ゲリピーバースデー。

今日は僕の誕生日だったので、嫁と娘・R(1才)は
どんなお祝いをしてくれるのだろうか、とほくそ笑んでおった。

「豪勢に高い焼肉屋でも行こうか」

などと宴の予定などを嫁と話し合い、朝起きた時から
燃え上がるぞハート・震えるほどヒート。

しかし、朝イチで床屋に出かけて髪を切ってもらっていたら、
本当に体が燃え上がるように熱くなり、そして震えるほど
寒くなってしまい、腹も下ってきて…

風邪引いてしまった。貧弱、貧弱ゥ…。

「何やってるのよもう〜、寝てなさい!」

嫁には呆れられ、頭が熱いのでおでこに冷えピタを貼って
寝ることにした。しかしそれがRにとっては

「あ、親父変なもの貼って何か面白いことやってる」

と映ったらしく

「あだだだー!あだだだだー!」

目を爛々と輝かせて僕にまとわり着くのであった。本当だったら
Rに愛のバースデーベーゼの嵐をお見舞いして今日の良き日を
過ごしたかったのだが、そんなことをしたら風邪が伝染るし、
それに僕は既に座っているのも辛くなっておりRと遊べる状態ではなく、

「年取ったついでに死に水も取ってもらおうか…」

という勢いで衰弱して行き、やがていつしか眠りに落ちていった。

夜…目覚めた時はRは既に寝ていた。一家で誕生日を祝ってもらうという
野望は打ち砕かれた。それでも嫁は起きていて、僕はいくらか食欲が
出てきたのでメシを出すよう頼んだら、

「こんなんしかないけど…」

昼飯の残り物を出された。

「ま、いいか…」

本当だったら焼肉でも豪勢に食ってたはずなのに…
とボソボソと食べた。しかし嫁が

「一応ケーキもあるよ、食べる?」

と言ってきたので、ちゃんと用意してくれていたんだなあと感激して

「えっ。どんなの?」

身を乗り出して答えたのだが、出てきたのはただのショートケーキ。
嫁は細いローソクも一本だけ持って来てくれたのだが、ケーキに
刺して火を灯すと、逆に仏壇に捧げた線香のような殺伐とした
感が漂ってきてしまった。

「ま、いいか…」

Rの誕生日には僕がでかいバースデーケーキ買ったのにな…
とボソボソ食べた。しかし嫁が

「誕生日プレゼントなんだけどね…」

と言ってきたので、ちゃんと用意してくれていたんだなあと感激して

「えっ。ナニナニ?」

身を乗り出して答えたのだが

「クリスマスプレゼントといっしょってことでいい?
 買ってないのよオホホホホ」

嫁は苦笑いした。

「ま、いいよ…」

僕はこう答える他なかった。

人生の中で一番しょぼい誕生日はこうして終わった。確かに
三十路をいくつも過ぎた誕生日なんてめでたくも何ともないけどさ…。

誕生日 冥土の道への 一里塚

焼肉屋に行けなかった代わりとして
明日はメイド喫茶にいくことにする(やけくそ)
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