親子父いらず。

久しぶりに早く仕事が上がった今夜。

愛する娘・R(1才)はまだ起きているだろうか。
休日以外は出勤前のわずかな時間しかRに会えない
辛さがある。

待っててオクレ、マイラブリードーテイ…
じゃなかった、マイラブリードーター。

お父ちゃんと熱い放尿…
じゃなかった熱い抱擁を交わそうぞ。

しかし家に着いてからその野望は途絶えた。
Rは既に入浴を終え、嫁の腕の中で乳を吸っている
ところであったのだ。こうなるともうRは寝る寸前。
口はチウチウ動かしているが、瞼はトロウンと下がり、
意識は既に夢の世界へ羽ばたいている。僕が頭を撫でて
やっても全く気付かぬ。

仕方のないことだ。しかしその寂しさに

「Rへの愛が足りない!」

昨晩嫁に言われたのがわりと堪えているのか、
頭にその台詞がぽわんと浮かび、消えた。
僕はひとり奥の部屋でモソモソと着替えを始めた。

すると…

「ふやああん」

Rがグズる声が聞こえた。いつもだったらこのまま寝てしまうのに
珍しいことよ、と思い振り返る、なんとRが嫁の腕を振り解き、
僕の方をカッと見定めて手を広げているではないか。

なんだ、やはり僕が帰ってきたことを分かってたんじゃないか。
それで抱っこしてちょ、と手を差し伸べているのだ。
おお、なんて愛い奴。

「R〜!お父ちゃん帰ってきたよ〜!」

さあ今こそ抱き合おう。僕は嫁からひったくるようにRを
掬い上げた。Rはニッコリ微笑んで…となると思ったのだが何故か

「ウギャアアアア!」

余計に泣き叫ぶのであった。慌てて嫁に戻すとRは何事もなかったかの
ように再び乳をチウチウ吸い始めた。

「もう。この子は何をしたいんだか」

嫁は苦笑いするのだが僕には分かっていた。

「父より乳を選んだってことだ。ただそれだけのこと…」

また今夜もロンリネスでダークネス、そして
クリネックスな夜となった。
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