ウチの家内は…おっ家内。

夫婦冷戦の真っ只中だから、うちのワイフがクチ聞いてくれないのさ。
僕はひとり近所の商店街で買い物をしていたんだ。すると馴染みの
ゲーセン店員のジョージ(仮名)とバッタリ会っちまってね。

「あれ、奥さんと娘さんは一緒じゃないんですか?」

なんて言いやがるんだよ。まったく最悪のタイミングだぜ、と思ったね。
だけどオイラはこう返事してやったのさ。

「うちの家内は…クチき家内」

ってね…HAHAHA!

そんなアメリカンジョークはさておき、昨日は朝から夕方までにおいて、
嫁が無言のまま娘・R(1才半)を連れて行かれ、独占されてしまったので、
今日は僕が先手を打つことにした。

「Rちゃん、お父さんとおんも出ようか」

Rと公園で戯れることにし、お出掛けの準備をしたのである。

「…私も後で行く」

玄関を出る間際、久々に僕に向って喋った嫁の声が聞こえた。
そうか、とだけ答えて出掛けた。公園でRと遊ぶことしばし、
嫁はその通りやって来た。

「カジを見ようと思って…」

と言ったので我が耳を疑った。僕を見たくて…とは嬉しいことを
言うではないか(嫁は僕のことを「カジ」と呼ぶのである)
照れるぜハニー、とちょっと面映い思いになったのだが

「カジを見ようと思ったんだけど、やっぱりやめたわ。
代わりに見てきてくれない?」

嫁が次に言ったことは意味が分かりかねた。僕を見ようと
思ったのにって、現に僕は君の前にいるではないか。それに
僕自身に僕を見に行けとは、さっぱり訳が分からない。
暑さにやられたのだろうかと心配になっていたら

「ほら、妊婦が見るとお腹の子供に痣が出来るっていうでしょう?
 サイレンとか聞こえなかった?」

カジとは僕ではなく火事である、ということがようやく理解できた。
そういえば少し前、消防車のサイレンの音がやたらと聞こえてきて
Rが騒いでいた。ときめいて損した。

嫁は妊娠6ヶ月。確かに火災現場に妊婦がいるなんて危険極まりない。
別にわざわざ行かなくてもと思ったが、田舎物の僕とは違い嫁は
「火事と喧嘩が華」の江戸っ子の血が騒ぐのだろうと察し、代わりに
野次馬となって見に行ってやった。

「…もう鎮火してたよ。ドラッグストアの奥のビルだね」

「あらそう」

戻って来た僕の話に嫁はさして興味を持った風でもなく。
だからオイラはそんなワイフにこう言おうと思ったのさ。

「野次馬になってやったのだから、夜は種馬にならせてくれよ」

…ってね。HAHAHA!

しかしそんなアメリカンジョークは冷戦の雰囲気が未だ重く
のしかかっていたため、お蔵入りとなったのであった。
日記才人投票ボタン。投票のお礼に一言飛び出ます。初回だけ登録が必要です。↑


エンピツ投票。
.
.

MUGON…ダメっぽい。

些細なことで夫婦の仲が冷え、嫁と一週間口聞いてない。

せっかくの休日なのにそんなドメスティックサイレンスの中、
家族愛の触れ合いを求むるとすれば娘・R(1才)と戯れるしかない。

…と思ったら嫁に先手を打たれ、午前中早々とRを連れて
どこかに行ってしまった。当然「どこどこへ行く」などという
断りもなく、僕を完全黙殺する構えのようである。

シカト?シカトですか?じゃあワタシはアナタがそうやって
シカトする様をシカト見守ることにします…Yeah!

