かじ式ねじ式。

まさかこんな所にメメクラゲがいるとは思わなかった。
僕はたまたまメメクラゲに風邪を伝染されてしまったのだ。

熱が出て体の節々が痛い。鼻水と痰がとめどもなく流れ出した。
僕はこのままだと死ぬるかも知れない。
僕は一刻も早く医者へ行かなければならないのだ。

しかし財布に入っていた診察券の医者は、何年か前に一度だけ
行っただけであり、おぼろげな記憶でその医者を捜すことは
容易なことではない。

僕の言わんとする意味がだいたい見当がついただろうか?
僕はこう言いたいのだ。

「イシャはどこだ!」

診察券には住所が書いてあった。隣町の住所だった。
隣町へ行けばイシャが見つかるだろう。
おおそうじゃ。

「中野区江古田…」

昔の記憶と電信柱に書かれた住所を頼りに、大体この辺りで
あっただろうと思われる所まで辿り着いた。
しかしそこからがどうしても思い出せない。迷ってしまった。
しばらく道をうろうろとして、また電柱の住所を見ると

「練馬区豊玉中…」

アッ!ここはもとの町ではないか。

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ちくしょう。歯医者ばかりではないか。

はからずも金太郎飴を売っていそうな和菓子屋を見つけた。
あそこで尋ねてみよう。ネッおしえて下さい。
イシャはどこだ!

「ポキン。金太郎」

「ポキン。金太郎」

ごきげんよう。達者でなァ。

やれやれようやく医者を見つけることができた。

でも考えてみればそれほど死をおそれることもなかったんだな。
死なんて、僕が明け方までネットをやり続けていたために
激怒した嫁の恐ろしさに比べたら、どうってことないんだから。

医者は大変混雑しており、2時間近く待たされて意識が朦朧と
なってきた時ようやく名前を呼ばれ、すがる思いで

「先生!シリツをして下さい」

「ここは耳鼻科ですから鼻水を吸い取ってあげましょう」

鼻を吸引され、喉に薬を塗られたおかげでようやく楽になった。
どうやら成功したようです。

家に帰ると、鍵が掛かっていた。嫁は出掛けて行ってしまったのだ。
僕は鍵を持っていない。早く布団で寝たい一心で戻って来たのに
またもや意識が朦朧とし、馬頭星雲あたりまで飛んで行きそうになった。

ヨメはどこだ!
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