渡る世間は鬼嫁ばかり。

ホリデーの朝、ボケーッとしていたら

「私は朝から気持ちが悪いのに、
 あなたは何悠長にしてるのよーッ!」

いきなり金切り声を上げ、布団に潜り込み
オイオイ慟哭する嫁。僕は為す術を知らず、とりあえず
娘・R(1才)には嫁のそんな姿を見せまいと隣の部屋に
連れて行き、ピカチュウのおもちゃで遊んでいた。

泣き声はやがて聞こえなくなり、嫁はむっくり起き出し
布団を畳み始めた。

「…寝てないで大丈夫なのか?」

「寝てて治るものでもなし」

そろそろRを外で遊ばせる時間だよなあ、と考えていたのだが
嫁もてきぱきと外出の用意をするではないか。
…気持ちが悪いのではなかったのか?

公園で30分ほどRを遊ばせているとそろそろ昼飯時になった。

「あなた、お腹空かない?」

「ああ、空いたけど。どこか食べに行くか?何がいい?」

「何でもいい。何でも食べられる」

これまたケロッとした顔で言うではないか。
…もう治ったのだろうか?何か腑に落ちない。

というのも、嫁の体調の謎もさることながら、嫁の態度が
おかしいのである。経験上、嫁とバトルをした後は必ず
長い暗黒期が続く。嫁はまるで犬の野糞か吐瀉物を眺める
ような目で僕を見るし、会話すらないのである。

それが…店に入って飯を食い始めても普通に
僕の問いかけを受け答えしている。飯も食うが
人も食った嫁である。逆に怖かった。

ひょっとしたら今朝の嫁には、実家の裏山のお狐さんが
憑いていて、それが何かの拍子で離れたのでは…と
視点を変え、つのだじろう的な解釈も試みたのだが
嫁はようやく今朝のことを語り出した。

「実は、昨日の夜から朝にかけて気持ちが悪くてね…。
 今はそうでもないんだけど、ひょっとしたら婦人科系の
 症状かもしれない」

「それって、つ・ま・り…」

「これって、つ・わ・り…」

「えええええ?2人目かよ!」

「まだ分からないよ。他の婦人科系の病気かもしれないし」

「カンジタとか?」

「いやそれ違うし。痒くないし」

家に帰ってフームと唸った。嫁は買い物に出て、後から
帰ってきて何やらゴソゴソとやっていたが

「あなた、ほれ」

体温計に似たものをぬっと差し出した。そこには
「+」の文字が浮き上がっていた。

「何これ?」

「妊娠検査薬。陽性」

「…大当たりじゃん」

「いやいや、まだまだまだ…」

嫁は医者の診断を待たないと何とも言えないという態度を
崩さなかった。それどころか子宮癌とか流産とか子宮外妊娠とか
真っ先に最悪な予想ばかりを立てて不安に陥ってしまった。
まだ「おめでとう」はナシである。(だからどうぞ嫁にはご内密に…)

ともかく安静にしてなければなるまい。僕とRが公園で運動したり
暴れたりしても嫁は座って見学である。

これを体育つわりといいます。


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鬼嫁の目にも涙。

日曜日の朝、目を覚ますと嫁と娘・R(1才)は
朝飯を摂っていた。

「うきゃー!」

早速Rがかまって欲しそうな笑顔を見せた。
僕は昔から朝飯は食べられないので、パンを手に取り
Rに食べさせようとしたが、イヤイヤをするので
好きにさせることとした。

隣の部屋でパソコンのキイボードをポツポツと
打っいても、Rはイタズラばかりで朝飯を食べないらしく、

「何やってんのもー!」

という嫁の叱り声が聞こえた。珍しいことである。
こんな小さな子に怒ってもしょうがないのに。
好きにさせたらいいのだ…。

「もうやめてよー!」

再び嫁の金切り声が聞こえた。いよいよこれは
僕への当て付けであると分かった僕は、何を
そんなに怒るのか…とRの仕業により散乱した
食卓に戻ってみると、

「私は朝から気持ちが悪いのよーッ!
 何悠長なことしてんのよーッ!」

鬼嫁と化した嫁が吼えるではないか。

「分かった分かった。片付けは僕がやるから
 寝てなさい」

いきなり何を咆哮してるんだかと腑に落ちないまま
食器を台所に持って行って洗い物をしていたら、対抗心が
ムクムクと湧き上がってきた。

悠長と嫁は言うが普通の日曜日の朝を過ごしていただけた。
一日中寝っぱなしというのならともかく、責められるほど
寝坊したわけではない。

不満があっても初めから言わないで、溜め込んで溜め込んで
いきなり爆発するのは嫁と僕の悪いところである。
今までの僕だったら、おそらくこのまま大人しく皿を洗うに
留めるだろうけど…そうすると嫁はこれで良かれと思ってしまう。