あ…ウソウソ!気ぃ悪くした?あっ、でもそんな黒くないよね…
嫁の乳頭って。黒じゃないよね…うん。

僕はなす術もなくペリーの物真似をひとりやっていた。どうせ
昼頃には帰ってくるだろう…と侮っていたが2時になっても3時に
なっても帰って来ない。当然僕の昼飯もなし。知ったことかという
構えのようである。尤もこんなギスギスした状況では食欲なんてない。

しかし昼飯どころかもう2度と帰って来なかったりして…という嫌な
予感が頭の中を駆け巡り、家の中でジメジメと待つのみでは精神衛生上
よろしくない。嫁が僕にお構い無しの休日の過ごし方をするのであれば
僕もそうすればよい。

久しぶりに嫁からもRからも開放された(見放された)休日である。
思いっきりデカダンスな休日の過ごし方をしてやる、と家を飛び出し、
プリンセス天功似のおばさんウェイトレスのいる近所の喫茶店で
ビールをかっ食らっていたら夕方になってしまった。

家に戻ってみると、嫁とRは何事もなかったかのように帰っていた。
僕は酒臭さとあやしい足取りを悟られないようにコソコソとしなければ
ならなかたのであった。

デカダンスな休日ではなく
バカダンナの休日になってしまった。 日記才人投票ボタン。投票のお礼に一言飛び出ます。初回だけ登録が必要です。↑


エンピツ投票。
.
.

父娘の歯権争い。

ついさっきまで仲良く遊んでいたのに、娘・R(1才)は
夕飯を食べ終わった後ぐらいから露骨に僕を避けようとする。

この後のオフロを恐れているのである。何故恐れているのか
というと、我が家のオフロにはパパイヤ鈴木がいるのだ。

そりゃアフロだ。

正確に言うと、Rはオフロそのものではなくお風呂でやらされる
歯磨きが大嫌い。本来R自身の手で磨かせたいところだが、

「さあR、歯を磨け。そして女を磨け」

と歯ブラシを持たせても、口に咥えてフゴフゴと遊ぶだけであり、

「お、咥える、であるとか、しゃぶる、とかそういうテクニークも
 磨いているのだな…ってそんなもん磨かないでくれ!」

無垢なお前の姿からみだらなイマージュを連想したくないのだよ…と
純粋な父心を掻き乱されてしまうので僕がやることにしている。

しかし痛くないように最新の注意を払ってもRはこれを大変嫌がり、
泣き叫んで鼻水・ヨダレ・涙が駄々漏れになってしまうので、
風呂場でやることにしているのである。

夕飯を食べ終わり一息ついた頃を見計らい、浴槽にお湯を入れ始める。
そのドドドという音が聞こえてくると、Rの怯えようは益々顕著になる。
そしてお湯が溜まり、

「さあR、お風呂に入ろう」

僕がRを抱こうとすると

「イヤアアアア!ギャアアアア!」

Rの恐怖は絶頂に達し、爆竹のように泣く。しかしオフロ自体は
好きなので、服を脱がせようとすると泣きながらでもちゃんと
バンザイするし、手を繋ぐと素直に浴室まで付いてくるところが
また何とも可愛い。
         
「ぎゃあああん!うわあああん!」

浴室に入って早速歯を磨き、後もうひとつRの嫌いな洗髪を済ます
までは泣き女バンシーをも凌ぐとすら思える激しい泣きようである。

「はい、終わったよ」

しかし歯磨きと洗髪が終わると、Rはケロッと泣き止み、

「うへへへへー」

嬉しそうに水遊びをするのであった。落ち着いたところで
      
「Rちゃん、そんなに怖くないでしょう?」

歯ブラシを手に取ってRに振りかざしてみると

「いやーっ!」

激しく拒絶反応を示し、また大泣きになる前兆を見せたので
慌てて歯ブラシをRに持たせた。

「早く自分で磨けるようになるといいんだけ…ぐえほがぼがぼ!」

Rに歯ブラシを口の中に突っ込まれた。Rの反撃である。
これぞまさに「歯に歯を」

みごとじゃ…。 日記才人投票ボタン。投票のお礼に一言飛び出ます。初回だけ登録が必要です。↑


エンピツ投票。
.
.

