6周年ありがとうございます企画部屋

ゼシカが ククールを ほうる(DQ8)


この戦闘担当4人、馬車担当2人の愉快な旅路の中で一番言い合いになるのはトロデ王とヤンガス、ついでゼシカとククールであった。前者はたいてい口の悪い彼らが食べ物絡みか容姿絡みでやいのやいの言っているだけなので特に実被害も出ないのだが、後者は異なる。旅を始めた直後はあまりにやる気のないククールに対しゼシカがあれやこれや口を挟んでいたのだが、いつのまにやら彼女はそれを諦めていた。そしていつの間にやらククールのほうが世間知らずで無茶をするゼシカにあれやこれや口を出すようになっていたが、なんにせよ言い合いすることにはかわらなかった。まあそこにいたるまでの経緯を掴んでいる一行の中にそれに対し何か言うような無粋な輩ははいないのだが。


あのな、だからなんでお前はすぐ前に前に出ようとするんだよ。

前に出ないと魔法当たらないじゃない。

それにしても時と場合を考えろよ!あんな状態で前に出たら無駄に怪我するだけだろうが!

うっかりヤンガスにメラぶつけるのはもうやめようと思ったんだもの。

あのなあ、ヤンガスとかはいいんだよ怪我するのが仕事の前衛なんだから。

メラはともかく、メラミはしゃれにならないわよ。

それはお前の命中率のほうをどうにかしろよ!

あーはいはいごめんなさい。どうにかするどうにかする。

笑顔で適当な返事すんな!俺より貧弱なんだから後ろにいろっていうそれだけだろ!

貧弱っていうのはなに。装備が?

装備も、そのほかも!



ククールの返した言葉に、ゼシカが動きを止める。
そのほか。そのほかとはなんぞや。戦闘員の中で"紅一点なのだから"という理由で、体力的に貧弱だと、そういいたいわけ?
はらはらと事の成り行きを見守るヤンガスと笑顔で見守る一行のリーダーはその瞬間なにかがはまるような音が聞こえた気がした。ぱちり。あーあーとリーダーが呟いた。それ言ったらダメだよ句ククール。ゼシカは気にしてるんだから。その言葉は宛てた人間には届かないのだが。
適当にはいはいとあしらっていた彼女は、その瞬間ゆっくりと顔を上げ、静かに微笑んだ。



それはなに、私があなたより弱っちいと、そういいたいわけ?

世の中呪文でなんとかなることばっかりじゃねえってことだよ。

じゃあここで私が呪文を使わないであなたをぶちのめしたら分かってもらえる?

あーあーやれるもんならやってみろ。



微笑みの言葉に青年が余裕の笑みを浮かべて返す。どうせできるはずはないのだろうという心が彼にはあるのであろう。甘い、とリーダーとヤンガスは同時に思う。
あー売り言葉に買い言葉でがすなあ。やめておけククール、ゼシカはああ見えて格闘スキルが鬼のように上がっているんだ。放り投げられるだけじゃすまないでがす。君って奴はこうどうして諸刃の剣のようなことを、いや違う、一方的に自爆だからメガンテか。自爆呪文でげすな。



ひらりと翻る赤いスカートから真っ直ぐ伸びる足に、ムーンサルト改心の一撃が決まったことを確認し、彼はとりあえず拍手をしておいた。おせっかい焼きたい気持ちは汲み取るけど、やるなら言葉を選べよ色男と心の中で慰めの言葉をかけながら。

それはククールその人がいくらが放り投げられようが綺麗に蹴り上げられようが口を挟むことをやめないであろうことは彼にも分かっているので、それに対して何か言うような無粋なことはしないようにしているからである。




心配なら心配だと素直に言わないときっと通じないよ、とはいつか教えてあげようかとは、思っている。










おにいさんしたククール(タンバリン係)と
反発するゼシカ(しかも下手に実力がある)でお願いします。
この2人のゲーム中の会話を見る限りゼシカはククールを適当にあしらっているようにしか見えないのですが私だけでしょうか(きっと私だけでしょう)(自覚済み)

ビスチェの神様リクエストありがとうございました!

もどる

Dramatic Irony