舐める娘。舐める父。

娘・R(1才)との朝の戯れ。

「んってゅー。んってゅー」

僕がかつてUFOキャッチャーで獲りまくった
ピカチュウの人形で遊ばせろ、という催促を
するのである。

膨大な数のピカチュウを、汚れないようにと嫁がケースを
買って来てくれて、それに保管しておいたのだが、

photo

もうこんな感じである。
しかもRはこれをいじくり倒すだけでなく、舐める。
ちゅーをする。ヨダレでピカチュウがベトベターである。

着色してあるピカチュウの目や赤いほっぺたなどは
いずれ色褪せてしまうであろう。

かつて僕の弟が小さかった頃、我が家にはこれまた膨大な数の
ミニカーがあった。それを弟は全部舐め尽し、全てのミニカーの
色が落ちてしまっていた。

ミニカーのようにピカチュウが全てノッペラボーになる恐れは
あるが、まさかそれで取り上げるわけにもいかない。

コレクションが滅びていくさま。

僕はそれを親として冷静沈着に受け止めなければならない。
オモチャは使われてナンボだ。

それにしてもよく舐める。Rには叔父にあたる僕の弟の、血が受け
継がれているのだろうか。いや、僕にも舐め舐めの血はある。

とはいっても僕が熱心に舐めているのは嫁の、何と言おうか、
つまり、その、アレであるが。オモチャとは逆に、アレなどは
舐めたり使用することによって色が濃くなると聞く。

