NO NOマクラ。

珍しく嫁より先に寝てしまったが、嫁のマクラを自分のマクラだと勘違いして寝ていたらしく、

「起こすのもアレだからあなたの枕を使って寝たけど、気持ち悪くてしょうがなかった」

翌朝嫁に文句を言われてしまった。僕のマクラが気持ち悪いとは。このマクラは悲しい事があった時、夜な夜な僕が声を殺して流した涙を吸い尽くした、男の悲しみのマクラであるぞ。

「気持ち悪いってどういうことだ。別にいいじゃん」

「んー。あなたのパンツを履いて過ごす気持ち悪さっていうか。なんか気持ち悪い」

そこまで言うか。「ふざけんな」というセリフが喉まで出掛かったが辛うじて押さえた。

「そんな水臭いこと言うなよ〜。赤の他人じゃあるまいし。体の繋がりもあるのに。僕のアレを受け入れたり咥えたりしてるじゃん」

「でも最近は咥えてないし」

「じゃあ今夜あたりどう?」

「やだ」

そこまで言うか。「マクラの精子」という駄洒落が喉まで出掛かったが辛うじて押さえた。

夫にマクラを使われ、夫のマクラで寝ることがそこまで気持ち悪いものだろうか。僕は一向に気にしないのだが。1日ぐらいなら嫁のパンツを履いて過ごすことも可能だ。マクラが変わると眠れない、という人もいるが嫁からそんな言葉を聞いたことは一度もない。

もしかして洗濯物は僕のだけ隔離されて別に洗われているとか?僕はこの家ではえんがちょ扱い?そんなことを気にしてその日1日を悶々と過ごして夜になった。

子供達が寝静まった後にダメ元で、咥えなくてもいいから夫婦の契りを交わそうとおねだりして見たら、

「わかったわよ」

なんかOKのサインが出た。ああ生きてて良かった。たかがマクラひとつのこととはいえ、この日1日ずっと引っ掛かっていた心のわだかまりが一気に取れたような心地良さを覚え、速攻で嫁に突進するのであった。

いざかマクラ。

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