▼ゼルが サイファーを いわう(FF8)
それじゃ、お大事にと楽しげにこちらに背を向けたまま手をひらひらと振ってコートの青年が部屋を出て行った。こちとら身動きひとつできない重症だというのにええい何が楽しいのかと怒りをかみ締めていると、青年と入れ替わりにまた一人見知った顔が部屋に入って、よっす、と明るい声を出した。キザ野郎の次はチキン野郎かよ、と彼はうんざり天井を見上げる。
全身包帯を巻かれた状態の彼に本日2人目の見舞い客となる青年は生きてっか?とどこまでも明るく尋ねた。見ればわかるだろうがと彼は悪態をついた。
「いやああんな崖から落っこちたって聞いたときにはさすがのお前でも死んだと思ったぜ!」
「うるせえな、何しに来やがった」
「見舞いに決まってんだろー。ほら手土産、フェニックスの尾。」
「嫌味のつもりか…!大体てめえら何で一人ずつ入れ替わり立ち代り来るんだよ鬱陶しい」
「そりゃセルフィが「サイファー一日暇だろうから時間つぶしのために一人ずつお見舞いに行くっていうのはどうだ!」って言ったからだな」
「あの野郎楽しんでやがるな…」
「ま、だろうな」
ほら、僕は一人目だから派手にいかないと思って!と直前までいたキザな青年は両手いっぱいの花束を持ってきて勝手に飾り付けていった。勝手に飾りつけたくせに君ってガーデン1花が似合わないかもしれないなあと爆笑していたことを思い出し、彼は頭痛に頭を抑えたくなった。両手は固定されベッドに吊られているため叶わなかったが。
それにしてもよ、と青年は言った。
「お前が落っこちた崖ってラグナ大統領も落っこちて全身の骨をバラッバラにしたっていわく付きの場所だったんだってなあ。俺はてっきりお前がラグナさんに憧れ過ぎて自ら飛び込んだのかと思ったぜ」
「それで死んだらどうするんだよ!」
「いやお前って生きる死ぬよりそういうロマンを大切にしそうだし」
ロマンをこじらせ世界中に一時期迷惑をかけたことがある彼は言葉が返せず沈黙した。
今まだガーデンに所属できているのも目の前の無礼な見舞い客含む何人かの尽力によるものが多い
。普通考えれば恩人であるものの、なにかにつけ嫌がらせに近いかまい方をする彼らを見ていると実は自分をからかって遊ぶだけのためにガーデンに連れ戻しただけのような気もしないでもない。
…特に女性陣。
彼の複雑な思いを酌んでか酌まずか、見舞い客は比較的無事そうな右足を叩き、ま、生きててよかったじゃんと笑った。
「生還おめでとう。長生きしろよ」
げらげら笑いながら言うところかそれはと思いつつ苦々しい表情で彼はとりあえず黙れと噛み付いた。
「あ、次の見舞いキスティスだから」
「は?」
「自分の生徒が、任務の途中で一人暴走した挙句いわくつきの崖からおっこって一時行方不明、発見されたけど瀕死の重傷ってことでかーなーりー怒ってたぜ」
「…」
「つうわけで瀕死どころじゃなくなるかもしんねえから、がんばれよな!」
「…だから、手土産が、これか」
「ま、頑張れって。たぶん死ぬけど」
「この状態で頑張れるか!」
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8のメンバーの中じゃ一番ゼルが常識があって優しくて物知りで力持ち(関係ない)だと思います。サイファーはところんいじられキャラでお願いします。
リクエストありがとうございました!
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