2004/9/4 土 | 日記
溺れる者は、わらわの姫じゃ。
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Rはお風呂の中で技を覚えた。
まだひとりでは立てないけれども、風呂桶の端に
つかまり立ちをする。その時に屈伸運動をするように
なったのだ。
お湯が口に浸からないギリギリのところまで
膝を曲げて体を沈め、ちょっと間をおいて
「ぁた」
気合と共にザバーと立ち上がるのである。これの繰り返し。
(親バカというものはこういった小さなことでも感動し
長文を書き連ねてしまうものである)
「ふふふ、嫁、君と風呂に入る時はRはこんなことするかい?」
得意気に嫁に聞いてみたところ、嫁はそんなの見たことがないと
言うので、僕は目撃者第一号となり、ますます得意になった。
次の日。僕は仕事から帰ってきて嫁に聞いてみた。
「どうだった?やったか?」
「やった!お風呂に入れたらすぐ始めたわ〜」
「ちゃんと、アゴが浸かるか浸からない程度まで潜るんだよね。
分かってるんだよね」
「うん。賢い!」
考えてみればそれぐらいのことは猿でも出来るのだろうが、
水を怖がらない我が家の人魚姫ちゃんであることよ、と
自画自賛する我らであった。
そして更に次の日。
「どう?今日もやったか?」
「沈んだ」
「えー!」
Rは目測を誤ったのか、ゴボボボと自ら溺れていったという。
嫁がすぐさま引き上げたものの、それ以来Rは屈伸運動を
見せてくれることはなくなってしまった。む、無念。
溺れるものは久しからず。
ただ風呂の夜の泡の如し。
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