気分が悪いなら悪いと最初に言えばいいのに、いきなり
ぶち切られて困るのである。

「何が悠長だ!こっちこそふざけるな!」

ここは敢えて言った。

「うおーんうおーん」

嫁は布団に臥せって泣き出してしまった。

「R…お父ちゃんと遊ぼうか」

キョトキョトと嫁と僕を交互に見交わすRを
隣の部屋に連れて行った。

何なんだろう、この情緒不安定っぷりは。
ひょっとしたら女の子の日が来ちゃったのかも知れん…

と考えたのは大きな誤算であり、続く。


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妻を肉んで父(とと)を肉まず。

昨日、嫁がどこか分からない場所に出かけたことについて。

平日の僕がいない時にでも出かけているのだろうし、
昨日も昼間の内に戻ってきたし、それ自体は大したこと
ないのだろうけど妙に引っ掛かるものがある。

もしかして…もしかして…私の他にも誰か…。

どうでもいいが、Googleの「もしかして検索」を利用して遊んでみると
こんなことができる。

new
得意気に画像なんか貼ったりして。しかし既に
有名なことだったらどうしよう…。

さて、手元には焼肉の店ギュウツノ(仮名)の割引券がある。
嫁を誘って行ってみるか。

僕の不埒な悪行三昧により、現在身も心も離れまくった夫婦の仲。
娘・R(1才)の目があるため、嫁はいつもどおりの受け答えを
してくれるが、以前とは違う冷酷な態度が見え隠れする。
あまり近寄れない。

触らぬ神に祟りなし。
触らぬ女に孕みなし。

このままではRの弟か妹ができるかどうか怪しい。せめて久しぶりの
焼肉屋で美味いものでも食って気を紛らわそうかと思った次第である。
僕はハラミが大好き。おお神よ。

触れぬ嫁にハラミを食わせ、あわよくば
触って嫁を孕ませるチャンスを我に与えん。そして

「ああ、ハラミが美味しいわ!ハラミー!あなた、ホールドミー!」

てな感じには…絶対ならないだろうけど。

ま、少しでも雰囲気が和らげばよい…と嫁と娘・Rを連れギュウツノへ。
思惑通り、焼肉に飢えていた僕と嫁はうまいうまいと食いまくった。

Rには今までまともに肉を食べさせたことはなかったが、小さく
切って与えたところ、たった8本の歯で一生懸命噛み、吐くことも
なくモグモグ食べていた。獣肉の味を覚えてしまった娘…。

「ああ、お肉美味しかった!」

嫁の雰囲気は明るくなったので僕も嬉しくなった。
僕は仕上げにお前の肉を貪りたいのじゃー!

…と、嫁を襲う機会を狙っていたのだが、嫁はRと共に寝てしまった。
かつての僕なら嫁が目を覚ました瞬間などを虎視眈々と狙い、
抱きついたり求愛ダンスを踊ったりするのだが、僕は今非常に嫁を恐れている。
いざ誘おうとしても

「やめて!誰があなたなんかと!」

ばっさりと断られそうで腰が引けてしまう。反面僕の腰の息子は
暴徒と化しているのが間抜けであった。結局暴徒を何とか鎮圧し、
今宵もおとなしく寝た。

肉を食わせて息子勃つ作戦。失敗でございます。


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かけつけ牛丼一杯。

「Rと出掛けてきます」

休日の朝、嫁が娘・R(1才)とどこかに行く支度を
していた。一体どこに行くのだろうか。

…なんてことは聞けない。僕は好き勝手に出掛けているし、
増してや嫁を欺いて女の子と飲みに行ったりしているし。
おまけにそういう隠し事は必ずバレるし。そうすると
一ヶ月は尾を引くし。ちなみにただいま3週間目である。

「あなただって行きたいところに行っているのだから
 私だってどこに行ってもあなたの知るところではないでしょう」

こんなことを言われるのがオチである。

「じゃ、帰りは何時ごろになるのかナ?」

とりあえず少しだけ探りを入れておこうと思い、
薄ら悪い愛想笑いを浮かべて聞いてみた。

「うーん。午後」

嫁の答えは超曖昧。うぬぬぬ…。

「じゃ、僕は昼ゴハンはどうしよう」

「私たちは向こうで食べるから、あなたは吉野家にでも
 行ってよ。今日一日だけ牛丼が復活するんでしょ」

「あ、そうか!今日だったよね!吉野家!よーし、
 お父さん大盛り頼んじゃうぞー!」

「じゃ、いってきまーす」

「じゃあねーばいばいー」

バタン(ドアが閉まる音)

…なんだか上手くごまかされたような気がする。
しかし僕に「行くな」と言う権利は微塵もなかった。

嫁の言うとおりひとり寂しくモソモソと吉野家の
牛丼を食い、このまま僕もどこかに遊びに行って
しまおうかとも考えたが、嫁が帰ってきた時に
僕が家に不在だとまた何か言われそうなので
大人しく家に帰り、まんじりともしない昼下がりを
悶々と過ごした。

まさか嫁は二度と帰ってこないんじゃ…?
冗談は吉野家ー!

