いながら、そんなことは思っても
言わぬが鼻というもんだ、と戒めたのであった。ぽてちん。
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