34度目の誕生日プレゼント。

誕生日の夜、子供達とウトウト眠りに落ちていきそうな時に
嫁が紙袋を枕元にドンと置いた。

「はい、誕生日プレゼント」

おおおお、まさかもらえるとは思わなかった。というのも僕が
欲しいものといえば、例えば「睡眠時間」という非物質的なもの
であったり、それ以外に敢えて言えば8億円とか姫路城とか、
乳房下垂(ちちが垂れること)が始まる前の、ツンと上を向いて
いるピンクの乳首を持つEカップ以上の女子高生であるとか、
とても手に入りそうもないものや手に入れたら手錠もおまけに
もらってしまうものばかりなので、

「それならば別にいいよ」

と言っていたのだ。それなのに嫁は…やはり僕の嫁はいい
嫁なのだなあと思った。

「はいRちゃん、パパにおめでとーって渡して」

更に最愛の娘・R(2才)にプレゼンテーターをやらすという
演出付き。もう泣けてくる。

「ちょっと、R!そのまま、待ってくれ」

Rに紙袋を持たせたままダッシュでカメラを持って来てその姿を
パチリ。おおヤラセ写真を撮ることが出来た。


ありがたく包装を解いて中身を見てみると、ワイシャツと靴下と
ネクタイがあった。…オヤジへのプレゼントの定番ではある。
それと入っていたのは、Rの落書き。直線と曲線が入り乱れて書か
れている紙である。

「それ、パパの顔を描きなさい、って描かせたから多分あなたの
 顔なのよ」

「そうか。嬉しいよR」

僕の顔って切れ痔の肛門みたいなんだなあ…。

「あと、その靴下はRとお揃いなのよ」

「へえ、そうなのか」

多少おやじ臭い柄の靴下なので、Rに似合うかどうか些か心配で
あったが、嫁は大丈夫だというので多分大丈夫なのだろう。親子で
足並み揃えて生きよ、という嫁の教えなのだろうか。

「とにかくありがとう…」

もらったプレゼントを大事にタンスにしまい、眠りに落ちていった
僕なのであった。

翌朝後悔した。

ソックスのプレゼントは貰ったが
セックスのプレゼントを貰い損ねたことに。

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キス・オブ・ファイアー。

誕生日であった11月20日。トゥエンティ・ノヴェンバー。

特にこれといって変わったことをするわけでもなく、昼飯は
冷凍していた残り物のカレーだし、娘・R(2才)をいつも通り
公園に遊びに連れて行ったり、ぐずる息子・タク(1ヶ月)を
抱いてあやしていたりしただけだし、夕飯も嫁は

「今日は誕生日ディナーですよ!」

というわりにはただのスキヤキで、

「どこが誕生日ディナーなの?」

と聞いても

「うーん、『スキ』だから」

というわけの分からない答えが返ってきて理解できない平凡な
一日であった。僕も特に何をしたかったわけでもかったのだが、
ひとつだけ欲しいプレゼントがあった。

それはRのちゅー。

Rは嫁やピカチュウのぬいぐるみにはぶちゅぶちゅするくせに、
僕がいくらお願いしてもダメなのである。いつも巧みに逃げら
れてしまう。これってもしかすると

「お父さんお口くさーい」

というやつなのか…と真剣に悩んだりしたものだが、今日だけは
食い下がって娘の唇をゲットしようと直談判したのであった。

「Rちゃん、今日はパパの誕生日です」

「たんじょーびー」

「そう。だからパパおめでとーってチューしてくれ」

「ちゅー」

しかしRがちゅーしたのは僕ではなくアンパンマンの人形。

「アンパンマンじゃなくて、パパにだよー」

「えへへ、あんまん(アンパンマンのこと)、ちゅー」

このRの態度と表情は、照れているような、じらしているような、
そんなはにかみと意地悪っぽさが入ったような笑い顔であった。
それを見て僕は、これは決して本心から嫌がっているのではない!
じらして楽しんでいるのだ!そう確信した。