などと発狂寸前になっていたら帰ってきた。

「おかえり…」

「ただいま」

「ゴハンはどうした?」

「食べてきたわよ。ああ今日は充実した一日だったわ」

どこでメシ食ったのだろう。どこがどのように
充実したのだろう。僕は夜、なかなか眠れなかった。

僕も目が充血した一日だったよ…。


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しにくいアヒルの子。

特に意味はないが、無駄に注釈が多い日記を
書いてみることにする。

風呂で娘・R(1才)(※1)の体を洗う時、こんな物を使っている。

photo

望月君(※2)にもらったアヒル(※3)の…何て呼ぶんだろうか…。

これに手を入れてクチバシの部分でゴシゴシするという、
パペットマペット(※4)みたいなものである。

正直言って洗いにくいのであるが、Rは非常にこのアヒルを
好んでおり、くちばしにチューをしたりしていてその仕草が
可愛いためこれを使っている。

それともうひとつお楽しみ(※5)がある。

アヒルのくちばしでRの胸の辺りをくすぐってやると

「むにゃあん」

なんとも言えぬ表情ではにかむ(※6)のだ。これがたまらなく良い。
どんな顔であるかを例を挙げて説明しよう。

時は遥か昔。僕と嫁がまだ鉄をも溶かす勢いの熱い仲だったころ。
僕が嫁の尻をペローヌと撫でた。

「きゃああなた!何するの!エッチスケッチマイペット!(※7)」

「ふふふ。そんなこと言っても嫌いじゃないだろう?」

僕の白昼堂々の破廉恥行為に対して、嫁は恥ずかしがって
顔を赤らめていたが、じいと僕を上目遣いで見、

「…バカ」

と照れ笑いを見せるのだった。

この「…バカ」と言った時のはにかみ顔である。
1才半のRが既にこのようなグッと来る女の表情を
見せることに、父としては大感激であり、

「Rちゃんほれほれ」

「うひゃあん」

「アヒルさんがくすぐっちゃうぞー」

「にへへへへ」

悪さをアヒルのパペットのせいにして、ついついみだらな行為(※8)
を繰り返してしまうのであった。

エッチスケッチパペットマペット。


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※1
僕と嫁の間に出来た1才半の長女。まだ言葉は喋れないが
最近歩くのが早くなった。

※2
ネット友達。別ハンドルで三日月とも。何故かたくさんサイトや
ブログを持っている。

※3
(1)カモ目カモ科の水鳥。マガモを改良した飼い鳥。首が長く、泳ぎ
が巧み。肉・卵は食用とし、羽毛は布団・クッションなどに用いる。
多くの品種がある。(2)背が低く、尻が大きい女をいう語。「goo辞書」より。

※4
イラクのテロリストのような黒子の格好で顔を隠し、牛と蛙のパペットを
使ってコントをする芸人。特に面白くはない。

※5
「お楽しみ女子高生」というエロ本タイトルを思い出してしまったことは
秘密である。

※6
ハニカムCCD搭載デジカメ、などというダジャレが思いついたのも秘密である。

※7
僕が子供の頃流行っていたフレーズ。スカートめくり等の悪戯を
された時に 女の子が抗議の意味を込めて発する言葉。元は
「エッチスケベ」だったらしい。それが韻を踏み「スケベ」が
「スケッチ」にスライドし、加えてその頃登場したワンタッチ傘が
普及したのと重なったことにより、七五調でリズムがあり、韻も
踏んでいる「エッチスケッチワンタッチ」に発展したと思われる。
その後「ワンタッチマイペット」という洗剤が発売され、「ワンタッチ」
が「マイペット」にすりかわり、「エッチスケッチマイペット」が
生まれたのであろう。あと僕が知っているもの、調べたものとしては

「エッチスケッチ3センチ。スカートめくって10センチ」
「エッチスケッチワンタッチ。チンチンオッパイ、ダブルケツ」
「エッチスケッチワンタッチ。お風呂に入ってアッチッチ。
 私の人形モンチッチ。トイレに入ってウンチッチ」

などがあった。

※8
僕は「みだらな行為」とか「わいせつな行為」という言い回しが好きで
ある。遠回しな表現が余計にいやらしく感じる。
「みだらな性行為」とは、健全な常識を有する一般社会人からみて、
結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交をいい、
「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激し、又は興奮させ、かつ、
健全な常識を有する一般社会人に対し、性的しゆう恥けん悪の情をおこさせる
行為をいう。「神奈川県青少年保護育成条例」より。
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