僕の舐め舐めによって色が変わっているかどうか。
もう何年も暗い中で行っており、まともに直視したことが
ないから確認できていないけれど。

いずれ視界に入ってくることも無きにしもあらずである。

僕はそれを夫として色素沈着、じゃなかった冷静沈着に
受け止めなければならない。

アレも使われてナンボである…と思う。


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せっぶん侍。

娘・R(1才)と豆撒きをしたかった。

しかし、会社から帰る頃にはRはとっくに
寝ているので、朝やるしかないと思い、前日に
豆を買って帰った。

そして節分の日の朝。

「今日は豆撒きの日なんだよ。ぽーんって
 投げてみな。ぽーんと。鬼は外ー」

早速Rに豆をひと粒渡し、僕もポイっと投げてみた。

「おーーーーーーー!」

Rはなぜか興奮して声を上げた。

「さ、Rも投げてみなさ…あっ!」

Rは豆を投げるどころか口の中にパクンと入れてしまった。
…まあいいか。それが今年食べる、年の数だけの豆だ。

…3秒後にペッと吐いた。

やはりRには固すぎて食べられないようだ。

「ほら、今度こそ投げてみよう。鬼は外ー」

豆をもうひと粒Rの手に乗せて、僕ももう一度豆を投げて
手本を見せるのだが、Rは「おー!」と歓声を上げるだけで
またもや口の中にパクッ。そしてペッ。

娘よ。公園のハトだってもうちょっとモノを考えて豆を
食べてると思うぞ。

Rが豆を投げる前に僕が匙を投げそうになったが、
ようやく2,3粒ポンポンと豆撒きを始めたところで
僕は出勤の時間になった。

「じゃあ、最後にちゅー!」

節分の行事は接吻で締める。
これが我が家の風習。

本当は…会社から帰ってきた夜、Rが寝静まった後で
嫁とも接吻、もとい、節分をし、種まき、もとい、
豆撒きをしたかったのだけれども。

僕が嫁に無断で飲みに行ってからずっと続いている
嫁の冷徹な態度を見ていると、それはもう二度と
叶わぬ夢かもしれない。


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ニノキン全力投球。

朝もはよから娘・R(1才)が、すたたたたーと
縦横無尽に部屋の中をヨチヨチ歩き。

何故か棚から引きずり出した小さな本を
手に持って歩いている。

「R、お前は二宮金次郎か」

とりあえずそう突っ込んでおいて、そういえば
苗字が「二ノ宮」というだけで「ニノキン」と
あだ名されていた友達がいたことを思い出した。

蛇足ながら「相川」という友達は「キンキン」と
呼ばれていたし、「菅井」という苗字の友達は
「スガイキン」であった。

「あだーーーーー」

本を開いたまま奥の部屋に行くRを追い

「ニノキン待てー!本を読んであげよう」

Rの持つ本を開いて、それに乗っている写真を
いちいち読み上げてやった。

「これはコップ。これは自転車、これは…」

僕がひとつひとつ指差すと、

「あだ、うだ」

Rもこれまた指を差して確認する。

「おお、ニノキンは勉強家だぞ」

「あだあ!」

Rがひときわ高く声を上げ指差した。しかしそれは
本の外にあるものであった。それは僕のバディの
一部というか、なんというか…。

ニノキン君、それはおとうちゃんの
タ○キンなんだ。

お下劣なオチがついたところで
バイバイキンである。



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みくだりはん。

アウトルックエクスプレスを開くと、あやしげな件名のメールが
届いているのはいつものことである。

「件名:木崎です。先日はありがとうございました」

誰だお前は。木崎なんて知らん。こんなものは読まずに
「削除済みアイテム」に捨てる。

「件名:口が堅い人ですよね?秘密厳守でお願いしたいのですが」

誰だお前は。名乗らない奴に秘密も何もない。こんなものも
「削除済みアイテム」に捨てる。

「件名:嫁、やめてもいいですか?」

誰だお前は。こんなものも…え…?嫁?
誰も何も、ほかならぬ嫁からのメールであった。

しばし熟読してみると、僕の度重なる無断飲みと育児に
非協力的なことに対する弾劾文が延々と書き記されており、

「これは嫁からの三行半メールではないか」

脂汗がじわりと鼻と額に浮かんでいた。SPAMメールを
「削除済みアイテム」フォルダに捨てていた僕が
「削除済み夫」にされんとしていたとは。

翌朝、謝った。

「嫁、やめないで。育児も手伝うから。でも何を手伝ったら
 よいか分からないので指示してくれ」

「分かった。R(1才の娘)も3人一緒のほうがいいでしょう?」

嫁は既に起きてトタトタと歩き回っているRを見た。

「うっきゃーーー!」

Rもこちらを見て叫んだ。僕を「このダメオヤジ!」と
叱ったように思えた。

これで嫁は一応許してくれたようだが、未だに
態度は冷たい。まだ不満の二つ三つぐらいは
抱えてるのよ、とでも言いたげな仏頂面である。

だから僕の不安はまだ消えない。この嫁のメール以来

「件名:やっぱり嫁やめます」

などという第2弾が入ってやしないか、という恐ろしさのあまり
アウトルックエクスプレスを立ち上げるたびに胸がキュッと詰まり、
胃酸か何かが湧き上って来るような吐き気を覚えるのである。

これを嘔吐ルックエクスプレスといいます。


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高い高ーい。怖い怖ーい。

嫁とは断絶状態でも娘・R(1才)は僕のところに
抱きついて甘えてくる。

こんなダメオヤジでも慕ってくれるのか、それとも
この重い雰囲気を彼女なりに悟り、明るく振舞って
くれているのか…。

「あだ!ふにゅーん!」

Rの「ダッコせよ」という意思表示に従い、

「高い高ーい!」

両手を高く上げ、Rの体を持ち上げる。キャアキャアと
Rを叫ばせて、よっこい庄一と降ろしたのだが、

「ヒイイイ!」

Rは泣いて嫌がり、足腰に力を入れず立とうとしない。
また若い娘をヒイヒイ言わして足腰立たなくさせてしまった。
己のテクニークが怖い…

というのでは勿論なく、「もっと高い高いせよ」と要求して
いるのである。普段なら4〜5回もやれば満足しているのに
珍しいことよ、と

高い高ーい!
高い高ーい!
高い高ーい!
鬼は外ー!

僕はヤケになって体力の限界までRを持ち上げ、腕が上がらなくなる
まで続けた。Rも結構重くなったもので、これがいい運動である。

運動の後は腹が減る。ゴハンは既に出来ているのは知っている。
僕は恐る恐る嫁にお伺いを立てた。

「あの…ゴハン食べていいですか」

「勝手にどうぞ」

食えない嫁…!と憤るも背に腹は変えられず、辛うじて抑えて
ボソボソと飯を食ったのであった。

娘を抱いて高い高い。そして腕が上がらず。
嫁は敷居が高い高い。そして頭が上がらず。

何とかしたい和解和解。
いっそ僕チン他界他界…。



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