何故ならば、その表情は遠い昔、嫁を口説いた時の嫁の表情に
そっくりだからである。さすが親子。なればもう一押しである。
嫁と同じ口説き方をすれば落ちるはずである。

「なあー。先っちょだけでいいからしてよー」

…こんなことを言って嫁を落としたかどうかもう記憶が定かでは
なかったが、とにかく最後のお願いに来ました、という選挙活動の
政治家ばりの平身低頭ぶりで頼んだところ、

「ぱぱ、ちゅー」

なんと、Rが歩み寄ってしてくれたのであった。ああ、ついに…。
もう他にプレゼントはいらぬ。Rから毎年ちゅーしてもらえばいい。

将来Rに彼氏が出来てしまったら、彼氏と間接ちゅーになる恐れが
あるので、発見次第すぐ別れさせる所存である。

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誕生日イブ。

昨晩、娘・R(2才)と一緒に床に就き、布団の中でまだ眠らずに
遊びたがっている彼女を

「今日はおしまい。明日は何して遊ぶ?」

となだめながら夜伽話をしていた。

明日(昨日の時点での明日。つまり今日)は僕の誕生日である。
しかしこれといって何の感慨もないのでおそらく平凡な日曜日と
なるであろうと思った。

「いつものように公園に行って、砂場で遊ぶか?」

「うなば(砂場)、しない!」

「あれ、遊ばないの?Rちゃんは砂場大好きじゃないか。じゃあ
 ぽーん(ボール遊び)しようか」

「ぽーん、しない!」

「えー、じゃシーソーは?

「しーそー、しない!」

「ブランコ」

「ぶだんこ、しない!」

Rの好きな遊びをことごとく言ったが、何故かRはやらないという。
もしやRは僕の誕生日を知っていて、いつもと違うもっと特別な
ことをしたいの…と考えているのではないだろうかと勘ぐった。
いつもは絶対してくれないチューをしてくれるとか。

「じゃあRちゃんは明日何をするのかナ?」

そんな期待半分でRに猫なで声で尋ねてみたところ、

「のんのーん」

と言ってお手手の皺と皺を合わせた。のんのん、とはR語で拝む
ことである。Rはお墓や仏像などを見ると必ず手を合わせる。
どこまで分かってるか知らないが、とりあえず拝む対象というのを
幼いながらも区別出来ている。

「そうか。のんのんか。拝むのか。明日は僕の命日だもんなあ」

「のんのーん」

「…って命日じゃなくて誕生日だろオイ」

思わずボケツッコミをしてしまったが、一体Rのこの言動は何を
意味するのであろうか。何となく気になってしまう。子供って
突拍子もなく妙に予言めいたことを言うし…。

明日、僕は車にでも撥ねられて死ぬるのだろうか。それとも僕の
パターンからすると、日付が変わって誕生日になった途端

「なー誕生日だしいいだろ。ハッピーファックデー」

と嫁に言い寄ってそうだから、その最中に腹上死してしまうとか。

せめてRと息子・タク(1ヶ月)が成人するまでは生きていたいな、
と些かセンチメンタルが止まらない状態になってしまった。

そして翌朝。つまり今。この文章を書いているということは、ひと
まず腹上死からは免れた。というか嫁に免れられた。

今日のバースデーがエックスデーになりませんように。

セックスデーになりますように。

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腰抜け親の子供の叱り方(略してコシシカリ)

草木も眠る丑三つ時。北斗の兄弟ケン・ラオウ・トキ。

そこまで世は更けていなかったが、よい子が寝る時間をとっくに
過ぎていた午後10時ごろ。娘・R(2才)は未だ眠らずにはしゃいで
いた。

「R、寝なさい」

「きゃははははは!」

「R、ねんねするの!」

「じゃんぷー!じゃんぷー!」

嫁と僕がいくら言ってもぴょんぴょん飛び跳ねたりしていて、全く
寝ようとしない。これはもっと厳しく叱るべきではないかと思った。
言うことを聞かないということは要するにナメられているのである。

僕は今までRを本気で叱ったことはない。もともと聞き分けの良い子
でありマジギレすることもないのだが、それより何より可愛いんだ
モン。しかしRがおちゃらけ過ぎて全く言うことを聞こうとしない
今この時、本気で叱る時が来たようだ。時には父の厳格な面を見せ、
しっかりしたしつけをしなければならない。

「R、だめでしょ!寝なさい!」

Rに初めて大きな声で叱った。

「あ、パパが怒った」

嫁も僕がRを怒ることが珍しく映ったらしく、意外な顔をしていた。
僕だってやる時はやるぜ!だからRが寝たらやらせろ。しかしRは
相変わらずどこ吹く風で遊び回る。ここまで舐められていたとは!

