けっこうなご趣味で…。

またもやミッフィーグッズを手に入れたので
Rに与えることにした。Rはキャアキャアと喜んで
くれたが嫁があきれた顔で僕を見つめていた。

「あなた、またミッフィー?」

「そうだよ」

僕はちょっと前もミッフィーの絵本を買ってきたばかりだ。

「どうしたの?そんなに好きになったの?今まで
 ミッフィーなんて見向きもしなかったじゃない!」

当たり前だ。三十路男がミッフィーグッズに心を奪われ、
目をキラキラさせている姿なぞ、気持ち悪くて見たくもない。

「保険のおばちゃんにもらったんだよ!ミッフィーは
 Rが大好きだからな」

僕はRの喜ぶ顔が見たいだけである。惚れた相手の
趣味に合わせる、なんてことはよくある話ではないか。

かつて近所にいた僕のお気に入りの美少女Rちゃんが
(Rの名前のルーツの伝説的美少女。ここ1年半音信不通…)
よりによってホモ小説にはまってしまった時、僕はRちゃんから
大量に送られまくってきたホモ小説をイヤイヤながら読み倒した
ことがあった。

これも惚れた相手の趣味に合わせるため。相手に恋焦れる故の
苦行である。さすがにこの時は男色小説なだけに難色を示したが…。

それに比べればミッフィーなどは極めてまともである。
願わくばRはこの父の許容範囲の趣味を持って欲しい。

「お父さん、ホモになって」

などと言われてもまいっちんぐ。
.

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