眠らぬ枕元の幼女

夜中…ひょっこりと起き出す娘・R(1才)

風邪を引いているので寝苦しいのかと思ったら
そうでもないみたいで、嫁が授乳をさせると

「あーははははは」

枕元にあるおもちゃで遊び出してしまった。

「もー。ねんねしなさい。ねんね」

嫁は「もう眠くてかなわない…」と、既に布団に入って寝る体勢だ。
その嫁の顔の真上から、Rはもみじのような手のひらを広げ、そして
手を高く振り上げてハエタタキのごとく

べちん。

嫁の顔面をぶっ叩いた。見事じゃ…。

「痛い!なにすんのよもう…」

嫁はたまらず悲鳴を上げるのだが、Rはマイペースに絵本なぞを広げ、

「あたー。うたー」

犬や猫の絵を指差しながら読んで(?)いるので、僕は付き合って
あげることにし、

「はいはい、それはわんわん、そっちはにゃんにゃん、
 こっちはちんちん」

などとさりげなく性教育を交えて話をしていたが、気が付くともう
午前2時を回ろうとしていた。さすがに僕も眠くなり、

「R、寝ようよ。宵っ張りになっちゃうと君の弟か妹が
 産まれなくなっちゃうよ~うひょひょ」

などとRには高度すぎて分からぬであろう、大人の理由を告げて
寝るように催促するのだが、当然Rは遊ぶのを止めぬ。

「じゃあ、お父ちゃんも寝ちゃうぞ」

僕は布団に入って狸寝入りを決め込んだ。するとRは

「ふえ…ふえ…」

あ、僕も嫁も寝ちゃったから寂しくて泣き出すのか…と
思ったが一転、

「むきゃあああああああ」

いきなり怪鳥のような雄叫びを上げるないなや

べちん。

「いてえええ!」

僕もRに顔面を引っ叩かれたのであった。
そうか。さっきも嫁の顔を叩いてたのは

「寝るな。あたちと遊びなさい」

ということだったのだ。

僕は夜中、Rを起こさないようにできるだけ
物音を立てないように注意している。

親は「寝た子を起こす」愚行を致しますまいとしているのに
子は平気で「寝た親を起こす」ようである。

いつの間にこんなバイオレンス娘に
なってしまったのだか。
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