恋の火事場泥棒。

会社の喫煙室で、朝一発目のタバコを吸うエレガントな私。

鰹節工場の燻製室のような密室の中で煙に燻され、私、
身も心も汚されるわ。仕事モードに切り替わる瞬間よ。

胸のポケットタバコを取り出して唇にちゅっと挟むの。
いつもファーストキスの感触を思い出すわね。あの時は
味噌汁の匂いがしたわ。

それから、火よ。スーツのポケットからカルティエ(と
マジックで書かれた100円)ライターを居合抜きのように
素早く取って火をつけて…あら、いつもと感触が違うわね。
何故かしら、と視線をライターに落としてみたの。

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キャア!何これ!R(1才半の娘)のオモチャじゃないの!

「…それ、どうしたんですか」

喫煙室のみんなに見られてしまったわ。私ったらチョドジー!
視線が痛くて赤道小町ドキンちゃんだわ!

きっと、家でスーツの上着を椅子にかけている時にこっそり
忍び込まれたに違いないわ。いやーん、R、おそろしい子!
慌ててポケットをまさぐってしまったわ。ライターはあった。
Rにはまだライターとドキンちゃんをすり替えるようなイタズラを
する知恵はないのよ。

でも、ライターをポケットに入れておいたとはいえ、Rの手の届く
ところにあるのは良くないわね。気付かなかったわ。チョドジー。

いつの日かライターを取り出してイタズラしてしまうかも知れない。
幼児に火は禁物。火遊びするとおねしょしちゃうから…ってそういう
問題じゃないわね。まだオムツしてるし。

そうよRちゃん。あなたに火をつける道具は必要ないわ。だってだって、

だってアナタはもう私のハートに火をつけまくっているのだから…
イラスト素材→SAYURINA

Rはライター。私はタバコ。あなたがつけた恋の火で
私は燃え尽きて灰になるの。

でもポイ捨てしないでね。

※お知らせ:旅行のため、明日の日記は休みます。
 でも夜に書くかもしれません。
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