「ほーら、ゲンコツさんが出てきたぞぉー」

今まで娘に手を上げたことはなかったが、ついにこの時が来た。
全く手を上げないでいたのでは将来Rも

「父さんにもぶたれたことがないのに!」

というへなちょこな大人になってしまう。だから悪い子にはゲン
コツである。初めてRに体罰を下す時…。

「R、寝なさい!」

ゴン!と頭を小突くつもりであったが…やはりできぬ…できぬのだ。
愛娘をグーで手にかけることなんてできぬ。掌で頭をポンと当てる
ことしかできなかった。

「あ、パパが叩いた」

それでも珍しそうなものを見る目で嫁は言った。こうして初めて
我が子に手を上げた結果は…

「きゃはははははははは!」

全然効いてなかった。そりゃそうである。全然痛くないし。これ
だったらRと遊んでいる時に持ち上げてブンブン振り回すほうが
よほど体罰っぽい。

親として子を叱るのはどうすべきか…。生命を育てる身としての
しかるべき叱り方。ああ、誰か教えて欲しい。生命の源である海よ。
空よ。大地よ。どうか教えて欲しい。

叱るー海、叱る大空、しーかーるー大地ー。なんつって。

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息子のサプリメントはシャブリメント。

嫁と息子・タク(生後1ヶ月)の定期検診があったそうな。

結果を聞いてみると母子共順調のようである。特にタクの成長は

「生まれてから1日に50gずつ増えて5s、身長も1ヵ月半で8p
 伸びて57p」

という恐るべき速さで成長している事が分かった。このペースで
ハタチまで成長するとなると、身長約13m、体重約370sという、
大豪院邪鬼のような化物になってしまうので、生き物として節度
ある成長をしてもらいたいものである。

一方でタクの竿というか「かなまら様(※1)」のほうは、産まれた
時からとてもかわいらしい。

かなまら祭り
(※1:かなまら様)

だが、嫁の目からすると小さ過ぎるように映るらしく、いつも心配
している。曰く

「玉の上に申し訳なさそうに乗ってるんだもの」

神聖なる陰茎をまるで寿司ネタのように表現する。

「僕の遺伝子どおりに成長してくれれば、馬並みには及ばない
 けど人並みにはなるだろうよ」

と、僕は何度も言っているのだけれども。

「それはそうと、コレ」

嫁が僕に見せたのはおしゃぶりだった。タクは口が寂しい時に
よく愚図るので、ついにおしゃぶり導入に踏み切ったようだ。

「R(2才の娘)の時はおしゃぶりなしでいけたけどなあ」

おそらくふたりの子供に同時に愚図られても、いちいちかまって
られない故の嫁の決断だと思った。

「はい、これで君もおしゃぶり君!」

嫁はタクの口におしゃぶりをポンと入れた。ふふふ、そういう
君も夜は僕のかなまら様をおしゃぶり君〜。という最低の低の
ギャグを言いたかったのだが、最近してくれないので口に出す
のは憚れた。

「タク、おしゃぶりの按配はどうよ?」

むちゅむちゅとおしゃぶりを口で弄ぶタクであったが、ものの
30秒ぐらいでペッと吐き出してしまった。

「どうやらおしゃぶり君は苦手なようだね。そういうとこ、
 ママにそっくりだよ…」

これを見て、タクが年頃になったら教えてやろうと思ったことが
あった。将来、交尾関係になる女が出来たら、始めの内にそういう
技はしっかり女に叩き込んでおけ、と。そして自らも技を磨け。
付き合いが長くなりダルダルな性関係になってからでは「何を今更」
って感じになってしまうからのう…。

父の失敗の轍を踏まないように…。

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