アサイチデート。

仕事がある日は出勤前の朝が娘・R(1才)と遊べる
唯一の時間である。

妊娠6ヶ月目の嫁には出来ないであろう、Rを持ち上げて
アクロバティックなお遊びをたくさんしてあげるのだ。

高い高いとか。飛行機ぶーんとか。両手を掴んでクルクル
回るとか。肩車とか。地獄車とか。駅弁とか(一部嘘)

「うきゃーーーー!でへへへへへ!」

Rは殊の外喜んでくれるので僕も力の限界までやった。すると
その後Rはウヘヘへと僕に抱きついて来た。

「ウフフ…あなたのディックは今夜も激しかったわ」

まるでベッドでの戦を終えた後のよう。僕もRをひしと抱きしめ、
熱き抱擁を交わす。Rの体が小刻みに震えていた。きっと
熱き放尿をしているのだと思った。

異変はその後起こった。Rが絵本を持って来たので請われるがまま
読んでいたのだが、

「いやっ!めっ!めーーーーーっ!」

何故か急にRが不機嫌になってしまった。「めっ」とはR語で
「あっち行け」という意味である。僕が何をしたのであろうか。
みのもんた風に読んでしまったのがいけなかったのだろうか。
ここは江守徹風にするべきだったのだろうか。

理由は分からないまま出勤時間が迫り、僕は家を出なければ
ならなくなった。

「じゃあね。R。ばいばい」

いつもなら「ばいばーい」と手を振ってくれるR。しかしご機嫌
斜めになってしまったRはこちらを振り向いてくれすらしない。
玄関に見送りに来てもくれない。

いいよー。お父さんいじけちゃうもーん。

超しょんぼりっく、超しょぼんぬでひとり寂しく靴を履き、扉を
開けて家を出ようとした瞬間、

だだだだー。Rが走ってきた。

「ばいばーい!ばいばーい!」

ああっ。やはりRは見送ってくれた。何だろうこの感動は。ドラマで
よくある、駅のホームでお別れするシーンのような。電車の窓から
身を乗り出して手を振るヒロインと、ホームの先までそれを追い掛け

「ワシャア、いつか必ずおまんを嫁に迎えに行くけえー」

などと叫んでこける主人公と。

これもRのじらしプレイなのだろうか?1才半にしてこの三十路オヤジの
僕の心をガッチリキャッチ。恐ろしい子!付いては離れ、離れては付く。

このアメと鞭の呼吸を覚えておけばたいていの男は大丈夫だぞR。
将来のR像を思い浮かべながら会社に向かったのであった。

アメと鞭、両方イケる口の僕のような男もいるしな…。日記才人投票ボタン。投票のお礼に一言飛び出ます。初回だけ登録が必要です。↑


エンピツ投票。
.
.

自画自賛の娘と自我悲惨の父。

娘・R(1才)のブログ(→参照)を見ていた。
Rの画像を一枚一枚

「我が子愛しやほーやれほ」

と、穴が開くほど凝視して悦に浸っていた。昔、アイドル雑誌
などをこっそりハアハアと眺めていた中学生の頃を思い出したり
していたら、ひょいひょいと腕をつままれた。

「ヒイイ!母さん、僕、自慰してないよ!」

思わず思考がタイムスリップしてしまったが、腕を掴んでいたのは
当のRだった。どうやら自分にも見せろということらしい。Rを膝の
上に乗せて、ディスプレイに近づけると、Rは自分の画像を指差して

「かーいー(可愛い)」

と叫ぶではないか。画面をスクロールさせ、次々と画像を見せても
その都度「かーいー」と叫ぶ。これは…我が子はナルシストになって
しまったのだろうか。

確かに僕はRを見るたびに「可愛い可愛い」と呪われたように言い続け
ているし、ほっぺたに指を当てて「かーいー」というポージングも

photo

僕が仕込んだのであるが。それが悪かったのであろうか。試しにRの
画像は引っ込めて、僕の画像を出してみた。さあR、「かーいー」と言え。
しかしRはそれを見た途端

「ょいしょ、ょいしょ」

僕の膝から降りて行ってしまった。…ひどすぎる。
ひとり取り残された僕は、自分のアホ面を見て

「…かーいー」

自らを慰めるのであった。

お母さん、結局自慰してしまったよ。 日記才人投票ボタン。投票のお礼に一言飛び出ます。初回だけ登録が必要です。↑


エンピツ投票。
.
.
< 日記 53TOP