6周年ありがとうございます企画部屋

明彦が 美鶴を えらぶ(ペルソナ3)


金曜の夜はなぜか皆1階に集うのが習慣となっていた。花金とか言うけど私たちの場合は土曜日も学校あるんだけどね、普通に。飲みにいって思う存分酔っ払えるサラリーマンじゃあるまいし、とゆかりは思っていたが、修学旅行から帰ってからなんとなく打ち解けたこの戦友たちと一緒に過ごすのは悪くはない。
制服を着替え応接間に下りてきたゆかりは、その集団の中に上級生二人がいないことに気がつき、あれ、と声を上げた。


「先輩たちどこいったの?」


俺のターン!などと奇声をあげつつ机にカードを叩きつけている男性陣にあきれ果てつつ、ゆかりは尋ねた。先ほどまで片方は読書に勤しみ、片方は食事に勤しんでいたはずなのだが。そこで罠仕掛けるかお前はぁー!と手にしたカードを撒き散らし、ぐったりと肩を落とした順平の背を叩いて慰めつつ、風花がその言葉に答えた。


「先輩たちならさっきコロマルの散歩に行ったよ?」

「今日は真田さんの当番でしたからね」

「ついでに色々買い物頼んじゃったから当分帰ってこないかも。ゆかりちゃん用事があったの?」

「いや、用事はないんだけどね。二人で一緒にいないって珍しいなと思って」


ゆかりの何気ない言葉に、戦友たちは(一人の鋼の乙女を除き、勝利を手にしたものも敗北に崩れ落ちたものも)ぴたりと動きを止めた。そのままくるりと彼女へ顔を向ける。そのあまりにも協調性のある動きに彼女は思わず後ずさる。え、なに?なにかあったわけ?思わず全員の顔を見渡せば、笑顔と言うのもおこがましい、にやりとした笑み。な、なに!



「ああゆかりっちーすげえ勿体なかったってー」

「さっき真田さんにコロマルの散歩ついでに買い物してきてくださいって冷蔵庫のメモ渡したんだけどさ」

「まあ丁度洗剤も石鹸もシャンプーも米もキャベツもきれちゃってたんだよね」

「重すぎ!わざととしか思えないそれ!」

「さすがの真田さんも一人じゃいっぺんにこなすのは無理だと思ったらしくてさ助力を頼んだわけだ」



リーダーは普段は髪に隠れている片目を細めた。



「美鶴先輩にね」



迷わず選んだんだぜこれが。ためらいがなかったですよね。お願いしますってメモ渡した瞬間じゃあ行くぞ美鶴って声かけてたもんなあ。桐条先輩も二つ返事で返してたもんね。しかしリーダーと順平さんと天田さんはゲームに大変夢中でしたし、風花さんは昨日コロマルさんのお散歩係でしたからほかに選択肢はありません。な、なんてアイちゃん夢がない!こりゃ久しぶりに二人っきりで仲良くやってるんじゃないかって夢見させてくれよ!二人の応援団長として。あっはっははお前いつの間にそんなもの発足したんだよ!それは荒垣さんの遺志を継いだに決まっているだろう。二人はきっと今頃ラブラブやってくれてるものと信じるよ、俺は。キャベツもって?洗剤と米も持ってですか??あはははは色気ねえー!
酔っ払ったように笑い転げる友人たちと一人不思議そうな顔で小首をかしげる友人を見て、ゆかりは思った。ああこの人たちみんあ酔っ払っているのかもしれない。
花の金曜日、思う存分酔っ払っているだろうサラリーマンのこと言えないじゃないと彼女は思いつつ、その"現場"にいなかったことを後悔した。自分だっていっぱしの女子高生、人の恋愛話は大好きだ。特にあの二人に関しては!


自分たちの話で花が咲いているとは知らない上級生二人が、ただいま、と帰ってくるまで彼らはげらげらと笑い続けた。














「アイちゃん、コロマルに二人になにか親展あったかどうか聞いてみてくれない?」

「…プライベートなことについて黙る矜持は持ち合わせている、だそうです」

「は、ハードボイルド!」










ナチュラルに誘ってナチュラルに返答してそれに対してやきもきする後輩たち、という図でお願いします。
あんまりチョッキに頼まれごとされないものだから
たまに頼まれると会長ははりきっちゃえばいい!(にやにやしながら)

クスノキさんリクエストありがとうございました!

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Dramatic Irony