箱根、ザコ寝、一人寝。

嫁と母、そして娘・R(1才)で箱根にレッツラゴー。

まずは芦ノ湖の遊覧船に乗るのだ。
桟橋のチケット売り場で船が来るのを待って並んでいたら、
老人団体客がドドドドドとやって来て、ベビーカーに乗ったRを

「アラー赤ちゃん」

「んまあー赤ちゃん」

「赤ちゃんバイバイ」

いちいち覗き込みながら通り過ぎて行ったので

「ぎゃわあああん」

Rは恐ろしくなったようで泣き出してしまった。そんなに赤ちゃんは
珍しいのだろうか。

折りしも先ほどまで晴れていた空に一気に暗雲が流れて来、
桟橋には老人が溢れ、遊覧船を待っていた桟橋はなんだか
三途の川の渡し舟を待つような雰囲気になり、僕もいささか
ダークな気持ちになってしまった。

宿に着くと、お目当ては露天風呂である。
結局僕は嫁・母・Rと別れ、一人寂しく男湯でしっぽり浸かって
いたのだが、

「ぎゃわあああん」

壁の向こう側からRの絶叫が聞こえてきた。
Rの「場所見知り」である。嫁と母はあやすのに必死だったらしく、
僕は一人でよかったのかもしれない。

皆が寝静まった真夜中、僕は母の鼾で起きてしまった。
忘れていた。母の鼾は物凄いのである。

僕はすっかり目覚めてしまい、すると別なリビドォな
方面も目覚めてしまった。嫁の寝床まで這って行き、

「なあ~母さんも高鼾で気付かないだろうから
 いいだろ」

一泊二日の旅を何としても一発二日にすべく
言い寄ったのだが

「いいわけないでしょ」

嫁のガードは固かった。

「ぎゃわあああん」

一日の最後は僕が泣き出したくなってしまった。

入り鉄砲と出女には特に厳しかった箱根の関。現在は
入りち○ぽにも厳しいようである。
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