ハースデー・バースデースーツ(誕生日の裸)

娘・Rの2才の誕生日の夜、少し早めに仕事から帰った
ところ、Rは嫁と入浴中であった。思惑通りである。

いそいそと僕も風呂に入り、Rと戯れる。Rのバースデーの
バースデースーツ(裸のこと)をこの目に焼き付けておこう
と思っていたのである。モザイクをかける必要がない娘の体は
なんと可愛いことであることよ。

嫁が先に風呂から上がり、ビデオカメラを持って来てRの入浴姿を
撮影し始めた。おそらく嫁も僕と同じ思惑であろう。

「でもほれ、あまりモロダシ動画にすると将来Rが恥ずかしがる
 から気をつけて」

そう、全て撮ればいいってモノではない。ここは脱ぎそうで
脱がないアイドル写真集のような、ていうかそこまで脱いでん
なら全部脱げよ、というギリギリのオブジョイトイ路線が良い
と判断し、そう撮影するよう嫁に指示した。

とは言いつつも

「お尻ー。モウコハンが可愛いお尻ー」

などと5秒でその路線を変更してしまったが。

その後僕もRも風呂から上がって、僕は夕飯を食べることにした。
我が家の恒例で、Rが生まれた9日は毎月カレーである。するとRが
チョコチョコとやって来て、僕のスプーンを奪った。既にご飯は
食べたはずなのにまだ食べたりないのか…と思ったが

「あーん」

なんと僕に食べさせてくれるではないか。お父ちゃん超感動。

「嫁、ちょ、おま、これもビデオに撮れ!」

慌てて嫁にカメラを回させた。遠い将来、このビデオはRの結婚
披露宴で「ちっちゃい頃の記録でーす」などといって上映される
こともあるかもしれない。そこでこんな「あーん」してくれている
映像が流れた日には、僕は確実に泣く。涙を隠しもせず号泣する。
そして泣いたままクライングフリーマンと化しケーキカット用の
ナイフを奪い、新郎を斬る。

今はお父ちゃんベッタリの蜜月の時期。しかしこれはいつまで続くの
だろうかと溜息をひとつついて首をうなだれると、僕はとある重要な
ミスに気付いて血の気が引いた。

いつも風呂から上がった後はTシャツにトランクスいっちょうに
なるのだが

「大変だ!トランクスの隙間から…ひとつはみ出てしまっている!」

ただちに撮影を止めるよう嫁に知らせたのだが

「…最初からそんなもん撮ってないわよ」

という嫁の的確で冷酷な判断が幸いし、Rのメモリアルビデオに汚点を
残さずに済んだ。…いや、済んではいなかった。

たとえ映っていなくても、声のやりとりはしかと記録されてしまった。
これでは結婚披露宴でお見せすることはできない。できるとしても会場
は限られている。玉を隠しただけに、玉秘め殿。なんつって。

こうしてR2才の誕生日の記録ビデオには

Rの生まれたままの姿と
Rを生ませた玉の姿の思い出が
残されたのであった。

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